欲望としての他者救済

 6時過ぎに起床、シャワーを浴びて、山手線・井の頭線で池袋→駒場東大前8時。さて受験生をどこで迎えようかと思ったら、東口階段下の広場は何と受験生以外立ち入り禁止になっているとのこと。広場をぐるり囲んだ柵の外側に大人(引率者や予備校関係者)が追いやられ、正門に歩いて行く受験生に対して遠くから「頑張れ-!」と声を掛けるだけ。これじゃあ特定の生徒と会話を交わすなんて無理だし、「代●ミでーす! 頑張れー!」の掛け声にはお前が頑張れよという感想しか浮かばないし。
 駅の改札やプラットホームで生徒待ちをすると駅員に苦情を言われるので、作戦としては西口で待ち合わせするのが正しいということになります。実際、西口外には誰もいないし(来年春はここも狙い目として混むようになるかも)。受験する文系組に「西口で待つ」の連絡を回して貰って、半分程度の生徒とは直接言葉を交わすことができました(会えなかった生徒とも明日は会えそうです)。

 西口から来る生徒を見越しているのでしょう、背広姿で線の細い東大生が「予想問題集で~す」と配布していた毎年恒例の冊子を読んで、受験の生徒諸氏大笑い。「なんやこの『東就学』って!」「全然予想問題やないやんか!」と、多少緊張は解れたかな。
 時代錯誤社、相変わらずです。STAP細胞美味しんぼ鼻血・アナ雪・大正大学講師全裸・爪楊枝混入・号泣市議・アイスバケツ・ペヤング異物混入・団扇辞職・ASKA逮捕……等々をネタに無双の馬鹿馬鹿しさ。生徒某曰く、「中身知ってあの真面目な配布姿見てると面白いね」
 生徒と別れた後、一番線の細い男の子に「もしかしてあの有名な時代錯誤社ですか!? 是非握手を!」と駆け寄ったら真っ赤になってました。いや~若い人ってほんとに可愛いですね(昨日に引き続き二度目)。

 生徒を送り出した後は(17時の担任団飲み会まで)何もすることがないので、私は適当に神保町散策。先ずはドトールで読書をして、古本屋巡りで色々な本を買い漁って(卒業生に配る上田三四二無為について』、霜山徳爾『人間の限界』も数冊ずつ)、また喫茶店で読書をして。6時間ほど滞在の後、池袋のホテルに戻って荷物を置き、シャワーを浴びたら16時30分。待ち合わせの西口に行く途中にドラッグストアでペパリーゼを飲んで、担任4人と副担任1人(去年の高3の学年主任)、国語・体育・数学・化学・英語の5人で先ずは開店直後17時の「魚金」へゴー!

 乾杯のビールと山盛りの刺身。「六点盛りに何点入ってんだよ」というお定まりのツッコミ、そして「これ旨い!」という反応以外聞いたことがない青海苔豆腐。を前に私が先ず幹事力、K市「もりき」から調達したプラスティックの醤油入れ2つを取り出す。
 国語「ここに、魔法の液体があります。これで、この店への印象が更に生まれ変わります」
 体育「さすが、刺身醤油やろ!」
 数学「素晴らしいですねぇ~」
 化学「刺身旨っ! つーか醤油旨っ!」
 英語「そ~いや関東の魚屋には刺身醤油がないもんねぇ」

 63回生の生徒の話「だけ」して2時間、その後は担任団の先生方が大喜びするディープな中華料理「知音食堂」で2時間。辛めの料理を青島麦酒で流し込む。で、二次会の方の話は、学校に関する恐ろしすぎる内容でどう筆が滑ろうとも一言だって漏らせません。

 人のこた言えないけど、教員ってよく飲み食いするよなぁ、と感心しながらホテルのベッド。ネットで東大現代文の文章を確認。
 文理共通の池上哲司『傍らにあること 老いと介護の倫理学』は私も「それ」用に買っていた本ではありますが、この箇所を問題化しようとは思い至りませんでした。でも、こうして問題化されて見せられたら、正に東大の問題! というものですね。シャッポ。しかし、これは難しい(特に120字)。
 文系専門の藤原新也の文章は、間違いなく読んだことがあるものなのですが出典が分かりません(後に、白泉社文庫版の佐々木倫子動物のお医者さん』の解説だと知りました。そら読んだ筈だわ)。こちらの方は去年の問題(蜂飼耳の超難問)よりは解きやすいように思えます。但し、問三と問四とは爆裂に難しくてやっぱり東大(いくつかの予備校が出してる解答、直観だと不足か間違いかの扱いだと思います)。
 詳しく解いたり分析したりするのはK市に戻ってから。