地図がなくても行けると あなたは言う

 健康起床、健康入浴、着替えてホテル出発。

 お気に入りのネカフェで1.5日分の日記を更新して、山手線で渋谷へ。今日は、まっぴぃご推薦の美術展2ヶ所を中心に、半日渋谷エリアで遊びます。電車の中で、同じく上京中の某非常勤先生から明日のランチを誘って頂いたのですが、明日は終日オツカル様とのデートなので丁重にお断りしました。

 先ずはBunkamura Gallery「染付古便器の粋 青と白、もてなしの装い」。
 INAXライブミュージアム収蔵の古便器からの抜粋、明治期日本の「厠」を客人の目を楽しませる空間に変えた染付便器の逸品をずらり展覧のイベント。朝イチに近かったからかそもそも企画が地味だからか、私以外に客は……いらっしゃいました、スマホ縦横ベストアングルからこちらをパシャリあちらをパシャリ、向こうから見たら自分以外の唯一の客即ちアングル障害であるところの私を巧みに避けて会場隅々。おぉ、プロだ! と思ったら直後にまっぴぃリツイートで回って来た本美術展紹介ツイートが完全にこの時の写真だったので、おぉ、あの有名ついったらーさんはあのオジサマだったのか、と独りで納得したり。
 古便器と同じ素材・絵付で作られた「厠下駄」、小便器の前に置かれたこれに足を入れて用を足すと狙いを過つことがないというこの履き物は「重くて歩行には向きません」って説明に「そらそやろ」と応じながら、いやしかしこんなものがあるなんて全く知らなかったと感心至極。
 尾籠な芸術、真に面白美しい「をかし」の美術展でした。但し、「青と白、~」の副題のセンスは「わろし」。

 続いて、歩くだけでおハイソな気分を味わえる松濤、の松濤美術館にて特別展は「セラミックス・ジャパン 陶磁器でたどる日本のモダン」。まっぴぃ一推しのこれがとても良かった。
 明治から敗戦まで70年の日本の陶磁器を総覧。ジャパニズムの意匠も眩しい最初期の作品から始まった展示が、最後には戦時物資不足故の絵付けなしという合理主義に終わる。「おもしろうてやがてかなしき」展示は、要するにあれですよ、漱石「現代日本の開化」。漱石自身が生きた明治の開化から始まり、それが「開化」や『三四郎』で予言した通り1945年に滅びるまでの、まさに「夢の跡」なんです。
 70年の走馬燈一望、図録も素晴らしい展示会。撮影は禁止なので、美術館の外観や中庭噴水などをパシャリパシャリ。因みに、展示物一覧プリントを最初にもらった時に真っ先に目を引いた名前「加藤土師萌」さん、これが私こと21世紀中年の想像通りのキラキラした読み方だったのも印象に残りました。

 松濤美術館を出て、蕎麦だカレーだが美味しいらしい某カフェでコーヒーブレイク。狭い店の周りのお客さんがクラシックに造詣の方々ばかりでやっぱり松濤はおハイソ。と思ってたらカフェの経営がその手の会社だったそうで。
 小休憩の後で、渋谷の「ジュンク堂」を初訪問。聖地本店ほどではなかったですが、買い忘れを何冊か拾遺。ジュンク堂横に丸善があり、そこで三菱ピュアモルトのボールペンを購入。コルクの手触りが好きなのでシャープペンは既にモルトを持っていたのですが、ボールペンも使い捨てを止めようかな、と。だから替え芯も何本か購入しました。
 タワレコで、小島麻由美渚ようこ、こちらも今年の買い忘れ、拾遺。

 山手線で渋谷から池袋、既に夕方で、部屋に荷物を置いた後で大浴場で冷えた身体を温め、たらもう飲む時間ですよ夜ですよ。本日のお相手は、64回生Tくん、場所は大塚だから池袋から一駅です。
 前回彼と大塚に行った時は、「ぐいのみ大」でご希望の「あっさりした料理」を。で、2度目の今日は前回の店の隣、ミシュランお星様系の和食「みや穂」にてしっとり。和食コース、追加の雲丹飯とも絶品。その後、2軒目は池袋に移動して「韓二郎」。移動中に電話予約をした段階で名物のレバー串が1本しか残っていなかったと聞き、慌てて取り置きをしてもらいました。Tくんに食べてもらったら、瞠目で「旨っ!」って。55回生Tくん、56回生Kくん、63回生体育先生と全く同じ反応で嬉しい(私はこれでビールが1杯進みます)。因みに「韓二郎」では、55回生Tくん同様、彼もダッカルビの辛さに涙目で撃沈しておられました。
 20才の大学1年生(察してね)、最近は全然飲んでない、と中年みたいなことを言っておられ。秋頃までは飲むのが楽しくて楽しくて、飲んでる途中に次の誘いが来たらほいほい、みたいな2グループ3グループのハシゴは当たり前の「フッ軽(フットワーク軽い)」くんだったそうなのですが、冬以降は落ち着いて……って、秋とか冬とかサイクルが早いな。まぁお酒は程々に、って私が言ってもしょうがないですけれども、人たらしは貴重な属性だから大切に育てて下さいね、と。

 健康睡眠。