「レッドインパルス」「分かった言うてん!」

 山口恵以子『婚活食堂(3)』読了、★★★★。いつも通りの『水戸黄門』で、素直に楽しめます。が、今回はちょっと読み方が変わってきているのに自分でも気づきました。毎話登場する酒の銘柄が嬉しいのはいつも通りなのですが(それにしても、街のおでん屋が「而今」やら「十四代」やら、ふとした思いつきでよく入れられるな)、料理の描写、それも食べる方ではなく作る方の描写の読み方が少し変わった。
 例えば。丁度、「もりき」マスターの見よう見まねで(思い出しながら)昆布〆を作ろうと思って鯛の柵を買っていたのですが、偶然今作に丁寧なレシピが載っておりまして(作中で少し詳しく、巻末のコーナーに更に詳しいレシピがあって)助かりました(早速、今日の夕方に準備しました)。また、今作に出てきたゴーヤツナ和えが私と全く同じ作り方だったのに膝を打って、但し小説ではタマネギを使っている所で私は茗荷を使うので、今度タマネギでもやってみようかしら、とか。ほら、読み方が変わってる(ちょっと自炊を始めたからと言っていっぱしを気取ってます)。

 K市内の書店は暫く自粛休業を続け、再開後も欲しい本が品切れであることが多い(正直、小都市の書店は品揃えが悪いです)。Amazonは不要不急の(電子書籍にならないようなマイナーな)紙の本には非常時だからということもあってやや冷たいし、売り切れも多い。F校図書館といえど完璧ではない。
 で、自粛下で2ヶ月は我慢しました……が、流石に来週の授業開始を前にして授業準備に必要な本が(たとえ1冊であったとしても)手に入らないというのは論外です。これはどう考えても必要且つ緊急だと腹を括って、本日、福岡「ジュンク堂」への買い出しを決定。西鉄電車で天神まで往復1時間超、鉄道に乗るのは実に2ヶ月ぶりです。怖さはありませんが若干の後ろめたさはある(……と言わないと許されなさそうな風潮に少しは迎合した方が良いよなぁ、という思いがある)かな。
 国語教師が授業で必要な本を買いに行くのに何をびくつく必要があるんだ、というか高3生がこの電車で学校に来て学校から帰ってしてる時に仕事の必要性まで犠牲にして遠出遠慮とか論外だろ、と、マジでこの腹立ちはどこへぶつけたらいいんだろうという9時54分乗車(本日、午前中は欠勤)。

 平日の午前中ということもあるのでしょうが、行きの電車は1両に30人弱、帰りの電車は1両に20人弱という寂しさ。天神の街も、アーケードの方にこそ少しだけ人出がありましたが、コアもビブレも閉館した大通りの方は閑散です。「ジュンク堂」が自粛営業でオープン11時(いつもは10時)というのを到着してから知ったので、時間潰しには10時から開いてるうどん屋で早めの昼食。2ヶ月ぶりの公共交通機関で到着した街で、除菌剤もおしぼりもないうどん屋で昼食を摂り、そこで読んでる本がつづ井『まるごと 腐女子のつづ井さん』、というのは後ろめたさのフルコンボです。

 11時に飛び込んで12時にそそくさと出た(1時間しか居なかったというのは我ながら「烏の行水」です)店内は、客が驚く程少なかったですが、買うべき本はたくさんありました(レジでは配送かと訊かれましたが、両の手で持ち帰れる分量だったので遠慮しました)。因みに、天神店は6月をもって一旦閉店。ビルの建て替えだそうですが、代替の店舗は確保していないとのことです。これ、8月の上京が緊急且つ必要ってことになるんじゃないかしら?
 8月の上京と言えば、直前キャンセル可能な形ではありますが、願いを込めてホテルは押さえています。五輪霧散の投げ売り価格も哀れな常宿を予約していたのですが、それこそ本日のニュースでブラック企業っぷりが告発されていたので取り敢えずキャンセル、別のホテルに乗り換えました。こちらも、通常なら5泊6日で22万円のところが6万円弱、3割にまで暴落です。

 K市に戻って13時に学校入り、16時までデスクワーク。授業プリントの準備は、高3文系漢文はセンター試験前の授業(12月末)の分まで終了、高2現代文は6月第3週の分まで終了、6月後半に2コマだけお邪魔する中3漢文についてはその分の授業プリントと定期テストの作成まで終了。授業の準備を前倒しで終わらせておけば、動き出した後に時間割で突発的な事態が起こっても動きやすいですからね……っつっても、この「突発的な事態」って関係者にコロナが出て学校が閉鎖されるというやつなんで、そんときゃ最早焼け野原なんですけれども。

 帰宅後、追い炊きの間に料理の下準備。明日以降食べられるように鯛の昆布〆を準備して、秋刀魚に塩をふって、林檎を剥いて(切った後に、皮をピーラーで剥くやり方)、作り置きのタッパーから小鉢3品を準備。
 入浴後に書斎で書き物。18時~20時で注文していた宅急便を受け取ってから、夕食の仕上げ……は、ただクッキングシートを敷いたフライパンで塩秋刀魚2尾を焼くだけ。半分に切って飾り包丁、4片を熱したフライパンに置けば勝手に焼ける……と思ってたら、脂が出過ぎて塩焼きというより素揚げに近い状態になってしまいました。自分の身から出た脂で揚げられる、ってちょっと残酷ですね。焼いた後で、秋刀魚2尾を置ける皿が無いことに気づいたので、重箱に焼き魚を置くなんて変なことを。大根おろしの準備は面倒なので、茗荷の酢漬けで代用(に、なるのかどうかは知りませんが)。

 5/29の自粛御膳。
 じゃこ飯・秋刀魚塩焼き・小鉢3種・水菓子。
 秋刀魚は2尾。小学校の頃は、家で秋刀魚なら母君が3尾は焼いて下さいました(中学に上がって寮に入ってから、秋刀魚は1尾で一食分だと知りました)。成人前までは、頭も尻尾も骨も残していたし内臓も無理だったので可食部なんてあって無きが如しだった訳ですが、今は頭から尻尾まで小骨一本残さず食べるので1尾あれば充分(以上)という感覚です。今日は食べ過ぎ。

 日本酒は宮城「乾坤一」(手作り純米吟醸)。当たり前ですが、ほぼ好きな銘柄だけを集めているので毎日美味しくて毎日幸せ。明日で50銘柄に到達ですが、セラーの中のストックも(自粛が続くなら)これから注文したい銘柄もたくさんあります。とは言っても、プロでもない私が知ってる範囲で好きな(少なくとも名前と都道府県とが一致する)銘柄は多分あと30~40種で打ち止めです。無理矢理100を目指すなら、知っているけれども好きではない銘柄を呑んで後悔する覚悟が必要で、それはノーサンキュー。
 今、セラーに入っている(呑みながらラベルを見ているだけで幸せな)のは「るみ子の酒」「ロ万」「花陽浴」「光栄菊」「南方」「七本槍」「鳳凰美田」「蓬莱泉」「来福」、の9種。冷蔵庫にも数種類。店か。

 ほよほよの状態で洗い物まで終えて(食洗機のボタンを押して)、ベッドの中で寝る前恒例のTwitterを開いたら、フォローしている22人がリツイートディベート中。お題は、飛行機飛ばして医療従事者に感謝すべきか否か……何、それ。
 「ブルーインパルス」とか聞いても堤下の謝罪会見くらいしか連想出来ず、そもそもそれ(謝罪会見じゃなくて飛行機)を見て感動するとかいう感性や来歴をもちません。話題に好き嫌いの興味が持てない私は、そう言えばこれって「九州新幹線」の時には飛べなかったんだよね、今回は「急襲新感染」でリベンジかぁ、とかいうクソ血痰ダジャレが浮かんだ程度で眠りに墜ちて(飛行機だけに)いくのでした。あ、新宿の感染受け容れ病院で病理医やってるでっくんには頑張って(というか息災で居て)欲しい、彼は今日の千羽鶴、じゃないブルーインパルスを見上げて感動したりしたのかなぁ……。