The sailer, Shardora, Shardora

 健康起床。ど酔っぱの教員が「明日の昼に三次会、来る~?」みたいなノリで言い出した口約束は守られるのか、っつかそもそも相手方が覚えているのか、と携帯を開いたら、私が寝た後に届いたEくんからの「ごちそうさま」メールのタイトルが「池ノ上12時」ってなっててやっぱり真面目だわこの人。

 入浴、ホテルを出て先ずは池袋東口徒歩3分のネカフェへ。お気に入りの店なのですが、東口構内の柱広告がほとんどここにジャックされてたのは流石に「そこまで?」と驚きました。日記を2日分更新。珍しいことに、2日分(合計4000字)を書くのに1時間以上かかってしまいました。普段、早朝の学校PC室で更新するときは(勤務時間外ながら)一応仕事中だという意識が働いているから急いでるんでしょうね。居心地の良いネカフェだともの凄いリラックスモード。

 9時55分に、聖地・ジュンク堂本店前に到着。日曜日だということもあり、店の前には開店を待つお客さんが20人ほど。5泊6日の間に最低でも2度は行くことになります。1回目は本を買うため、2回目は買い忘れた本がないかのチェック(今日は、筒井康隆の新刊を買い忘れたことに店を出てから気づきました)と1回目のときに貰ったコーヒーチケット(10000円ごとに1枚)を使うため。ありがたいことに、卒業生のお父様・お母様からお歳暮で頂いた図書カードが15000円分あるのですが、これは間違いなく今日で使い切ることになります(なりました)。三次会(ランチ)をご一緒のEくんが昨日の夕食の時に「東大生だけれども駒場寮は歴史の領域で全く知らない」と言っていたので、松本博文『東大駒場寮物語』を買ってプレゼントすることに。文系進学ながら数学に興味が出てきてそればっかやってる、と仰ったEくんに森田真生『数学する身体』を紹介しようとしたらもう読んでるということで立派。高校時代には本を読んでないことをコンプレックスだと言っていた彼ですが(私から文庫・新書を借りて行っては受験勉強との兼ね合いを気にしていました)、正しく大学生をやってるんじゃん、ってことでご褒美ですね。

 ジュンク堂で買った本をホテルの部屋に置き、K市で買って持ってきた「とんこつカレー」のレトルトパックを携えて、山手線→井の頭線、で池ノ上。約束12時の、私は10分前に到着(これは性格)、Eくんは5分前着。お目当ての「biff」は12時開店なので、少しだけ店の前で待ちました。商店街を歩きながら、「あそこに見えるのがT(←63回生我らがA組)の家」と指差してEくんの曰く。「そいや、Tって大学近くに家借りたつってたよね。もうその時点で詰んでんじゃないのか、って突っ込んだ記憶がある」「一駅なのに電車使ってる。起きるのが遅くて」「想像つくわ~。布団の中でさ、『もう、ここまで近かったらこの状態で大学にいるって思って間違いじゃなくね?』とか言ってる感覚~」
 「biff」入店、「洒落乙過ぎる~」と緊張気味の19歳と、あらお昼は店長さんが出勤なさってないのか残念、と先日は居られなかった女性店員さんを見ながら35歳と。注文は勿論とんこつカレーのセットで、小鉢(コールスロー)とドリンクとが付いて1000円。で、一口食ったEくん「これ、美味っ!」
 昨日4時間喋ってまだ話すことがあるってのが凄いけれども、今日はEくんのサークル(ダブルダッチ)のお話を中心に。公共のスペースでの楽しそうな練習をある種の人々から白眼視されがちなダッチ組は、当局を通じて練習場所を徐々に制限され始めて困っている、と。おお、不寛容の空気は自由の大学にまで! と憐れもうとしたら、練習中にご近所の園児たちお散歩組が「遊んで~」と混じってくるのが「ウザい」の発言、お前も不寛容やないか。
 私「あのね、4歳の子の目になって考えようよ。回りをぐるり見回したらさ、あっちのお兄ちゃんはご飯食べてる、あっちのお姉ちゃんはご本読んでる、あそこのお兄ちゃんたちは……『ピョンピョンしてる~!』ってなるに決まってるでしょ」
 E「え~、そんなに俺らだけ遊んでるように見える?」
 私「大学の中じゃ4歳児が浮いてると思うんでしょ? きみらが4歳児を浮いてると思ってるのと同じレベルで、イカ東組はダッチを浮いてると思ってるんじゃない?」
 さて、K市名物のあれとは比較にならない美味「とんこつカレー」。美味い美味いとあっという間にペロリン、のEくんに35歳が当然聞きたくなるのは「替え玉する?」「する!」 お代わりをお願いしたら、店員さんちょっと戸惑っておいででした。とんこつ本場は替え玉が当然ですよね(私は無理ですけど)。
 お店を出るときに、店員さんにK市から2週間前に一度来店した客であること、その時にいつかK市の「とんこつカレー」をお届けするように店長さんに言ったこと、をお伝えしてお土産をお渡し。店長さんは覚えておいでで、店員さんにも「K市のよりも美味しいと言ってもらえたのが嬉しい」とお話なさっていたとか。それは良かった。

 渋谷に移動してEくんとはお別れ、タワレコを覗いたら(除いたら)この街に昼訪れるべきスポットはない、ということでさっさと銀座線。三越前のホールで新居昭乃さんのライブ……なのですが、その前に銀座で途中下車、向かうは「ヴァニラ画廊」です。5丁目から8丁目まで徒歩で10分弱、歩く耳には中国語しか聞こえてきません。ここは完全にチャイナタウンと言って良いのではないか、と思えるほど。
 ヴァニラ画廊で行われているのは「古屋兎丸展」。原画中心の展示はシンプルで良。二室に分かれた展示室は、一部屋が完全に『ライチ』の原稿で占められていて、残る一部屋にそれ以外の全ての作品の原稿を押し込めている、という形。『ライチ』人気が分かりますね(私以外のお客さん10人程度、は全員サブカル女子でした)。展示品は(ものによっては)値段がつけられて売り物になっているものもあり、『幻覚ピカソ』の原稿実物8万円、を思わず買いそうになった時点で見学を切り上げて慌てて退散しました。ヒカリと千晶との別離のシーン、読んだ当時は号泣したなぁ、などと。
 問題作「エミちゃん」の原稿も展示されており。古屋さんと言えば、Twitterで56回生の才女Oさんとやりとりをしたという話をOさん本人から聞いたことがあります。学校の現代文教師(←池ノ都のこと)が嬉々として『ライチ』を貸してくれた、というOさんからのコメントに対して古屋先生「その先生大丈夫?」 Oさんから伺った時には、「美術教師やりながら『エミちゃん』描いたあんたにだけは言われたくないわ!」とファンにあるまじきツッコミを。

 新居昭乃『Flora~冬の庭園~』@日本橋三井ホール
 ①エウロパの水 ②ばらの茂み ③月の家 ④Siva~佇む人~ ⑤遥かなロンド ⑥Fly me above ⑦Lhasa ⑧VOICES ⑨空の青さ ⑩奇跡の海 ⑪新曲 ⑫New World ⑬Sophia~白の惑星 ⑭人間の子供 ⑮美しい星 ⑯Never Land ⑰風と鳥と空~reincarnation~ ⑱Shardora ⑲虹
 高校時代に聴きまくったアニソン(②③⑤など)、坂本真綾のトリビュートアルバムでのカバーが素晴らしかった⑩、等に感動する35歳古参。でしたが、今回は最新曲⑱の美しさに驚き。『こばと。』『まおゆう魔王勇者』の音楽を担当という作曲家・はまたけし氏とのユニットvelsipoのミニアルバム(←帰りに購入しました)のタイトルチューン。20年前の新居さんの世界が(新しい形で)帰ってきた。懐かしい未来です。あと、今回のライブでは、ピアノ・ベース・バイオリンといういつもの構成にハープが加わっています。「炎と永遠」が聴けるかなぁ、と期待しましたが選ばれたのは⑰の方でしたね。

 渋谷に移動して、58回生文系2人(Tくん&Wくん)との飲み会は「漁 十八番」。住商1年目のTくんは、職場が築地に近いから魚は美味しい店をいっぱい知っておられる、ということです。それは迂闊。肉系にすればよかったかなぁ。数年ぶりのWくんは今年就活を終え4月から福岡で社会人。

 先ずは住商Tくんの話。線路の枕木を止めるネジを売るのが仕事、「は地味じゃないですか?」とやや自嘲気味に語る姿に品川庄司の漫才が被ります。大切な仕事じゃんねぇ。因みに、初任給・給料の上がり方・残業代のシステム、等々をお聞きした限り、Tくんの年収は2年目で私(13年目)を超えるようです。いよっ、文系の雄! という所で聞こえてくる雄叫びコール、ちょっと離れたテーブルの5人組のあの体育会系ノリは絶対に商社だ広告だ! と私。
 私「あれ、きみの同業っぽくない?」
 T「たぶん」
 私「大企業商社体育会系説、正しい?」
 T「正しいですよ。飲み会の幹事やらされたら、二軒目に行くときに先輩から女の子連れて来いって言われますもん」
 私「……女の子の居る店に行くんじゃなくて?」
 T「その辺の女の子を」
 私「ナンパさせられるわけ!? そんなん、二次会で奢ったらチャンネーの居る店に行くのと出費変わんないでしょ」
 T「ならプロの接客の方がいいじゃないですか、ねぇ」
 ……と、ここから話はもう少しディープな下ネタ系に行くんですけれども、これは自粛。

 続いて、就職活動圧倒的勝ち組、西鉄その他の内定数社を全蹴りして福岡県庁、国家公務員試験にも通っちゃってますよ、のW様(もはや様づけだわ)……ですけれども、まだお仕事を始められているわけではないので、話は大学生活、そして彼が入っていた県人寮の話が中心に……なって行くに従いまたもディープな下ネタに行くのはなぜなんだ。秋葉原のアダルトタワーでF校時代の同級生と感動の再会を果たした話とか、×××が××××の××××××××で××と×××した話とか(書けるかっ!)。

 一次会が渋谷で、二次会が池袋「韓二郎」。残念ながら絶品レバー串は売り切れでしたが、韓国料理とビール三昧。池袋に移動した理由は、私のホテルがここで、今日のお二人の宿(Wくんの家)が巣鴨だから。でもってその家、私が本郷時代に住んでいた家から徒歩1分の近さなんだそうです。
 「韓二郎」からホテルへは徒歩2分。今日も今日とて健康睡眠。