意地悪な嘘で駆け引きを 気まずいムードにネガティブな捨て台詞

 授業は高1古文が5コマで『枕草子』から「すさまじきもの」、2回で読むその後半を。教科書の文章は「除目に司得ぬ人」の箇所だけを抜粋して原典を大幅に削っているので短い時間でやれます。ただ、「気まずい」という感覚というか雰囲気というか、そういうのをそのまま伝えるのは本当に難しいのでそれについては端から諦めている節があります。
 「気まずい」を創作で表現して卓抜だと思ったのは内田百閒の「離愁」という小文(ちくま文庫の『内田百閒集成17 うつつぞに見る』で読めます)。。別れのプラットフォームで汽車の窓越しに向かい合う両者が、発車のベルが鳴り続けているのに何の不具合か汽車がいっかな発車しないので次第に……という展開。これは「気まずいっ!」がダイレクトに伝わりました。あんまりに面白いから小説の問題にして中学確認テストに出題したくらいです(問題としては質が良くなかったんですけど、とにかく読んで欲しい! という思いが先走った若気)。後に、殆ど同じシチュエーションを、いしいひさいちが4コマ漫画(『んなアホな!』)で、又吉直樹が俳句(『カキフライがないなら来なかった』)で表現しているのを読んで「だよね~」と思いました。

 夜、昨日約束した63回生Iくんと飲みに。自宅をタクシーで出て、Iくん家(近くの待ち合わせ場所)経由で文化街へ。いきなりスナック街ですが何軒かは普通に(食事をしっかり摂りながら)飲める店もあって、私にしては珍しくノープランで車を降りました。Iくんが料理の種類は何でも良いと言ったので、じゃあ幾つか良さげな店を巡って最初に入れたところを、となり。で、いつか行きたいと思っていた(のに予約電話はこれまで6、7回断られた)店が1席だけ空いててすんなり。魚料理「S」は、Hさん・事務嬢さん・英語パイセン・63回生Nくんママ等々、色々な人から「良かった」という評判を聞いていました。二人で刺し盛り(1人前をシェア)、蛍烏賊沖漬け、帆立フライ、天然鯛カマ焼き、等々を肴に散々飲み散らかしました(美味しかったし、会計の安さにびっくりしました)。
 私は63回生に中3から関わっていますが、Iくんが昨日ご挨拶に伺った超超ベテラン数学先生は中1から彼らの面倒を見られています(確か、6年間を通して関わった唯一の先生じゃなかったかな)。そんな彼らの中1・2年の頃の話を聞いたり、それから10年経った現在のIくん(法学徒)の学習生活について聞いたり、まぁ色々。

 二次会は「S」から徒歩3分、小料理屋「I」へ。ここは、先週末の夜に事務嬢さんと寄って(その時点で私は泥酔おねむ)、一杯だけ飲んで帰ったお店。雰囲気が良かったのにあんまり記憶が無くて残念だったので、復習のつもりで寄りました。隣接するビルにあるゲイバーの系列新店舗で、同伴や二軒目の客が多いみたいですね。客層が興味深くて、Iくん、目がキョロキョロしていました。お酒は安くて美味しいものが多いんですけれども、料理は(新規店舗なので)手探り発展途上、という感じ。納豆と辣油の入ったつけ汁で食べる素麺は美味しかったなぁ。

 来た時と逆の経路でタクシー、健康睡眠。