ほかの人には わからない あまりにも

 5時入りの職員室でデスクワーク(定期テストまでの学習計画表、及び明日の授業プリントの作成)。本日はK市中心部に出来た大型施設「シティプラザ」の大ホールを借り切って、「男く祭」2日目の内輪向けイベントが行われる日。7時に呼んだタクシーに乗って、会場となるプラザ……の近くのH公園に移動。本日のコーラス大会に向け、朝から最後の練習をするのですが、シティプラザ敷地内は発声厳禁なのです(去年まで2日目会場だった市民会館の敷地内はOKでしたが、新しい会場は制約が多い)。というわけで、程近い公共スペースにてゲリラ練習を。同じことを考えたクラスは他にも2クラス(いずれも高2)あり、3クラスが公園の各地に散って最後の練習。周辺住民に怒られたら……まぁ、それも想い出ですよね。っつか、朝早いから集まりが悪い、というか我らB組、声、小っちゃくね? コーラス委員のAくん・Bさんは経験者(合唱部)なんですがバリバリ前に出て問答無用で指示出し、というタイプの子たちじゃないので、我が儘思い思いのクラスメイト達を一丸にまとめるのに随分と苦労しておいでです。とまぁ、私も壇上に上がって歌う(コーラス委員から「まとめられる」側の)人間なので、そんな他人事のように言ってはいけませんが。
 集合時間が近づいたのでみんなでぞろぞろと移動したら、後はクラスの生徒を大ホール内に移動させて各自の席に着席させれば、実質的に高2担任団の仕事はおしまい(生徒たちと一緒に様々なパフォーマンスを鑑賞するだけ)。どちらかと言えば、私なんざ教員よりも、文化委員や各Pに所属している生徒の方が一所懸命に働いているくらいです。

 午前中、本当に申し訳ないのですが1時間強ほど会場を抜けて、朝の内に母君の病室を往復してきました。色々とお話をしたのですが、今日突然、母君が退院直後に30年暮らした小倉の実家(公団1階2DK)を完全に引き払うこと、その後はK市内のリハビリ施設(母君は現在、室内では「自立」できますが長い移動は基本的に車椅子の状態です)に入って回復を待つ(職場はしばらく休職する)というお話を聞かされました。既に、病院を通じてケアの現場で働いている人、或いは施設を斡旋する業者の人とは連絡を取り合って話を具体的に進めておられるそうです。
 何というか、決めたら頑固な人だから止めたり熟慮を促したりするようなことは一切しませんでした。リハビリ施設が見つかるまで、少しの間K市の私の家に泊まることがあるかも、と言われて「あぁ、じゃあ布団一式を買わないとなぁ。この買い物はちょっと面倒くさいかもなぁ、でも仕方ないよなぁ」と思った程度です。小倉の部屋は、私にとっても30年暮らした実家ではあるのですが、まぁ公団の1室ですしね、思い入れと言われたらう~ん、って感じ。
 それよか、母君はまだ59歳で還暦すら迎えて居られないのですが、それがリハビリ施設(っつっても要は介護施設でしょう)に入居が認められるんでしょうか、とそっちのが心配。ただまぁ、そこは20年以上介護の現場で一線級の働きをなさっておられる方ですから、抜かりはないんでしょうね。
 という訳で、私の方には異存は全くございません。とお答えして本日はお別れ。いや、実際、そうは言ってもやっぱり小倉に残ると再び言い出す可能性も2割か3割くらいは、とこの時点では思ってましたしね(←結局初志貫徹の母君でした、と5月28日の記)。

 会場に戻ったらそろそろ始まるコーラス大会。クラス増やタイムスケジュールに関わるその他様々な要因で、今年からは高1と高2とは各クラス1曲ずつ、高3だけが昨年度までと同様に各クラス2曲を歌うという形式に変更になっています。高2の選曲は、A組「はなまるぴっぴはよいこだけ」、B組「ひこうき雲」、C組「モルダウ」、D組「全力少年」、E組「ハナミズキ」です。A・D組が明るいポップス、B・E組がレクイエム寄りの静かなポップス、C組が王道クラシック、ということで学年としての選曲のバランスはいい感じなんじゃないでしょうか(1クラス2曲だったら、クラスごとにメリハリを考えられるんですけれどもね)。

 さて、コーラス大会。我らがB組は女声11人、男声低音16人、男声高音13人(←担任含む)、指揮1人、伴奏1人、という構成。女声頑張れ、なんですが本日は昨日(ライブその他で)頑張りすぎた女子1人が病欠、女声は相当頑張らないといけない状態です。朝の練習の時もそうでしたが、数学先生が担任のC組「モルダウ」、舞台袖で聴いててもメッチャ「コーラス!」って感じで初手からビビっちゃって。
 「大体さぁ」と、私語厳禁の舞台袖で担任が囁く。「入場順を考えようよ。ウチってさ、最初に舞台に出ていくのが僕とAくんでしょ。僕、オッサンが生徒の学ラン借りて着てるでしょ? Aくんは足を怪我して松葉杖でしょ? オッサンと松葉杖が最初に入場すんだよ? 出オチでしかないじゃんか」
 まぁ、実際「出オチ」なんですけれども、松葉杖くんに合わせて少しゆっくり歩いて入場の担任は、観客(生徒・保護者の皆々様)に「あれは生徒じゃない、オッサンだ!」と気づかれたのか気づかれなかったのか。去年も高1Aで指揮を務めたBくんの振りに合わせて歌いましたよ「ひこうき雲」。生徒と壇に上がるのはもう4回目ですし、歌の歌詞は絶対に間違えようがないし、流石に緊張はしませんでしたが、自分たちの歌がどういう風に響いているのかは全く分かりませんでした。
 因みに、歌い終えたB組勢が自席に戻った後にA組の「はなまるぴっぴはよいこだけ」が披露されたのですが、純粋に「良い曲だなぁ」と思ったし、盛り上がれる曲調に合わせて指揮者が会場を煽ったらみんな手拍子ノリノリだったし、練習の時からそうだったけれどもネタ曲が大真面目に(上手に)歌えたら最高なんですよね、「あぁ、これはA組が持って行ったな」と思いました(し、実際A組が学年優勝でした)。

 太鼓で女子生徒、パフォーマンスで男子生徒、B組生徒の活動を中心に舞台を鑑賞。最後はやっぱり高3実行委員号泣で〆。
 来年度の実行委員男子3人はどうなるでしょうね、そう言えば全員我らが高2Bの生徒ですが……。
 英「ちょっとちょっと、そこのB組担任」
 私「何ですか?」
 英「来年、大丈夫なの? あんたとこの実行委員3人。超真面目な人たちやけど、舞台上で盛り上げたり出来るの?」
 私「そんな、中学時代から調教してきた実行犯が今更何を言い出すんですか」
 英「いや、だからここでアンタがあの3人を今の内から巫山戯倒した人間になるように誘導してさぁ。得意やろ?」
 私「何じゃそれ」
 英「『授業の時はヒジをついて聞け!』とかそういう風にさぁ」
 私「あのですね、彼らに『授業中にヒジをつけ』って命じたら」
 英「言うこと聞きそうやない?」
 私「多分、こうする(←ロダン『考える人』のポーズ)」
 英「分かるっ! そこまで真面目だわ!」
 笑ってる場合じゃない。っつか、多分、あの3人、大丈夫だと思うけどね。

 市街地ど真ん中で解散とか、そのまま飲みに行けって言ってるようなもんだよねぇ、と野菜料理「B」に入って読書独酌、の後で〆はラーメンだ、と駅近くのラーメン「M」に入ったら、F校2年生がうじゃうじゃ居て滅茶苦茶気まずかった。「先生なんですかっ!? はい、生ビールお待たせ! って生徒の前で言ったらマズいですね!」って店員が元気。
 後で聞いたら、ラーメン「M」はF校生の巣窟なんだそうです。飲みの〆で深夜にしか利用したことがなかったので知りませんでした。勉強不足。