いがつく いまなんじ

 朝のニュースで関東地方の天気を確認しようとしたら映像荒天、渋谷は小雨ですが都内には横殴りの雪が吹き荒れている地域もある様子。本日から5泊6日の上京で命の洗濯じゃぶじゃぶ、年に4度の旅行では大抵の場合空が味方してくれる(ので今回も傘は持って行かない)のですが、さてどうなるでしょう。
 本日は移動日、博多から新幹線で品川、定宿は池袋のホテル。夜の宴会(63回生我らが文系A組のA&Iくん)は神泉です。

 JRのK駅に向かう西鉄バスの中で、高1A組の某生徒のお母様とメールのやりとり。これが片づいたら、5泊6日の間はF校関連の仕事の一切を忘れたい所。今回は5夜全てが飲み会で埋まっているのは勿論、28(火)の昼が64回生Tくん、29(水)の昼が64回生Oくん、31(金)の昼がオツカル様、とアポを詰め込んでいるし、30(木)の昼には三谷幸喜舞台『不信』という観劇もあるし、何だか忙しそう(そしてこれまでにも増して激太りしそう)ですね。

 新幹線では、駅弁食べて、本を読んで、Twitterやって(旅行中ツイ廃モード炸裂!)、CD聴いて、車窓見て、「桃鉄」やって、といつも通り。読了本はいつも通り最終日(1日)の日記でまとめます。雰囲気一部、移動中のツイート140字×3=420字。
 ①【旅中は仕事中より読書ゆったり、故に人文書からふと良問が出来、文芸書の感動は常の倍。田中眞紀子『父と私』が良。著者披露宴で異例の演台占拠、爆笑スピーチの果て涙で絶句の新婦父に客席から「ようし、よくわかった! もういい! 角さん、もういいよ!」  この合いの手の政治家なら信用もする。】
 ②【田中角榮の夢が走らせた新幹線の中で田中角榮の言葉。「政治家の仕事というのは、内においては総合病院みたいな面がある。派内には名医もいるが、自分自身が病人みたいなのもいる」「今の自民党には人がいないんだ! 人が!」 職員室と同じと苦笑。実際、政治家と教員との良し悪しは驚く程似てます。】
 ③【品川~池袋の山手線は、池袋方面行きが乗客バッテラ状態なのに怯んで逆回り選択も、結局は本も読めない鮨詰めで、有楽町駅で有楽町線に乗り換え。5分早く着くし空いてるし爽快、とツイートを優先して読書を忘れる本末(本と携帯端末と)の転倒……あ、これ、授業で使えるフレーズだ(←仕事忘れろ)。】

 新幹線→山手線→有楽町線、で池袋。品川着の車窓から見た空は晴れ渡っており天気については完勝。但し、事前にまっぴぃから「寒いから是非防寒を!」というアドバイスを受けて裏地着脱可能のジャンパーを2枚重ねにしてきたのは大正解でした。品川駅プラットホーム、寒い!
 池袋北口の定宿にチェックインの後、大浴場で湯浴み。池袋は山手線で考えたら品川のほぼ真反対、正直そんなに便が良い駅だという訳ではありませんが、変えても良いかなと思っていた定宿に大浴場が出来てしまったためにどうしても離れられなくなってしまい。
 山手線、井の頭線を乗り継いで神泉駅。今日は「ぽつらぽつら」にて、63回生我らが文系A組の出席番号1番Aくん、及び4番Iくんと飲み会。

 Aくんのお父様は「博多座」のお偉いさん。先日の『シスアク』チケット確保で(2度も!)便宜を図っていただいたお礼をいつかとお約束していたのを今夜。でもって、F高在校中から面談大好き芸人、正規の職員室だけでなく部活帰りのパスタ屋とかで面談(という名目の雑談)やったり浪人中には四半期に一度くらい面談(という名目の雑談)で飲み食い(酒を飲んでるのは私だけですよ)したりしていたIくんは予てより「初めてお酒を飲む席は先生と」と可愛すぎることを言ってたのでそれを今夜(既に何度か酒席は経験しているそうなので「初めて」ではないですが)。
 2人とも二十歳そこそこで、共にお酒は強くなさそうな(というかIくんは殆ど飲んだことがないらしい)ので、選んだお店は料理絶品格安・酒類東京プライス、の「ぽつら」。コース料理注文の前に店員さんが「お嫌いな物は?」と聞く恒例の質問にAくんが「トマト!」と元気に答えてくれたのには「おいおい、ここの名物筆頭であるところの野菜のテリーヌはトマトエキスのゼリーで季節野菜をよせてるんだぞこの飲み会初手から崩壊かよ」と思ったのですが、食感で毛嫌いのAくんはゼリーやジュースは大丈夫なんだそうで(同窓同僚先生とか、63回生ベテラン体育先生とかと同じパターンですね)。

 3人の乾杯はビール、ですけれどもIくんは「ビール不味くて嫌い」だそう。ペースとしては大体、私がジョッキ2杯を飲んでいる間に、Aくんがシャンパングラスの小ビールを1杯、でもってIくんが同じく小ビールを2口飲んで残りは私がもらう、というペース。大学生2人には、勿論チェイサーとしての水を置いてもらってます。
 ビールの後は、2人には思い思いの果実酒等注文してもらって、私が1合ずつ頼む日本酒の(舐める程度の)味見をお猪口でどうぞ、という流れ。愛知「長珍」と島根「王祿」とを2アイテムずつ……と、後は何を頼んだか忘れてしまいました。でも、ここの日本酒ラインナップは前述「長珍」以外は全て「もりき」と被るので、何を頼んだにしても初めてのものでは無かったはずです。

 話題は2人の大学生活、63回生の動向等色々。Iくん(ついついIちゃん、なんならIっちゃん、って打ちそうになるな)は運動系の部活を「楽しくないから」という嬉しくなるくらい彼らしい理由であっさり辞めちゃって、「じゃあ、めっちゃ勉強できるね」「まぁ、勉強は……してないですよねぇ」「しろよ」 折角の部活を辞めちゃったんだから、自力で就活アピール出来る何かを大学で見つけないとね(って、就活ありきの色眼鏡で大学を見る愚を勧めるのはアレなんですけれども、逆にF校就職ありきで就活を1秒も経験してない身としては、ちょっと世間的な意見を混ぜとかないと先人としてのバランスが取れないような気後れもあるんですのよ分かって)。
 基本的に、勉強してますという人よりも勉強してない人の話の方が面白いんですけどね。どっかで言いましたけど、どチャラく遊んでるけれど大学には毎日行って留年はしない程度、という「会いに行けるチャラ」「隣のチャラ」を目指すくらいのバランス感覚が欲しいところです。

 元々お酒が強くないメンバーとの二次会は完全にオマケ(悪く言えば蛇足)で、私は飲むけど他の人は一次会で食べ足りなかった分だけ何か適当に食ってね、という雑なコンセプトになります。と言うわけで雑なコンセプトにピッタリなのは大衆居酒屋で、「ぽつら」から徒歩15分弱の「十徳」。渋谷駅徒歩2分の立地で帰りも安全。

 で、安全にホテルに戻って健康に就寝。調子に乗ってホテル横のコンビニで「パピコ」とか買って帰る。幸せ。

サッサカサッサカ お掃除してた

 朝8時過ぎの出勤。学校はほぼ無人。9時過ぎの時点で、私の他には、勉強中の新高3が1人、事務員さんが1人、警備員さんが2名、ってとこ。今日は、午前中いっぱいを使って、旧高1A組の清掃。掲示物や残された生徒私物を全て撤去して、黒板・教壇・床の清掃、それから机椅子の整美。次にこの教室を使われる(新高1Aの担任の)先生にお渡し出来る状態にします。
 3時間の作業は、ラジカセを持ち込んでCDを大音量でかけながら。ほぼ無人の学校ですから、自室だと思って鼻歌の雑巾がけです。CDは、年代の古い順番に、松任谷由実『悲しいほどお天気』、Kate Bush『The Dreaming』、矢野顕子『LOVE LIFE』、モノブライト『ADVENTURE』の4枚。どのアルバムも捨て曲無しの大お気に、掃除も捗ります。

 明日から上京ですので暫く学校には来ません。今年度の仕事はこれで完全にお仕舞いで、次の出勤は月が(年度が)変わって4月です。
 昼過ぎに学校を出て一旦帰宅、身体も服も汚れたので入浴・着替え。その後、徒歩で西鉄K駅まで出て喫茶店で読書。明日からの上京で聖地・ジュンク堂本店を訪れるので今日は書店巡りは我慢です。

 夜は、旅行前に「もりき」にご挨拶。今日は、小上がりテーブル席をマスターのお嬢様一行がご利用。F校親玉大学に進学のお嬢様、初めてお目にかかったときは小学生でしたけれども、いつの間にか宴席に連なるお年になられたんですねぇ(しみじみ)。

若さゆえ 悩み 心の痛みに

 国語科会議。センター・東大の問題分析報告、来年度の入試・校内模試の担当割り振り、会計報告、研究室の大掃除、授業の引継ぎ、等々の作業。夜は、国語科の一年一度の懇親会(忘年度会)で幹事は私。女性率・下戸率・文化系率の高さから宴は大変穏やか和やかなものになります。あ、科の宴会は、教育実習生が来た場合はその彼(彼女)の慰労会が開かれますので年2回になりますね(来年度は秋に61回生Hくんが来る予定)。

 その国語科会議で、F中・高入試の「自己採点」の話題がちょっと。ネット上の掲示板などでは、受験終了直後から合格者最低点・平均点等の予想が飛び交うのですが(私も見たことがあります)、それらの数値の根拠になっているものが塾主催の「自己採点」だというのに、見ていていつも「?」となるんですね(言って良いんですかねこんなこと)。
 他の科目については措いておくとしても、少なくとも国語の「自己採点」って原理的に不可能なのでは? 配点も分からない、解答も分からない(塾や問題集の解答例はいつもバラバラです)、採点基準も分からない、受験生である子どもが本番で書いた答案を正確に再現できるかも分からない、という「分からない」尽くしの中の「自己採点」って本当に可能なのかな、と。中学入試でここ2年連続で出題された200字作文、その「自己採点」に至っては(本当にやってるとは私には信じられませんが)ちょっとシュールさすら覚えたり。
 数年前に国語科に来られたとある先生が、塾関係者からの「最近F校の国語科は若手が増えた影響で入試問題の質が……」的な言葉を仄聞なさった、と仰られ。えっと国語科の若手っていうと、女性の先生がお二方でしょ、それから私の1個下の図書館お洒落番長でしょ、でもって次が私でしょ、っていうこの4人くらいですよね。

 精進しなきゃっ!

酔いどれ女の 行き着く先は 知っちゃいないさ 夜鳴鳥

 本日は会議ウィークのエアポケット。拘束なしの状態で殆どの先生は「自研」なのですが、私は高1の落単芸人たちの追認課題監督のために出勤なのです……が、朝のワイドショーが面白すぎてリビングのソファーを離れることが出来ません。証人喚問のダイジェストが演芸、苦笑失笑哄笑冷笑嘲笑、笑いって色々バリエーションがあるのねぇ、と気づかされます。「事実は小説よりも奇なり。私が言っていることが正しくございます」 いや~、面白い。遅刻ぎりぎりまで粘りました。

 落単芸人は単位を回収しないと高2に進級することが出来ませんので、「どうせ高2では履修しない科目の勉強をなぜ今頃やらんといかんのだ」という不満を隠しもしないお生徒さんを、そら不満を隠すくらいの器用さがあったら単位落とすような不勉強に自らを陥れるこたないわなぁ、とか考えながらなだめたりすかしたり叱ったりして何とか終わらせるよう指導する必要があって何のためにそんな必要がというとそれは彼らの進級のためというのもあるけれども監督してるこっちの身にもなれよいい加減解放してくれよ俺この後飲み会あんだよというのもあるわけでして朝から始まった監督は続きに続いて夕方Hold On Me、放して。

 下校完了時刻の17時ギリギリまでかけて何とか最後の課題を終えたA組某氏、に「秒で下校準備しろ!」と命じ、終わる時刻を見計らって呼び出しておいたタクシーに二人で飛び乗る。西鉄K駅着は特急が発車する3分前。カードに1000円をチャージして改札を潜り階段を上り、何とか間に合った特急で1駅15分、二日市にて飲み会は63回生理系軍団。
 発案者は担任体育先生で、先生が3年間担任を持たれたHさんが今年2浪して九医に合格した(これは本当に頑張りました)お祝いに、お友達のTさん・Gくん・Nくんという医学部3人組を交えた飲み会をという流れ。「お前、幹事やれ」と体育先生に言われたので、お店は二日市の焼き鳥「G」。Gくん・Nくんはサッカー部の中核メンバーだったので、同じくサッカー部だったMくんのお父様が開かれたお店を選ぶのは流れとして自然です。
 私自身は理系・医学部の生徒とはそんなに深く関わっていない(センターの授業、現代文を週2回だけですね)ので、積もり積もった話があるという程ではないのですが、それでも中3時代にはNくんの担任をしたこともありましたし、懐かしいお話を色々……としながら二日連続でやらかした。泥酔直電芸人第2弾は、同じくサッカー部でこっちは文系Eくん@東京。「え、何? 何で?」と戸惑うEくんを無視して全員で電話リレー、の挙句4月8日に福岡帰省というEくんに「じゃあ、僕と体育先生と一緒に夜は飲み会ね!」ってだからなんで1軒消化するたびに1軒予約が増えんだよ。

三日で三歩 三歩進んで

 本日は、長い長い会議。高1担任団が集まって、一年間の総括と次年度の課題を話し合う密度の濃い時間(但し、正確に言えば、高1担任団と高2担任団とでは人数の増減や人間の入れ替わりがあるかも知れません。4月1日に新担任団が決定され動き出します)。
 学年会議というのは、その担任団によってガラッと雰囲気が変わります。63回生(高1~高3で担任)は仲良し集団の爆笑連打、64回生(高3で副担任)は馴れ合いはしないけれど主任英語先生のお人柄で全体が調和された穏やかな雰囲気、今の67回生(高1で担任)は英数担任が雰囲気を締めつつ主任地理先生を支える真面目一徹……なんですけれども、今日の会議は珍しくジョーク頻発で笑いの絶えないものでした。一年間が無事に終わったという安堵と、今の所は生徒が良い方向に育ってくれているという信頼との証左だと思っておきましょう(外進A組は勉強しろ)。

 さて、夜は年度末恒例の高1担任団慰労飲み会。会場は当然のように私が探して押さえて居酒屋「W」。15分前に店に着いて入り口で関守(会費徴収)をしつつ、急遽入った(63回生の面々との)明日の宴会の会場手配。で、慰労会和やか……の二次会でやらかしてもうた。
 二次会。主任地理先生、文系世界史先生、寮監英語先生、私、というメンバー。英語先生から「64回生の寮生は悪かったもんね~。特に外進A組が~」という話が出た瞬間に携帯に手が伸びて64回生Tくん@東京に電話。「今、きみ(外進高1A寮生)の悪口が教員宴会の俎上で、世界史先生(64回生文系担当)も寮監先生もいらっしゃるから、弁解してね~」とか訳の分からん無茶振りをした挙句、月末上京時に昼飲みをする約束まで強引に取り付ける。

 夜の飲み会で2軒を回ってる間に、飲み会の約束(予約)が2軒分ってどういうこっちゃねんという話でして。

ミスター梅介

 1ツイート140字。 
 【行きつけ「肉屋 一ノ剱」で、人生初の豚足に挑戦。揚げ出し。食感がダメだと勝手に決めつけていたんですが、あれですね、鯛カマの眼の部分みたいなコラーゲン。美味しかったです。私「いや~、人生って勉強の余地がまだまだありますね」 マスター「先生にそう言われると怒られてるような気がします」】

 午前中は会議。午後はデスクワーク(「落単芸人」たちを監督しながら)。途中、63回生我らが文系A組のTくん・Mくんが遊びに来られ。Tくんは仮面浪人を経て京大に合格おめでとう!
 M「でですね、私も実はこの春に合格致しまして」
 私「は? Mくん、仮面浪人してたっけ?」
 M「いえ。私は九大一筋なんですが、それとは別に福岡よしもとのオーディションに合格しまして。九大では4人目だそうです」
 私「……やっぱり、あんた、冒頭から面白いね。九大辞めるの?」
 M「いえ、法学部と二束のわらじを履くかを考えているところでして。社長も大学は辞めるなと」
 私「あぁ、同時進行できるわけね。アルバイトみたいなもんか。あれなの? 地方の報道番組で街頭インタビューしたり?」
 M「そういう仕事があればいいなぁ、と」
 私「Mくん、成人式の時にインタビューされて『福岡には美人がいない』ってフリップに書いて炎上したことあったよね?」
 M「よくご存知で。結構燃えました」
 私「あれの、インタビューする側に回るかも知れないんだ。あ、オーディションって、漫才?」
 M「はい。相方のご両親はノリノリなんですが」
 私「えっ、きみんとこが反対してんの?」
 M「私の父が慎重論を唱えておりまして」
 私「えっ、あの目茶目茶ノリの良いお父さんが? ここへ来てまさかのベテラン社会人的風格?(←無礼)」
 M「思い出作りのつもりが、合格するとは思わなかったので、今はちょっと返事を保留にしてもらってる段階です」
 私「ほうほう。で、コンビ名は?」
 M「『晩白柚』といいます」
 私「既に人力舎かどっかでデビューして引退してるコンビがいそうな名前だね」
 法と笑いと二足の草鞋、「そんな僕に本の紹介を是非」と言われたので、川島武宣『日本人の法意識』、末廣厳太郎『役人学三則』、若林正恭『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』をお勧めしました。福岡よしもとの社長からは博多華丸の著作を薦められたそうです(あれ、大吉だったかな)。

それを言っちゃあおしまいよ

 1ツイート140字。
 【山本夏彦が20世紀のコラムで「ある読者が『一炊の夢』は『一睡の夢』の誤字である字引を引いて書け、との手紙を寄越して来た」と言ってるのを読んで、SNSが普及するずっと前からクレーマーも糞リプ野郎も棲息していたことが分かった。みたいな経験をした時、人ってTwitterを開くのかしら。】

 朝の職員室で、63回生担任だった数学先生の大笑い。何事ですかと近づいたら見せられた新聞広告は、某予備校が1面をでかでかと占拠した春の風物詩、そのポスターに写る3人の予備校出身者のうち1人はあらお懐かしや九大医学部Sくんじゃござんせんか。私「別段変顔してる訳でもありませんが、笑いの理由は?」 数「ここ読んで下さいよ、こいつふざけてますよ」 言われてポスターの横に載っている3人の鼎談記事を読んでみますと、Sくん曰く高3時に文化祭副責任者の重責を引き受け時間が取れなかったために浪人した、と。「こいつほざきやがった!」と私も大笑い。多分予備校側の編集で本人は不本意なのかも知れませんが、「それを言っちゃあおしめぇよ」を軽々飛び越えてかなりの良い根性感あふれる発言になっていましたんで、私「今度直で言い訳を聞かせて頂きたいところですな」 数「ですよ」

 本日は9時~12時で会議。
 高1の生徒の中には、進級は出来るけれども定期テストの5回平均が赤点だった(単位を落とした)科目の単位を回収しないといけない生徒が少なからずいます(A組にすらいます)。そんな「落単芸人」たちは、本日以降単位の回収が終わるまで毎日登校。回収方法は科目によって追試・課題・補修と様々ですが、まぁとにかく春休みなんて暢気なことほざいてんじゃねぇ、という身分は共通していらっしゃるわけでして。彼らに言いたいことは一言です。「監督が面倒臭ぇ」

 監督を兼ねて職員室でデスクワーク。結局夕方まで学校を離れられず。夜は「もりき」で湯豆腐。

ドミノ ドミノ 帰れ我が胸に

 柳沢幸雄『18歳の君へ贈る言葉』読了、★★★。開成校長で東大名誉教授ですから、「君」と呼ばれる想定読者(reader)が勝ち組(leader)予備軍に偏向しているこの内容も致し方ないですね。
 でもって、高野りょーすけ『現役東大生が1日を50円で売ってみたら』読了、★★★。開成校長で東大名誉教授の柳沢幸雄『18歳の君へ~』と並行して読んでこちらの方が面白かった。「一流」の学生を対象にした本からは「お呼びでない」と呼ばれた「一留」の学生が、50円何でも屋企画での体験を綴ったblogを書籍化。読み物のクオリティとしてはネットでも話題になった冒頭(発達障害の子供との数学話)頼みの感は否めないですが、他者多様を鏡にした筆者の自省の記録として好意的に読めば。

 春休みに入っていきなり曜日感覚が鈍るきっかけを作ってくれる祭日。昨日同様、誰に命じられることもない休日出勤で粛々とデスクワーク。流石に5時入りはしていませんが。
 生徒には、入試本番の日にこなすべきスケジュール、即ち何時に起きて何時から何時まで心身が最もよく働く状態でいるべきかということを考えろ、とよく言います。簡単に言えば、7時までに目覚めて9時17時にいちばん頭が良い身体ですね。人間は習慣の動物ですから、身体というものも一朝一夕では作れない、ということは入試の前日にその身体になっておかないといけない、ということは入試の前々日にその身体に……というドミノが今日のこの日まで倒れてくるという想像、これに入試の何日前何ヶ月前何年前に気づくかで生徒の合否は決まります。有名な「今でしょ」というフレーズも、要するにこういうことを仰っているのではないか、と推察。

 一日一食、本日は贅沢にも「梅の花」単品注文。こないだ久しぶりに行ったらやっぱり美味しくて感動したので、今日はそのお代わりです。

煮込んでしまえば 形もなくなる もうすぐ出来上がり

 よしたに『理系の人々(6)』読了、★★★。発売当時の『オタリーマン』を最初に読んだ感想は「この人はオタクなんじゃなくて理系なだけじゃないか」というもので、実際10年経った今ではこの『理系の』の方が筆者の名刺になってますね。

 ANATAKIKOU『3.2.1.○』、★★★★★。私が好きな松浦さん成分が漏れなく出尽くされている印象。例えば「雨がやんだら」とか「悲しくはないさ」とかに通じる「直球の切なさで胸を抉るぞ!」みたいなキラーチューンはないんですけれども、10曲36分という時間(この短さがまた良い)の中に1秒も弛みがない正にスルメアルバム。中盤「恋はマゼンタ」~「救世主とカンツォーネ」という4曲のザッツANATAKIKOUな流れなんて、あぁこれなら5年待てるわ、というね。それにしても、フルアルバムが発売されるなんて、そのこと自体が本当に嬉しい(前にも書きましたが大事なことなんで2度言いました)。

 7時起床、入浴、家事。クリーニング屋経由で出勤してデスクワーク。今日以降は校内に生徒不在(「男く祭」の準備でぼちぼち来るんでしょうが)、独りで好き放題仕事が出来る至福の日々(勿論、平日は会議がぎゅうぎゅう詰まっていますが)。
 今日の仕事の核は、刷る・折る・詰める紙の仕事、打つ・読むPCの仕事、という3時間。これには一切頭を使う必要がありませんので、手と眼だけをそちらの作業に集中させて、その間の脳はA組51人の通知表所見にどんなことを書こうかという方面に使用。この所見を書く作業、面倒臭いと仰る担任の先生は少なくないんですけれども、私はもう楽しくて仕方ないんですよね。喩えは悪いしそもそも私は炊事をしないので正しいのかも解らないんですが、多分、主婦がありものを工夫して料理するのに近いことをやってるんだと思います。
 隠し味のスパイスに何を入れるか、51回楽しめますね。例えば、部活充実成績優秀の文武両道で普通なら褒めて終わり、みたいな生徒なんだけれども一点だけ欠点があってSHRで基本横向いてるから教員からの情報感受能力に多少難あり、みたいな生徒がいるとしますでしょ?(某くん、例えに使ってごめ~んね)その生徒が、全てにおいて成功している定期テストで唯一「英丙」というリスニングオンリーの試験「だけ」失敗してる、みたいなデータを見つけた時のニンマリ感、と言えば解って頂けますでしょうか。

忘れない忘れない あの目をあの手をあの日を

 本日、修了式。明日からの春休みを経て、いよいよ67回生も文理別のクラス(内進・外進が混じったクラス)に分かれることになります(高2以降はクラス替えはありません)。要するに、本日が高1A最後の日で、今日を以てクラスは解散と相成るわけです。

 が、とは言うものの、今日は単なる「修了式」なのであって別に「卒業式」などではないのです。それなのに。

 「池ノ都先生 Thanks for teaching!」

 と中央に大書された黒板。紙テープで作った鎖が黒板上部に装飾され、中央の謝辞の周りにはA組メンバーたちの寄せ書き(担任やクラスへの思い)がどっから持ってきたんだというカラフルなチョークでびっしりと。教室側面の2枚目の黒板には、「いけのとたつや」を使った「あいうえお作文」が幾つか。担任による「餌付けーしょん」の果て、内進生より内進っぽいA組は、こんなお祭り学級になってしまいました。

 私「えっとですね。先ず、今日は修了式であって卒業式ではないということを先に断っておきまして。その上で、この大変有り難い沢山のメッセージなんですけれども、なんだか獣偏の字、言ってしまえば『独』の字が頻出しているように見受けられましてですね、まだ詳しく見ていない状態でこんなことを言うのはあれなんですけれども、これ、半分がた悪口では?」

 朝のSHRは修了式への移動があるため2、3分しか話せませんでした。が、「私は個人的な信条故に没収はしないけれども教室内のスマホ使用を許している訳ではない」という普段の言葉は棚上げにして、私も含めたみんなで黒板をパシャパシャと写しまくりました。今日だけは特別ですね。

 修了式・退任式粛々。体育館の壁には午後に行われる中学卒業式に寄せられた祝電がいっぱい貼られていましたが、その中に今日日のご時世を完全に無視した7段ピラミッドの写真であったり、「5段タワー」「100人ピラミッド」なるフレーズであったり、未だ虐待めいた教育が行われている学校もあるんだなぁ、としみじみさせられました。
 退任式は、3期9年をお勤めになった校長先生のご退任。そして、私も在学中に授業でお世話になった英語科のベテラン先生がお一人(但し、来年以降も常勤講師としてF校に携わられます)。

 「今日は別に卒業式なのではなく単なる修了式で、クラスは別になるかも知れないけれども4月にはまた会える訳で」と担任は教壇上で言いましたが、但し、一人だけは一緒にF高の2年生になることのない方もおられまして、と続けなければならないのは辛かった。ご家族の転勤で4月から東京のS高校に転学することになっているAさん(女子)の、最後のご挨拶。
 今は離れてもSNSで繋がることが出来るし、きっとA組の友達の中にも2年後に東京で会える人がいっぱいいるし、と、プレゼントのアルバムや寄せ書きを胸に抱えて話すSさんは、壇上では涙を見せませんでした。
 担任からは、プリザーブドフラワーでデコレートされたフォトフレームを。「S高校に進学・卒業するまでF高校の生徒だという自覚を忘れないようにします」と言われたので、「『卒業するまで』ではなくて、『卒業しても』です」とお返ししました。仮に卒業生ではなくても、67回生の、高1A組の同窓生であった事実はずっと続きます。

 10時30分、A組解散。放課後は、皆で写メを撮りまくって名残を惜しみ。

 さて、放課後にちょっとした仕事。A組の「手の者」を呼び出す。
 私「今日、A組でランチ会するんでしょ?」
 手「あ、はい。Aさんを囲んで」
 私「それ、どこでやるの? どんなメニューなの?」
 手「えっと、焼き肉『W』で、この春の食べ放題というものを」
 私「人数は?」
 手「39人の予定です。先生もいらっしゃいます?」
 私「訳がない。一応知っとこうと思ってね」
 職員室に戻ってからタクシーで「W」まで往復。彼らが注文している食べ放題にはドリンクがついていなかったので、お店の責任者の方にに代金を先払いして人数分のジュースを注文しておきました。最後の「餌付けーしょん」という意味もありますけれども、お店の方へのご挨拶も兼ねています(一応、大人も関知していますよという意味付けです)。「高校生ですので宜しくお願いいたします。五月蠅かったら叱ってやって下さい」と頭を下げ。

 店への往復のタクシーはちょっと面白かった。サプライズという程ではないにしても出来れば事前に知られないようにしときたかったので、顔馴染みの運転手さんに「F校の制服着てる生徒を追い越す時には身を潜めて(後部座席に横になって)隠れますね」と言ってたら、運転手さんの方がノリノリで「先生、30m先にF校生が、隠れて!」なんてスパイごっこをしてみたり。

 午後は、書店巡りをしたりミスドで本を読んだりしてまったり。

 夜は「もりき」貸切で純米の会。一番仲良しのHさんがご都合で来られず、常連10人といってもよくお話をするのはH医師(F高32回生の先輩)くらいというメンバー。私は18時~20時に訪問する「早い客」なので、20時以降が本格始動の多くの常連さんとはすれ違いになることが多いんです。だから、訪問回数だけなら他の誰よりもぶっちぎりだという割には顔見知りは多くないんですね。で、今日も初対面や二度目ましてやという方々が多いこともあって、19時開始のこの会も2時間くらいでお暇かなぁ、と思ってたら結局4時間以上居座ってしまいました(他の参加者はまだまだという雰囲気でしたが)。
 私が持ち込んだのは「喜楽里」(和歌山)の純米原酒。4合瓶持込の約束だったのですが売り切れだったために1升瓶を持って行ったのですがこれが良かった。1杯目にこれを選んだら、今日持ち寄られた中で最も甘くて多少酸が残ってる状態だったので、滑り出しにぴったりで。10年前は「もりき」定番だったんですけれども杜氏さんが亡くなって味が変わったということでフェイドアウトしたお酒、という話から(というか、今日のメンバーでは私が最古参かぁ)、店の昔話やら日本酒の杜氏さんが変わるとはどういうことか、とか話題が次々に転がっていきました。
 料理はマタギさん寄贈のイノシシ(焼肉)とシカ(ツミレにしてすき焼き)とでジビエ。他の方々の持ち寄りは、「繁桝」「田中六五」等の福岡の酒が中心。マスターは流石で「雪の茅舎」(秋田)の隠し酒を。
 思わぬ長居をしてしまったのは、会が楽しかったこともありますが、飛び込みで今は練馬勤務のAくんが来店したからというのが大きかった。一昨年のK市自衛隊幹部候補生、Aくん初来店で隣同士になった時に「コミケ」の話で滅茶苦茶盛り上がって以来のお友達。彼が東武練馬に転勤した後、私の上京旅行中に一緒に飲みに行ったり、今日みたいに彼がK市に来る時には必ず「もりき」で飲んだり(今日は友人の結婚式の序でだそう)。会のメンバーも自衛隊さん中心だったので初対面でもツーカーでした。

 0時就寝。