町田くんの世界

 安藤ゆき町田くんの世界』、思った通りに面白いです。帯には「新感覚」というコピー(デビュー時のユーミンと同じ!)がついていましたけれどもこの読後感は何かに近い、と思って後で羅川真里茂赤ちゃんと僕』だと気づきました。
 学級文庫には、癖がつくといけないので漫画は入れませんが、もしも入れるとするならば、『町田くんの世界』『ちひろさん』『セトウツミ』『よつばと!』の4作の中のどれかになるでしょうね。

 さて、旅行中ツイ廃モードの朝Twitterで「今日は美術館(原宿)1ヶ所以外には主たる目的地は無し」と呟いたら、まっぴぃから即座に「『浮世絵動物園』に行くなら、六本木の『絵巻マニア列伝』も是非に」というメールが届きまして。
 これを隣にいた63回生Eくんに見せたら「どんだけ知り尽くしてるんすか。ストーカー!」と大笑い。でもね、まっぴぃ曰く「原宿の美術館は一択」でして(まぁクイズなお言葉ですが)、これはぴぃの方が正しい。

 朝の待ち合わせは9時の「プチモンド」。赤羽フルーツサンドの名店は『孤独のグルメ』にも登場の人気店、黄金週間ということでもありますから一応先生が気を利かせて、8時50分には店の前に並びました(開店9時を前に、先客が2組、私の後続に2組、開店直後に2組、という客入り)。
 開店と同時に私が入りコーヒーとフルーツサンドとを注文、9時5分に入店のEくんはコーヒーとグレープフルーツセレクションとを注文。ふわっふわのパンとクリームにシャリッシャリのリンゴ、フルーツサンドはお裾分けのEくんにも喜んでもらえたし、Eくんから一口もらったグレープフルーツゼリーの酸味も最高でした。朝から幸せ。

 で、朝甘味のテーブルで、呼び出したは良いけどこれからどうすんのよと先生、いや実際今日の夕方までは暇なんすよと大学生、んなら昼過ぎくらいまでデートしますかと先生、お昼は魚料理が食べたいですと大学生、原宿美術館につきあってくれるなら後はどこでもと先生、じゃあ先ずはジュンク堂本店に行きましょう僕最近ゆるふわな本が読みたいんですよねぇ評論とか小説とかと大学生、ゆるふわな評論ってなんだよと先生、と話してる内にやっぱこのビルデカいっすよねぇと聖地本店到着。
 で、やっぱり分からんゆるふわって何だよ、ゆるふわな小説? ゆるふわな評論? 分かんないは分かんないんですけれどもそれで終わるのも申し訳無いというか癪なので、ここはもう勘でゆるふわな小説はちくま文庫獅子文六、ゆるふわな評論は池田晶子『無敵のソクラテス』をチョイス。後者はオッサンのなけなしの財力で奢ったげました。どちらも「ゆるふわ」なのかどうかは分からないけれども、読んで面白いのは間違いないし、そもそもEくんは雑食さんでありとあらゆることを面白いと思える人間なので、実際のところ選ぶ本は何だっていいんです(←誉めてるんですよ?)。

 浮世絵に描かれた動物も、ある種当時の「ゆるふわ」なんじゃないんでしょうか、池袋から山手線は原宿まで、原宿の美術館は一択で「太田記念美術館」。浮世絵専門の美術館で本日の特別展は題して「浮世絵動物園」、内容はタイトルから推して知るべし。入口でチケットと絵葉書セットとを購入し、今日の美術館は作品鑑賞だけではなく、あんまり興味が無いというかよく分からないままオッサンについて来た結果果たしてこれをどのように楽しめば良いのかしらと戸惑いながら基本口半開きという大学生の生態も観賞できるというおまけつき。
 そのオッサンと大学生とがある種美術館それ自体よりも盛り上がったのは、地下にある手ぬぐい専門店「かまわぬ」。オリジナルの手ぬぐい詰め合わせを、私は「もりき」へのお土産(今回はお子様方へではなく、奥様へ)として、親孝行Eくんは「母の日~」と楽しそうに。手ぬぐいで作った前掛けや涎掛けのセットなんて売ってるのを見て「おおっ、これはダブルダッチ先生へのご出産祝いになるかも!」と大興奮。「えっと、まだ先だね」とオッサン。あ、親不孝が服着て歩いてるオッサンも、一応垂乳根の母君用に巾着を購入しました(入院治療でそれどこじゃないでしょうから、母の日とか言わずに上京中に買って届けるに言われた「或る物」を入れるために使います)。

 お前魚が食いたいって朝言ったよなと先生、だって先生が店名言うからそこしか行きたくなくなったんですよと大学生、魚と豚カツってのはほぼ真逆のチョイスだろと先生、いやでも先生ほらメニューに一応刺身もありますよと大学生、なら前菜にこのくそたっかい刺身を食ってその後でヒレだエビフライだと食いまくるわけねと先生、そう言えばF高卒業して最初に先生に連れてってもらった店がここでしたねぇと大学生。
 広い広いカウンターに横並び2人、K市に居るときには「浜勝」が高いと敬遠する金銭感覚のオッサンなのに、東京で卒業生隣にするともう駄目ね@「かつ吉」
 大量の豚カツと白ご飯とをEくんに食わせて、それを横目に私は真っ昼間から生2杯と熱燗1合と……

 の後、なぜ私(恩師)とEくん(教え子)とは新宿のタワレコに居るのでしょうか? Twitterでオツカル様からもうすぐ新宿で始まるよ! と教えられた地下アイドル・絵恋ちゃんのイベントを2人で待っているのでしょうか?
 絵恋ちゃんって結局何なんですかと教え子、よく分からないけど遠巻きに観てるだけで笑えるのは保証するからと先生、ってか先生CD買ってるじゃないですかと教え子、あのね普通に曲は良いんだよちょっと気が狂れてるとこはあるけどと先生、前の方に陣取ってる人たちは追っかけなんですよねと教え子、こないだ天神で観たライブのお客さんが何人か居ると思う多分服装が同じだしでもってあの人たち跳ぶよ跳ねるよダブルダッチだよと先生。
 店内イベントスペース、ステージ上の電灯が切れかかってるのは少しでも「地下感」を出したいということなのでしょうか。明日に控えた戸川純ちゃんとのツーマンを前に、絵恋ちゃんと楽器の新譜『ERERGY』『二度寝るねるね』同時リリースを記念したインストアイベント。「たまたま時間が合致したので」参加した先生はちゃっかりCDも買って(『ERERGY』の方だけ)、特典の2ショットチェキ(イベント後)の権利もゲット(行使しませんでした)。
 登場するなりヲタお手製のパネルをおディスりになる絵恋ちゃんさん、スタッフに対する「そういうの邪魔だから」的あしらい等、アイドルの毒舌に「それで良いの?」とEくん大笑い。でもって、最初の楽曲「頭痛い」でファンが客席内で渦巻いて廻り始めた(25mプールで小学生たちがぐるぐる廻って人力で流れるプール作るやつだ!)のを見て2人で爆笑。ライブハウスじゃないので振動厳禁、その渦巻きを全員がすり足でやってるシュールさに腹筋がぶちぶちと音を立てて。
 しかし、流石に雑食何見ても楽しめる無敵のEくん、4曲のミニライブ後に感想を聞いたら、最後にして代表曲「カラシメンタイコ」を使ってダブルダッチを構成するなら、「カラシメンタイコ、コ、コ」の「コ、コ、コ」の部分でラビットを入れる(逆立ちして3回ジャンプする)らしいです。いや~、面白い!

 翌日、オツカル様にタワレコイベントについて報告。
 私「……でさ、あれタワレコの人なのかな、スタッフにまで『そういうの邪魔』的な暴言吐いて、キャラとは言え大丈夫なんかね」
 オ「あ、それ、タワレコの人じゃなくて中村さん。中村さんって、曲作ってる人」
 私「あ、そうなんだ、っつかよく分かるね」
 オ「あのね、もうほぼリアルタイムで詳細な情報がTLに流れてくんの」
 そうでしたそうでした、ファン同士はオンラインでもオフラインでも強い絆で結ばれてるんでしたね。参加してる私より居なかったオツカル様の方がイベントに詳しい。

 閑話休題(それはさておき)、本日の日記。
 新宿イベント後にEくんと別れ、池袋に戻って入浴、読書。その後、ホテル徒歩5分の池袋駅西口にて、63回生東大理系Tくん、元D組代表(←成績が一番良いって意味)とさしで飲み会だ!

 「東京大学工学部システム創成学科知能社会システムコース 現役」vs「東京大学文学部言語文化学科日本語日本文学専修過程(国語学) 卒業」の宴会は、日本酒が飲みたいというTくんの希望で私が選んだ「酒菜家」にて。テーブルは2時間制ですが我々が座ったカウンター席なら時間制限無しでゆっくり(阿呆ほど)飲んで下さい、と店員さんの言。いや~、飲みましたね。っつか、Tくん飲んでも変わんないね。流石だね。
 日本酒マイスター的な店員さんにお願いして、辛口・甘口飲み比べ的な趣向で日本酒を持って来てもらう。例えば第1戦は辛口代表「春鹿」vs甘口代表「村祐」、みたいなね。でもって「紅白」状態で味比べしてたら、気づけば4時間以上飲んだくれてたみたいな感じになっちゃってて。
 「もりき」でよく飲むヤツを中心に次々お願いしてたら、マイスターさんと段々話が弾んじゃって、思わず「この福岡の『Y』って蔵、こないだ××××××××って事件が起こっちゃって、今大変みたいですね」なんて口走ってしまうオイタも(マイスターさんも「マジっすか、そこの蔵、前にウチに来てもらった時に喧嘩したんすよね。早速社長に告げ口しときます」って)。

 さてさて、飲みに行く約束を取り付ける時のやりとりで。
 T「最近自分のパフォーマンスに切れ味がないように感じるので、6日に話して昔を少し思い出してエンジンかけようと思います」
 私「成る程。成長変化しない教員を鏡に自己確認をしようという腹だな。美酒美菜で返り討ちにしてくれよう!」
 とか言ってて、実際「美酒美菜」は本当だったんですけど、やっぱり話のリードはTくんが持ってきますよね。私、Tくんの所属「東京大学工学部システム(以下略)」を聞いてから、所属名に2回も出てくるその「システム」ってのがどういう意味なのかよく分かんなくて。で、私の「『システム』って何?」という質問に、Tくんが4時間使って微細多角の解説をして下さるというのが話の幹だったんですね。私は面白かったし、後で考えたら結局Tくんの「自己確認をしようという腹」も満たされてる訳だし、いや~、やっぱり賢いわ、流石だわ。

 山手線沿い某所でホテルを取って、明日からサークル大会関係の小旅行に出るというTくんを、私ひょっとして飲ませすぎたかしらごめんね~、と西口まで二人で歩いてたら、ケーナ吹いてるフォルクローレなオジサン(国籍不明)に惹かれちゃって。Tくん付き合わせて数曲聴いて、「『コンドル』やって!」とかリクエストしてそれをオケに「I'd rather be a sparrow than a snail~♪」とか歌い始めてTくんに呆れられて、最後はノリと義理とでCDを購入して、めっさ気分良くホテルに帰る途中でやっぱりコンビニアイスを買って。

 何だか長い一日でしたね。駅前ミュージシャンまで使って強引にイベントアンコールを求めた辺り、一日を終わらせたくなかったんでしょうね。
 でも、明日はオツカル様ですからね。保証されてるとはいえ、今日より楽しい一日って、どんななんでしょうね、最早よく分かんないや、お休み。