ようこそ、東京大学へ。

 5時過ぎに起床、大浴場で入浴。受験生が駒場東大構内には入れるのは8時20分ですから、待ち合わせの駅には(「超」がつく程の念のためですが)7時半過ぎから待機をしておきます。ホテルの部屋で少し本を読んでから、6時45分に出発。池袋から山手線で渋谷、渋谷からは井の頭線の普通で2駅です。受験生は乗っていないでしょうが、平日の7時半と言えば、普通の通学・通勤客が大勢です。
 昨日の日記に書いた通り、応援要員は駒場正門のある東口から出るのがほぼ不可能なので、駒下側の西口改札外で生徒に挨拶と激励とをします。到着後は、西口からマックの側に出て少し進んだところにあるローソン・セブンイレブンのどちらかで温かい珈琲が買えます(どっちも、私の学生時代には無かったような記憶です)。私が到着した時には、A組担任日本史先生は既にご到着なさっており、B組の国語先生も直にいらっしゃいました。

 20人弱の文系高3受験生がパラパラとやって来て、会釈だけで通り過ぎる生徒も居れば、担任の先生に檄を飛ばしてもらおうと話しかけたり、お友達が来るのを待って一緒に門を潜ったり。私は東京タワーで買った「高得点」をお渡ししたので全員の顔を見ることが出来ましたが、皆いい表情をしていたと思います。67回生1浪のNさんとも偶然お会いしてお守りをお渡しすることが出来て良かった。
 応援とは関係ありませんが、毎年ここに来て思うのは、「駒場東大前」駅で降りて東大横を当たり前のように通って通学する小学生(私服ランドセル)が大勢居るってことですよ。「地の利」というか何というか、この空気を「当たり前」だとして成長する人たちに、九州ど田舎勢がどうやって対抗すれば良いんでしょう、と気が遠くなります。今朝なんて、近くの小学校でやってるらしい挨拶運動(オアシス的なやつ?)の2年生(学生どころか生徒ですらない、児童だぜ)がずらり並んで、受験生にも元気よく「お早う御座います!」って。参りました。

 更に応援とは関係の無い二の次ではあるのですが、毎年毎年ここで楽しみなのは「時代錯誤社」の学生が毎年あたかも「東大入試予想問題集を東大生が作りましたよ、何だったら僕ら『東大王』的な人かも知れませんよ」みたいな顔をして配布しているオリジナル問題集を貰うことでして。今年は(例年のような)左右の頬に「軽薄」と大書してるのが見えるタイプの舐め腐った学生じゃなくて(毎年、この手の学生にど敬語で「受験生ではないのですが、是非ご本を1冊頂戴したく」と頭を下げるのが快感なんですが)、五寸釘光みたいな子が近づいただけで無言で2冊差し出してきました。
 今年は「束京(つかきょう?)大学」のタイトルで、国語の問題は秀逸でした。現代文は上野千鶴子先生の入学式祝辞、古文は河野げんげんの履歴、漢文は大澤最年少。東大の内側にネタが抱負にある年ですからね。

 滅茶滅茶寒かったので、激励終了(受験生が全員入場)後は一旦ホテルに戻ってお風呂に入り直しました。10時過ぎからは明日の応援まで自由行動です。

 ここで、今夜ネットに出た今年の東大入試国語について一言二言。
 文系専用現代文(第四問)は谷川俊太郎の文章でした。これは早い内にダウンロードしておかないと、問題集に載らない(筆者掲載拒否)の可能性が高いのではないでしょうか。嘗て東大で三善晃の文章が出たときは、文中で引用された谷川俊太郎の詩の一節「だけ」が掲載拒否になっていました。
 文理共通現代文(第一問)は小坂井敏晶だったのですが、冒頭一文が「学校教育を媒介に格差構造が再生産される事実が、日本ではあまり注目されてこなかった」という刺激的な一文。というか、これ、去年の上野千鶴子先生の祝辞じゃん。となると、若しかしたら、時代錯誤社の予想問題集が「ズバ的」したと言ってすら良いのかもしれませんね。因みに、私が東大現代文特講をやるなら、この文章は12年の河野哲也『意識は実在しない』の次に置く(二つの文章における近代的な人間観の通底を考える)ということをするかなぁ。
 漢文は「例年並み」。特講をやるなら、問題は、主人公の知徳を「天が認めた」ことが主人公が賞賛される根拠になる(正に「天気」を変えたわけですから)ということを解答試作(「正しい解答」というのではなくて、「解説するのに都合の良い解答」)に入れ込むか否かな。

 昼前に再び渋谷に出て、67回生Yさんと青山で落ち合いました。目的地は毎度お馴染み「LATURE」で、ランチコースを食べながら近況報告など。東大文三のYさんは、1年生の夏から海外インターンに出るなど積極的に知見を広げておられ話題も豊富(逆に言えば「この道しかない!」という意味での進路はまだ定まっていないということでもあります)。
 たっぷり2時間半のコースはどのお皿も絶品で、お話も和やかだったのですが、正に今日の朝(具体的には東大の応援が終わった直後)から急に花粉症が始まった私が興を殺いでしまったのが申し訳無かったです。コロナウィルスの不安が広がる中、くしゃみこそ出ませんが盛んに鼻をかまなければならないのはちょっと嫌です(というか、いつもより人目が気になります)ね。
 あと、確かにオツカル様・55回生Tくん・63回生Eくん、というのが過去の同行者ですけれども、セルヴーズさん、「女性といらっしゃるのは初めてですね」はちょっとキツいですよぅ。

 再び池袋に戻って(ピストン状態ですね)、ホテルに入る前にダメ元で「ドンキホーテ」に入ったら奇跡的に1袋だけマスクが売れ残っていました。コロナ怖さではなく花粉症の人間にもマスクは居るのだ、とそれこそ一昨日夜の飲み会で鼻をぐぢゅぐぢゅ言わせてた56回生Nくんが言ってましたけど、2日遅れて「それな」の状態です。私、九州に居るときには殆ど出ないんですけれども、東京に来ると時々酷い症状が出るんですよねぇ(だからこれ、今は本当に辛いですけど、K市に戻ったら治ります。本当に)。
 本日3度目の入浴はシャワーだけ。部屋で少しだけ本を読んで、頃合いに出発して今度は山手線で五反田。ダウンタウン井上陽水に五反田でタクシー降りて何処へ行くんだ性感マッサージのメッカじゃないか(大意)とツッコんだ街ですね。私も「食堂とだか」に行くので1回、池上線に乗り換えるので1回、過去には2度しか降りたことがない駅で今日が3度目です。

 最初は63回生Kくん(東大→東京医科歯科大学という変わり種)とお約束、そこに別口で東大院生Hくん(野球部主将)が加わって3人で4人掛けテーブルを予約した、ら話が広がって東大文系(理系からの転身組)TYくん、経産省TKくん、東大薬院生Mくん、と増えて4人席に6人掛け。
 店は「庭つ鶏」、鶏料理が串ではなく皿で出てくる人気店です。寿司屋じゃ内ですけれども「適当に見繕って」と言ったら一通り出てくるシステム(単品注文も出来ますが、人数が多かったのでお店に任せました)。日本酒の種類は流動的な様子で(定番のようなものがなく、白板にマジックで書かれ)種類は多くないですが、「琥泉」とか「久礼」とかの「もりき」セレクトがあったので親近感。教員2万円、学生4人各2千円(経産省は仕事で二次会から)、計28000円で鱈腹飲み食いして少しお釣りが来ました。

 2次会は中華居酒屋(店名失念)、経産省TKくんが加わって6人でワイワイ。内進A組出身で、F高では理系から東大に行ったものの中で文転したTYくんは、本当は高校から文系に進学したかったけれども文系のメンバー(誰が文系、誰が理系、は噂で伝わりますからね)があんまり合わないような気がして理系を選んだんじゃないかなぁ、と文系A組担任の私は思っていて、言うと本人が嫌がるだろうから言うんですけれども、若しかしたら、文系のメンバーじゃなくて担任の私が嫌だったのかも知れませんね、てへ。でもって、最初にお約束したKくんは、ぶっちゃけ2人だったらもう少し深く長く話せたのに6人になったら何となく話題が散漫になってしまったという感じだと思うんで申し訳無く。そのKくんとF校理系生物組で一緒だったMくんはストレートで薬学部(4月から院の2年生)ということで高校時代の印象のまんま。詳しい研究内容をお話ししてくれたんですけれども私にはにんともかんとも(他のメンバーは理系だから理解出来るんですかね)。次があったらもっと噛み砕いて教えて貰おう(あれ以上易しくは無理、と言われるかも知れません)。

 明日は2日目の応援、仕事を控えているので2軒で終了。ホテルに戻って健康睡眠。