久島のデザートは その満点をもはるかに超えてうまかったのじゃ

 アーバンギャルドのおおくぼけいさんと戸川純ちゃんとがピアノと歌だけのアルバムを11月に発売するそうです。「肉屋のように」「バージン・ブルース」等の従来の純ちゃんのレパートリーに加え、いくつかのカバー曲(若しかしてオリジナル?)も収録されているようなのですが、その中に「クレオパトラの涙」という曲名。これ、若しかして由紀さおりが歌った「あの曲」なんでしょうか? 手塚治虫のアニメ映画『クレオパトラ』の主題歌で、作詞が中山千夏、作曲が冨田勲。美しいスキャット(というよりもはや溜め息)が印象的な、「夜明け~」の翌年の歌唱です。高2の時に通販で買ったアニメ主題歌大全みたいなCD-BOX(今も愛聴)で初めて聴いた時には(エキゾチックだし色っぽいしだしで)ドキドキしました。もしも「あの曲」なんだったら、現在の純ちゃんのキーでどんな歌唱になっているのか、楽しみ半分ハラハラ半分というところですね。
 来年の2月26日に東京で観劇(感激)する予定の、中島みゆき「夜会vol.20 リトル・トーキョー」。今回の共演者に渡辺真知子の名前。どういういきさつで共演が決まったのかは想像がつかないですし、演技をしているイメージも全くないのですが、とにかく好きな歌手なので観られることが嬉しい。舞台への期待度がアップです。

 27日上京の夜はやれ楽しみなりでっくんとの逢瀬、店は虎の門でお医者様をやっておられるでっくんの選択だということで楽しみにしていたのですが、今日届いたメールで泉岳寺の焼き鳥屋「T」が指定されていました。B級グルメ焼き鳥の聖地K市から出向く客に焼き鳥とは生意気な、と思ったら焼き鳥屋というより焼き鳥を中心とした肉料理の懐石を出すお店だそう。最初に約束を取り付けた時には虎の門のお医者様の財力・金銭感覚を想像してガクブル、精一杯の背伸びというかブラフかます勢いで「客単価20000円以下で!」とメールしたら「そんな高いところには行かない」って言ってたんですけど、今サイトを見たら料理はコース8000円で消費税とサービス料10%とがかかるって書いてありますね……。メールで質したら「20000円は行かないはず」だって。理系か。

 4時前起床、書斎で校内模試の採点(これは添削をしないのでサクサク)を少しだけ進め、入浴後に母君の朝食作成。学校には8時入り、今日の業務は校内模試(2日目、英語・社会理科)監督及び採点。
 5日の日記に書いた「満点以上」の解答が、本当に1枚出てきました。採点を始める前に解答解説を印刷する(試験終了直後に生徒に配布する)形式なので、こちらの準備した解答に抜けていた(かつ解答にふさわしい)要素があった場合、想定している配点とは別に加点をすることにしています。すると、満点以上(今回の試験では或る記述設問で10点満点中11点)が出て来得るんですね。今回はA組文系の某さん。61回生以来6年ぶりのことで喜ばしい。
 全体的な得点は、5割弱の予想で5割(ほんの少しだけ)超。「やや良い」とするほどまでは行かないけれども心配要素のない「例年並み」です。東大に思いっきり「寄せて」作ったので、東大以外(京大・九大・一橋等)の過去問に親しんでいる人には不慣れな形式でした(誠実に書いてくれてはいますが、やはり東大組よりはやや点が下がります)。現役生・校外生の差はほぼ無しですが、得点的には現役生の方が(ほんの少しだけ)上で面目を施しました。文理別に見ても、現役生・校外生ともに文系が理系を上回っています。

 18時まで採点業務、職員室の日直が回ってきていたので下校を促す放送と校内巡回と。自転車で帰宅後、母君の夕食を作ってから入浴。母君がお休みになった後、近くの焼き鳥屋「K」で串とお好み焼きとを食べて、閉店間際のスーパーで食材を幾つか購入して帰宅。
 川西ノブヒロ『バスルームのペペン(3・4)』読了、★★★★。とにかく主人公の造形のかわいさがあれ。登場人物全員が優しいというのは潮流なのかな。そんな中で、多少のシリアス(不穏な)展開の兆しにも注目。

 20日にとある方と2人で飲みに行くお店を決める必要があり、割烹「G」にダメ元で電話したら個室は埋まっているけれどもカウンターならという返事。個室(テーブル)で向かい合うと緊張してしまうお相手なので、カウンターの方が気安くて良いかな。あそこのカウンター、居心地が良いし。
 明日は同じく小料理屋「A」のカウンターで56回生Nくんとお久しぶりさし飲みの約束(LINE登録の恩恵?)。こちらは、向かい合おうが隣同士だろうが気兼ねのない相手です。

「何食べよう」って ふざけて笑い合うのさ

 水木しげる白石加代子と来たら観に行かないはずがない。北九州芸術劇場で11月に行われる舞台「ゲゲゲの先生へ」、勿論チケットを購入しています。佐々木蔵之介松雪泰子白石加代子の出演で、シナリオは水木しげる作品へのオマージュになっているとのこと。土日公演の日曜昼を取ったので(土曜日は特講があるので不可能)、母君の昼食を準備してから速攻で新幹線という流れかな。
 来年5月東京の「キンキーブーツ」(小池徹平三浦春馬)は、取り敢えず先行抽選に応募してみました(5月2日)。どれくらいの倍率なんでしょうか。5月1日・2日は平日になっていますが、これがどうなるかはまだ分からないんでしたっけ。即位の1日を祝日にするならば3日が祝日なので祝日と祝日に挟まれた2日は休日になり、1日を祝日ではなく休日にするならば2日は平日になるはずです。

 4時起床、入浴後に書斎で昨日の東大文系特講を添削。進捗は7割程度で、これでは朝のSHRで返せないのですが、今日は校内模試で返却は帰りで良いので、残りの添削は午前中の学校で行います。
 6時半過ぎに起き出して来られる母君の朝食を作成。とは言っても、洗い物まで含めて10分程度の簡単な工程です。何しろ、野菜のマリネは事務嬢さんからでこれがプレートの1/4、コンビニ惣菜のひじきがプレートの1/4。残る1/2はレタスのサラダと目玉焼きで、私の実働はレタスをちぎって玉子を焼くだけです(後は、お茶を煎れてフライパンを洗うだけ)。因みに、サラダのドレッシングはB組某くんママから、目玉焼きのケチャップは別の某くんママから頂戴しています。頂き物だらけ。お茶は通勤路にある「梅の花」直売店で購入した地場産の韃靼蕎麦茶でこれは美味しい。私も書斎添削のお伴によく飲んでいます。

 本日、第3回校内模試。初日は数学・国語の受験です。今回から、国語は二次試験で国語の受験がある生徒のみの受験、具体的に言えば文系(ほぼ)全員と、東大・京大を受験する理系。全部で100人程度です。校外生と合わせて150枚弱の答案が15時に到着。漢字だけ採点しましたがこれは校外生の勝ち。「至当」「資する」というのが難しいと思って出題したのですが、「至当」は意外に書けてました(文脈から漢字を想像するのが上手だったのかな)。「資する」は崩壊。今回出題の文理共通第一問、本文は近藤嬢『聴く人』から。テーマは文化相対主義で「現代文あるある」、現役生も校外生も知らない話だとは言わせない。記述の採点は未明の書斎からスタートします。今日から始めたかったのですが、今日は夕方に2つの会議があり出来ませんでした。

 帰宅後に母君に夕食をお出しして、私は「もりき」で独酌。今日のK市は18時の時点で気温が17℃です。たった数週間前と20℃違うというのですから驚き。今季初の牡蠣が入っていたので、牡蠣しゃぶにしてもらいました。日本酒と合う。

「流れ」を経験できる身体空間である。

 学校近くのセブンイレブンに、F校親玉大学経済学部のとあるゼミから開発された「K大学茶 K UNIVERSI TEA」が売ってました。味は美味しかったんですが(八女茶ですからねぇ)、定価150円のままF校の売店に置いても(事務室や管理職の先生が検討しているのでは)、そこまでは売れないと思います。どうするんだろ。あ、ネーミングについては口を閉ざします。

 本日も授業無し(放課後に東大文系現代文特講はあります)。SHRの後、2時間の年休を取って母君をF校親玉大学病院の緩和ケア病棟へ(先月に続いて2度目)。担当のF先生に近況を報告したり、入院(短期・長期)のシステムについてご相談したり(緩和ケア病棟は、やはり「待ち」の患者さんが大勢居るそうです)、1時間ほど。「S」病院の呼吸器診察とは違い特に検査があったり薬が出たりという訳ではないので、母君にとっては気は楽みたいです。時間の関係から、昼食は外食にせず、自宅に戻ってから私が準備しました。
 学校に戻った後はデスクワーク(添削・授業準備・会議プレゼン作成・特講板書準備等)を粛々と。そう言えば、先週末に③校内模試の校外生(浪人中の卒業生)受験が某所(予備校)で行われ、私が出題した分の答案も回ってきているのですが、まだ漢字以外採点していません。明日から始まる高3生の受験が終わってから、一緒に採点をするつもりです。
 放課後の特講は2011年度、桑子敏雄『風景のなかの環境哲学』。これも、河川の風景という変わった題材を扱っていますが(予備校講評には、風景論は珍しい等)、問われている概念・論理は数年ごとにくり返されている非常にオーソドックスなもの。現象より構造を見たがる理系の生徒の方が、若しかしたら得意なんじゃないかなぁなどと(理系特講は来週)。添削は明日の未明、及び出勤後の午前中に。明日は校内模試なので、朝のSHRではなく帰りに返却することにしています(返却される側の精神衛生を考慮して)。添削する側も少し楽。

 18時特講終了後に自転車で帰宅(雨が降りかかっていましたがギリギリ濡れずにすみました)。母君に夕食を作ってから入浴、私と入れ替わりに母君がシャワーを浴び就寝準備をなさったところまで見届けてから自宅を出て、肉料理「I」で読書独酌。幸田文大村彦次郎いしいひさいち

 近藤勝重昭和歌謡は終わらない』読了、★★。まぁ、ラジオのお喋りかなぁ。登場する昭和歌謡の曲自体には勿論素晴らしいものが多いのですが。

今ここで この場所で 素敵だな!

 4時起床、書斎で書き物、入浴後に母君に食事とお茶とをお出ししました。昨日は体調絶不調、夕食も殆ど手をつけられませんでしたが、今朝は異常なしで食欲も通常通り。吐き気や目眩はなかったものの、昨日はあれだけ「不味い不味い」と嫌っておられる経口補水液をペットボトル1本(他にも冷たいルイボスティーなども)お飲みになっており、もしかしたら熱中症のようなものだったのだろうか、と仰有ってます(熱はなかったですが)。取りあえず、小忠実に水分を摂られるようお願いしてから出勤。

 今日は授業無しの一日でデスクワーク。合間に、予てよりストックしておいた本文を使って出す予定のない校内模試(小説)の問題を作ってみました。校内模試の小説は、第1回(6月)と第2回(8月)において出題されます。但し、高3の現代文担当者は1・4回目の評論、漢文担当者は1・4回目の漢文の出題がほぼ義務になっているので、56回生以来(とある回生を除き)11年間ずっと高3現代文・漢文のいずれか(もしくは両方)を担当している私には小説出題の機会が訪れることが無く。私が校内模試で小説を出題したのは、初年度に1回だけです(正直、小説と古文とについては作問に苦手意識があります)。
 事務嬢さんが、茄子ゴーヤ煮浸し、茄子トマト玉葱マリネ、を母君にと作って来て下さいました。野菜は全て、ご実家にある広い広い菜園で収穫されたものだそう。野菜(殊にゴーヤ)がお好きな母君は大喜び。先日は、63回生Nくんママから鰯の梅煮、かしわおにぎりを頂戴し。支えられてます。多謝。

 夜は、頂き物を中心にプレートをお出しして、昨日の体調不良を慮って早めにお布団に入られた母君(明日はF校親玉大学病院の緩和ケア診察です)を残して「もりき」へ。今年の分の秋味(瓶)が間もなく尽きてしまいます。生サンマ塩焼きと一緒に味わいました。

僕 僕笑っちゃいます

 昨日はラーメン〆のお誘いを断って良かった! という勝利の6時起き(5時間弱睡眠)。母君の朝食とお茶とをお出しした後で、1時間だけ二度寝。入浴後に学校に出掛けて添削と学級通信作成というデスクワーク。

 96年京大の(今は無き)後期は佐藤信夫『レトリック認識』からなんですけれども、これが何でこんなの聞くの? という専門性と難解さ。選りに選って小林秀雄を引用して「ためらい」表現の機微を説くその内容を説明させるという荒ぶり方を見せたかと思えば、筆者自身が「あると言えば……ある」と「ためらい」の実演をするその意図を全文の要旨に絡めて書かせるというメタり方をする。そしてそれを、国際言語学オリンピック日本代表某くんが見事に読めてるという。何なんだろう、もう、笑っちゃいます。

 昼食にラーメン屋を選ぶあたり、昨日は〆に行きたいなぁという気持ちがあったんでしょうね(だからこその「勝利」です)。セットに餃子などつけてデブ活。
 一旦自宅に戻って昼食をお出しした少し後から母君が不調を訴えられ、先日病院で点滴を受けた時のような目眩や嘔吐というところまでは行かなかったものの、一応心配なので昼以降は学校に行かず自宅書斎で仕事をしたりリビングでTVを観たりしました(正確には『おっさんずラブBlu-rayの視聴。特典映像は、成程、ファン悶絶だわ)。母君に夕食は作りましたが、殆ど手をつけられませんでした。取り敢えず、17時過ぎに休んでいただいて翌朝の体調を見ます。

 夜は居酒屋「A」で読書独酌。前回作ってもらったパスタ(醤油バター)がとても美味しかったので、リクエストして二度目の賞味。巧し。読書は、『みそっかす』から芸能本(歌謡曲を巡るエッセイ)へ。2冊目に移る時に横に立ってたバイト女子と目が合ったので、「酔ってきたら、軽い本に替えるんです」と説明して笑われました。

呼吸をする 母なる全てを吸い込んで

 幾ら連休でゴロゴロする時間があるからと言って、ベッドのスマホで今更『チャージマン研』に一時間超を費やすというのは如何なものかと我ながら。

 母君に朝食を出して書斎で仕事、クリーニング店が開くのを待って母君の敷布団を出しに行き、10時過ぎに学校へ出て仕事を1時間。買い物寄り道をしながら自宅まで往復して母君に昼食を……出そうと思ったら、リビングに入った途端にそれと分かる匂い。テレビでご覧になってどうしても食べたくなったとかで、チキンラーメンを1袋分召し上がったそう。まぁ、たまにはそういうこともありますかね。昼食を作らなくて良いならほぼとんぼ返りです。学校でデスクワークを数時間やってから帰宅。
 事務室宛に発送予定の『おっさんずラブBlu-ray Boxは台風に負けずに無事到着。

 同窓同僚数学の奥様、若手体育先生(産休中)が職員室へ。お嬢様は10ヶ月にしてもう歩けるようになったそうです。見せて貰いたかったんですが、職員室内では抱っこされてないとお嫌みたいで、降ろそうとして地面に足がついた瞬間に「ふぇ」と泣きそうになる。足の裏にスイッチがついてるみたいで面白い。
 こちらは8ヶ月だったかな、56回生Kくんが奥様・お子様を連れて学校へこっそり侵入。三連休のど真ん中に教員が居るはずもないから、ふらり校舎を見に来たという感じですね。教育実習でF校に来た時は2日に一回、就職後にK市在住だった間はごくたまに飲みに行ってたんですけど、ここ数年はすっかりご無沙汰で、ご結婚もご長男誕生も全く知りませんでした。息災何より。会えて良かったです。

 LINEの使い方、よく分かりません。登録直後(本当に「秒で」)連絡をくれた56回生Y丸くんに使い方をちょこちょこ教わりつつ、LINEを入れた「諸事情」に関わる数名の方とご連絡を。

 15時半の帰宅後は、母君と血痰ネーミングスーパーマーケット「You Meタウン」へ買い物に出て、ゆったりお風呂の後で母君の夕食を作成。18時前に自宅を出て、事務嬢さんとのさし飲みに出ました。焼鳥「S」からライブバー「A」。安定のF校カラオケ倶楽部です。THE YELLOW MONKEY「BURN」、小谷美紗子「嘆きの雪」、ANATAKIKOU「シンデレラ」(久しぶり!)など。オツカル様とは二度と歌えない歌が数百曲ありますが、そういうのはこちらのカラオケ倶楽部で。もう一人のメンバーとの会合が待たれますが、学年主任(雲の上)になっちゃったからなぁ(言うと「関係ないやん!」って言われそうですけど)。

風の音で目覚めた夜明けは薄明かり

 誤って目覚ましを3時にかけてしまっており二度寝をしたのですが、3時の時点でかなり風が強くなっていたような印象です(ぼ~っとしてたので記憶違いかも知れません)。6時に起きて母君に朝食とお茶とを出し、三度寝を8時前まで。入浴後に書斎で書き物などをし、血痰ネーミングスーパーマーケット「You Meマート」(ガラガラでした)とセブンイレブンとを回って買い出しや預金引き出し等の細々した作業(町中は、終日臨時休業若しくは夜のみ営業の店が多い様子)。傘は不要で、風も一寸強いかなぁ、程度。勿論、先週の転倒の反省がありますので、母君は外出禁止です。

 途中にマンガ2冊を挟みつつ、幸田文『みそっかす』を少しずつ、少しずつ。上等の着物はゆっくり縫う、拙劣でよい普段着はさっと縫う、という教え(本書より大意)は読書も同じで、この本の読了にはおそらく一ヶ月以上かかるでしょう。幸田文については、先日の日記にも書きましたが、数年前にF高入試問題候補として提出したとある文章が没になり、それを高3の校内模試文系用に作り替えた問題をストックしています。文系現代文の担当が回ってきて、どうしてもネタが見つからない時のための保険なのですが(今年までに何回か文系現代文の担当がありましたが、使わずに済んでいます)、それ一つさえ作っておけば今後彼女の文章を「問題を探す目」で見る必要はありません。これは、読書において割と大きな意味を持つことです。没になった時の入試検討会議では、まぁ行けるんじゃないかなぁと思って提出したところ結局は使えないという結論になった(難しすぎるぜよ、という雰囲気だったので私が引いた)んですけれども、誰が何を言うより前に或る先生が歎じて一言、「にしても巧いねぇ!」と仰った文章を、私はずっと「素材」としてしか見ることが出来ないのです。因みに、どうせ半世紀以上前に書かれたものなのでストックの期間はいつまでだってOK(最早古典ですから)。極端な例を挙げると、いつぞや高1の長期休み明け確認テストで使った或る古文の問題は、作ってから出題する迄に8年の間がありました。
 あ、マンガ2冊は江口夏実鬼灯の冷徹(27)』とヴァージニア二等兵異世界居酒屋「のぶ」』とでした。両方とも、★★★★。

 15時過ぎには台風はK市を去り、今日は(結果的)3連休の初日ということで学校に行かないと決めていたので何やら色々と。例えば、ふと思い立って近所の理容室で顔ぞりを。行きつけは美容室なので顔ぞりが出来ず、1年ぶりくらいのことでしたが、担当の小母様に「月ごとくらいには行かないと、産毛が凄いことになってますよ」と言われました。

 活用するつもりは無いのですが、諸事情あってLINEを登録したら、直後に母君が30年懇意になさっている生保レディのHさんから丁寧なご挨拶が来たり、10年会ってない昔の飲み友達(おじさん)からのスタンプ(?)の扱いに困ったり、47回生Iくんからの「招待」なるものの意味が判んなかったり、56回生Y丸くんに色々教えてもらったり、56回生Nくんとの一週間後の飲み会が決まったり、酔い寝堕ちる暇もないくらいの怒濤でど焦り。

あなたのことを かけて来るのを 待ってる人がいる

 未明の書斎で特講(東大理系現代文)添削。東大の添削をしていると、時々「お前は私か?」という解答を書いてくる生徒がいます。今年は理系に一人でうちのB組の某くん。今日の宇野邦一は28/40で7割。私が恣意的に解答を書き、それに即して恣意的に採点をして、それでコンスタントに6~7割を持って行くんですから相当な力量(適応力)です。
 来週の第3回校内模試の採点が楽しみになってきました。校内模試は、受験当日終了後に解答解説を配布するので、採点前にそれらを生徒に公開することになります。そうしたら、私が予め書いた解答よりも深い記述をしてきた生徒には満点以上(例えば8点中9点とか)をつける他はありません。嘗て、そうですね、6年前の61回生くらいまではそういう解答が稀にありました(設問一つが満点以上でも、大問全体では満点に至ることはありません)。今でも、そういう解答を期待して待っています。

 朝は年休。SHRは副担任の超ベテラン英語先生に代行を依頼しました。まさか、就職初年度に私が副担任についた先生と逆の立場になる日が来るなんて。
 母君の「S」病院検診の介添。タクシーですーっと移動して、受付、レントゲン、9時の予定が8時50分に診察が始まり、異常(悪化)なし投薬治療継続の判断、会計後の薬が出来上がるまでに30分かかって(1回分ずつ個包装してもらうため普通より時間がかかります)、9時半オープンの西鉄K駅内スーパーで母君の昼食弁当を購入。自宅までのタクシーに母君をお乗せしたら、私は近所の書店を覗き、ミスドで特講の得点集計(間に合いませんでした)の残りを終わらせました。昼食は近くの喫茶で煮麺、その後にタクシーで学校着が11時半。母君異常(悪化)なしは良いこと。受診日が辛うじて台風にぶつからなかったのも幸運でした。

 6限の学年会議まではノルマがありませんでしたので、デスクワークを淡々と。学年会議では久しぶりに何人もの個人名が出て彼らの指導(受験的な意味です)をどうするかという話が熱く交わされました。「こういう会議をしなきゃ!」とは最強数学先生のコメントですが、私は「台風が近づいてるからみんな興奮してるのかなぁ」とかアホみたいなことをぼんやりと。
 生徒某さん(高1A時担任、現在は別のクラス)をお呼び立てしてちょっと気になっていることを確認してみたら、まぁ育ちの良い方だからでしょうが去り際に「気にかけて下さって有り難う御座います」と言われて苦笑してしまいました。10年以上前、副担任を務めていた56回生のTくん(←やや偏屈)から「池ノ都は不必要に干渉しないところは良い」とお褒め戴いた人間ですので。7年も担任をやったら、何かと変化があるんでしょうかね。

 さて、明日は休校(つまり明日から3連休)だから、放課後の京大特講を終えたら(母君に夕食をお出しして)がっつり飲みに行くぞ! と思ってたら職員室に獲物がやって来ました。こないだ教育実習に来た63回生Mくんがちょっとした事情で里帰りしていたのをつかまえて夜に飲みに行く約束。
 さて、京大文系現代文特講は、京大医学部卒の医師・歌人上田三四二「地上一寸ということ」で京大過去問の中でも私が一、二を争うほど好きな文章(阪大でも出題されたことがある新聞エッセイです)。上田三四二に関しては、嘗て校内模試で62回生に『無為について』から「武器について」を全文出題したり、学年担当をする前の67回生(当時中1)の確認テストで『短歌一生』から「底荷」を全文出題したり、折に触れて授業資料として印刷したり、自分で味わうだけではなく後続の人々に是非読んで欲しいと「布教」を続けているのです。というわけで、過剰に思い入れが溢れないよう、意識的に自己を抑制しつつ解説を終わらせたのが17時20分。

 入試や校内模試には、基本的に好きな書き手の、是非読んでもらいたいと思う文章しか出題しません。入試に関してはどの問題を作成したのかは明かせませんが、例えば高3校内模試、中1確認テストなら、すぐに思い出せる有名どころだけでも、上田三四二内田樹青木奈緒・霜山徳爾・内田百閒・福田恆存北林谷榮小池昌代(←これが05年の東大文系で出たやつ)・梨木香歩林達夫熊野純彦最果タヒ……。
 入試問題用に提出して没になったものの書き手には、幸田文水木しげる森銑三・松岡清剛……あと、珍しいところでは叶恭子お姉様の文章も。あの時は、文章が素晴らしかったのは勿論ですが、入試問題に「叶恭子」の文字が出たらちょっと面白いかもという下心は確かにありました(反省)。勿論、たった5人(5種類の文章)しか没がないなんてことではありません。入試は厳しい。私、初めて問題を担当した年(新米も新米だった頃)には7、8回くらい没を食らいました。当時は涙こそこらえましたが不本意不本意(実際、その内1題だけは今でも「出して良かった」と思っています)、だったのですが今の目でそれら問題を見たら「そら、没だわな」と。自罰的ですが、没問、全部保存してます。今だったら恥ずかしくて(というより、こんなののために国語科の先生方のお時間を取らせるのが申し訳なくて)とても会議に持って行く気になれません。大体、多分没だろうなぁ、などと思いながら会議に問題を提出したあの時の自分の心構えが恥ずかしい。自分でダメだと思っているような愚作が他に通じるはずもなく、ただ「努力はしたんです」というポーズのためだけの急拵えに他の先生を巻き込む、書きながら顔が赤くなる思いです。
 こういうのは仕事をしているならば少なくない人が通る道やも知れませんし、15年後の自分が去年今年の自分を見たときの感想もまた同類のものなのではと予想します。が、何はともあれ、あの時の没の嵐は堪えました。常時読書が問題を探す目になって、中学入試語彙文法・作文もしくは聞き取り・評論・小説、高校評論・小説・古典、の全てのジャンルに関して1つ以上はストックを持っておくようにしているのもあれ以来です。

 さて、特講後はすぐに自宅に戻って母君に夕食を出して入浴、着替えてタクシーでMくんと待ち合わせ場所へ。何を食べたいかと聞いたら洋食との返事だったので、がっつり洋食を出す「B」へ。近況を聞いたり来年からのご予定について聞いたり。いずれF校の数学科に来たら……と直接は言いませんが、「そんなに東京が良いの? 僕は泣いちっちだ」と口をとがらせてみたり。
 2軒目のライブバー「A」で軽く飲んでからお別れ、私はコンビニ惣菜を幾つか買い込んで(明日買い物に出られるかどうか分からないので念のため)、帰宅。

 PCでメールを確認したら、高橋徹也の『夜に生きるもの/ベッドタウン -20th Anniversary Edition-』の発売日は10月26日に決定したとのこと。発売日より順次出荷とのことなので、私が受け取るのは再現ライブのための上京から帰ってきた後ですね。まぁこういう点に関しては、確かに東京が羨ましいところではあります(5日発売の『おっさんずラブBlu-ray Boxも、届くのは7日です)。アルバムはライブ会場でも売ってるだろうから、同行の67回生2人に買ったげようかな(CDが聴ける環境で生活しているのかは知りませんが)。

わざわざこいつを連れてきたのは だれだ

 未明の書斎で東大文系特講(宇野邦一『反歴史論』)の添削を終わらせたのですが、少なくない人数(そうですね、全体の2割程度)が、第五問「それらとともにあることの喜びであり、苦しみで、重さなのである」(傍線部)の120字記述で「重さ」を未来(における歴史)を創造することへの責任の重さだということを理解して書いてきたことに驚かされました。これは、どこだとは言いませんが予備校の解答速報でも書き飛ばしたところがある内容で、これまで高3現代文を担当した58回生・63回生・64回生のいずれの学年でも書いて2人、3人だったことを思えば高い理解力なんじゃないかと思います(初めて高3現代文を担当した56回生は本番でこの問題と出会ったんですからこれはもう不運な事故)。あるお生徒さんに至っては「重責」なんて言葉をさらっと使ってて「あっ!」と声を出しそうになりました。

 本日、4限の文系二次対策授業以外は授業無し(放課後に東大理系特講はあり)。ですんで午前中はたまってる添削を一気にやるぞと腕をまくったんですが、最初に開いた小論文添削の課題文が曾野綾子でげんなり(お生徒さんは悪くありません)。おい某大医学部、医者の卵に倫理観問いたいなら先ず題材を選べや、と。添削、やりますよ。やりますけどね。
 第3回校内模試の問題が到着。私は今年度初の出題です。就職して15年目ですが、未だに自分の問題が冊子になったのを見るとじんわりと嬉しくなります。以前Twitterで「模試は本試の二次創作、予備校はコミケ(大意)」というネタを見たことがありますが、作り手である私にとっても感覚は同じです。同人作家さんも、こんな気分になるのかなぁ(作家舐めんなレベルの甘い認識?)。

 3限の時間で自宅往復で母君の昼食を提供、4限に授業、5・6限でデスクワーク。
 ちょっと驚いたのが、明後日(6日)土曜の休校(台風25号)が早々に決まったこと。当日6時(メール・HP)発表の原則はどないしたんじゃ7月に決まったばっかりやろがいという話ですが、土曜の中体連が中止になって来週水曜日に延期になったとか、延期になったその日が定期テストの初日だとか、それに伴う時間割変更は明日金曜の分から手を入れないと定期テストが成立しなくなるとか、なんだか色々な理由があるみたいです。昼過ぎに休校が決定しそれに伴う5日(金)以降来週いっぱいの時間割変更を2時間以内に行わなければならなくなった(帰りのSHRで生徒に連絡するため)時間割先生は頭を抱えておられます。あまりといえばあんまりな事態で、高3の時間割変更(パズルをちゃちゃっとやって、当該の先生に根回しをする)を頼まれた分は快諾。その高3の分だけで30分弱はかかった(パズルはそうでもないけれども根回しが大変なんです)と言ったら、中高6学年分でそれをやる仕事量がお分かりになるかと思います。天災だから、誰のせいでもないですしね。

 放課後は理系の東大現代文特講で教材は昨日と同じく08年の宇野邦一『反歴史論』。昨日の文系は当初予定60分の解答時間を最終的に75分に引き延ばしたんですが、今日はもう最初から75分の時間を指定しました。昨日同様、聴講生難渋。
 明日は母君の「S」病院月一検診の介添で朝に年休を取るので、添削の返却は帰りのSHRになります(添削自体は朝までに終わらせたいところですが)。帰宅後に母君に夕食を供して、書斎で10%ぶんだけ添削。パラパラと答案を見た感じでは、恐らく文系より少しだけ平均点が下がるだろうという予想。文系は平均5割強でした。恐らく理系は5割弱でしょう。

 肉料理「I」で独酌。月替わりのメニューが新しくなってからは初訪問で、秋茄子天麩羅の田楽、牛すじ煮込みのどちらも美味、調子に乗ってカルビクッパまで注文のデブ活。
 西原理恵子・佐藤勝『とりあたま炎上 忖度無用のチキンレース!編』読了、★★★。佐藤勝の文章の「思う」連打が気になってしまう職業病。

生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言

 書斎での書き物のお伴に渚ようこ『Ginasa Donba Recital』。チト河内をバンマスにザ・ハプニングス・フォーを従えたライブ盤。カバーソングオンリーで、私の大好きな「木遣りくずし」(奥村チヨの歌唱も良い日本民謡)や「アリゲーターブーガルー」などがラテンロックの演奏で。やっぱり生で一回観たかったなぁ(というわけで、中島みゆきさんの「夜会」も堂々と観てきます。チケット代、明日振り込みます)。

 最早朝は「寒い」と言ってよいくらいで、典型的な「季節の変わり目」は身体の不調が心配になります。実際、まぁ過労もあるんでしょうが67回生諸君の中にも遅刻・欠席が増えてきた印象。今日はうちのB組は久しぶりに遅刻欠席がゼロだったので感心しました。無遅刻無欠席通年達成みたいな気持ちの悪いクラスを目指すつもりはさらっさらありませんが、前回担当した63回生A組(あぁ、記憶の彼方)が朝のSHRの時点で44人中11人不在とかいうのがデフォルトだったから(「遅刻八部衆」、元気かしら)、今の学年くらいちゃんとしてる人たちを見てるとつい欲が出てきそうになります。

 というか、「季節の変わり目」の体調を心配しなければならないのは我が家の母君なんですね。先日、旦那出張中で可愛いワンちゃんと二人暮らしの事務嬢さんと。
 嬢「お母様はお元気ですか?」
 私「えぇ、最近は良く食べるようになりまして」
 嬢「あぁ、それは良いこと」
 私「でも一応、帰れる限り昼に帰って食事作って、定期的に顔を見るようには」
 嬢「やっぱり心配ですもんねぇ。先生も大変。それに、授業が詰まってたら帰れない場合もあるでしょう?」
 私「あら、ご心配なく。その時は作り置きのお昼ご飯を冷蔵庫に入れておきますし、それに……」
 嬢「それに?」
 私「お宅様の方とは違って、ウチのは電話に出ますの」
 嬢「(悶絶)ひ・と・で・な・し!」
 まぁ、仕事中に1回以上は「生存確認」してます、ってことで。

 今日は1・2・3・5・6限が授業(井上靖センター小説を2本立てで)、4限の時間を使って自宅往復。放課後には東大文系現代文特講があったので、帰宅は18時半近くになりました。母君の夕食にはちょっと遅い時間だったので、レトルトのカレーをメインに慌てて準備。
 書斎で添削を20%だけやって、洗い物を済ませてから「もりき」で独酌。隣には最近共学化したS学院の先生、土曜日の台風が心配ですねぇ、ウチは先日の大雨の日に帰宅難民を出してしまいまして、など学校っぽいことをお話し。ってか、いや、マジで土曜の台風休校とか勘弁だぞ(一応、時間割の先生と相談して土曜休校の時の授業変更案は作成済み)。高3はともかく、中学は中体連があって来週は定期テストです。中体連が延期になったら定期テストの日程が変わるという致命的な事態が出来します。そして、土曜の授業がカットになったりしたら「もう問題作ったのに授業がなくなった!」という先生方の阿鼻叫喚が……。

 本日の東大特講は2008年の宇野邦一『反歴史論』。本文冒頭に中島敦「文字禍」が引かれているのですが、これを筆者は(恐らく知ってて)誤読している。問題内容には無関係だから東大もゴーサインを出したのでしょうが、これを見てムッとした人も居るかも知れません。と言うわけで、この文章の冒頭だけは高2で「文字禍」を扱った時の定期テストで応用問題として出題したんです(誤読を指摘せよ)が、板書準備でタイトルを書いただけで「中島敦の時のですね」と指摘してきた某さんの記憶力に感歎。
 さて、この問題。歴史とは何か(前々回の03年小松和彦、前回の06年宇都宮輝夫、そして今回の08年の宇野邦一は「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党」には入党しないでしょうね)。これはもう重量級の難問、私が就職して初めて担当した56回生の東大受験生諸氏を屠った(っつっても良いよね)憎きやつ。解説にも力が入る……以前に、いつも以上に難渋の聴講生諸氏がなかなか解き終わらない。特講開始以来初めて、解答時間70分超を与えました(明日は理系ですが、こちらも70分の解答時間を想定しましょう)。熟考の甲斐あってか、書斎でパラパラ読んだ(後で20%分だけ添削した)限りの解答の質は高い(想定以上に高い)。
 明日未明の添削が楽しみです。21時就寝。