おぼろげなるまま 右往左往であくびして

 70回生新高1の主任であるところの体育先生から、始業式で配布する最初の学年通信に担任団新加入組として挨拶の一文を書けと命じられ、5分ほどでサラサラと書き上げる。

 【高校70回生の皆さん、始めまして。このたび高1の副担任、及び古文の授業を担当することになりました、国語科の池ノ都辰也(いけのと・たつや)です。どうぞお見知りおき願います。
 私はF中学25回生・高校47回生ですので、皆さんから見てほぼ二回り上の「先輩」です。母校であるF校に着任してはや15年が過ぎました。思い返せば、「F校から東大文学部」へと地味ながら堅実に積み上げた受験エリートコースを全力でドブに投げ捨てる形で母校F校に着任してから15年間、初担当の高校56回生から昨年度高3担任を務めた高校67回生までに至る多くの生徒から「安月給」「親不孝」「小心者」「兵六玉」などと温かい檄を飛ばして頂きながら、本校における膨大な量の職務に全力で右往左往し続けてきました。その甲斐あって最近では右往左往にかけてはプロ級の腕前、右往左往しながら授業・全力疾走・カラオケ熱唱・熟睡など様々なことが出来るようになっています。現在は、次なるスキルアップを目指し、右往左往した結果の失敗を握りつぶす技術を磨いている最中です。
 そんな15年間の帰結として、タメ齢で何だったらF校着任は私よりも遅くていらっしゃるサッカー主任先生から出世競争で瞬殺され、今年度は遂に顎で使われる身分です。ただまぁ、誰かに顎で使われるのは性質上嫌いではないので、主任先生の命令には「はい」か「Yes」かでしか答えない覚悟で一年間右往左往します。
 因みに、4月最初の主任命令は「70回生の古文の力を伸ばせ」というものでした。これにお応えするには皆さんのご協力が不可欠、どうぞ宜しくお願い致します。】

 私「あ、体育先生、先生のメアドにデータで送っときましたんで~」
 体「すみません、お忙しいのに。有難う御座います」
 私「いえいえ~、お安い御用で~す」
 職員室の離れた場所で仕事してたら、10分後くらいに体育先生の「池ノ都先生!」という絶叫が聞こえてきました。新年度如何。

 日曜出勤の職員室で高1古文の授業準備。
 高3漢文に関しては少なくとも二次対策(文系授業・理系東大特講)は59・60・61・63・65・66回生と6年担当してますので、授業プリントも今あるものを適宜更新する程度で良く、センター対策授業も59・60・61回生と3年担当しておりプリントも全て保存しているので、61回生以降の7年分14題の問題・解答解説をプリント化すればよくその労はそう大きいものではありません(14題で50~60時間程度でしょう)。
 高1の古文は63回生以来だからセンター漢文同様7年ぶりではあるのですが、こちらは授業プリントを一から作り直すことにして私の方も初心で勉強させてもらうつもり。

 16時にライブバー「A」のマスターから連絡があり、店員・常連が集まって夜桜BBQをするのに誘われました(@文化街近くのS公園)。事務嬢さんも行かれる仰る(というか、事務嬢さんがメインで私がお付きです)ので、仕事(と母君のお食事準備と)を終わらせてから途中参加。事務嬢さんは美味しい蚕豆とビールとを、私は「銀のさら」のお寿司を手土産に。
 で、その夜桜見物、楽しかったんですけれども、最後の最後に失敗をしてしまいまして。帰り道の足元が暗く、草むらの中に放置されていたブロック片に躓いて派手に転倒してしまったんですね。左足首をブロック片に摺り付ける形で倒れ、足首以外は怪我がないのは感覚で分かったんですけれども、何しろ暗くて見えないし酔っ払って頭もぼんやりしてるしで、怪我の詳細が分からない。ちょうど参加者の中に看護師の方がいらしたので骨折の有無の判断をして下さって、「まぁ、折れてないなら大丈夫だよね~」って安心して帰宅して……