すぐに君に会いに行ける なつかしい歌も笑い顔も

 5時起床、6時30分に西鉄K駅の中にあるミスタードーナツに入り、ドーナツ1つとコーヒーの朝食。6時30分~0時という長期営業時間のこのミスド店舗、深夜は酔客がお土産購入、早朝は高齢者の安否確認サロンになっています。どっちの雰囲気も気持ちいいですよ(確か、日本一の売り上げを記録したこともあるとか)。
 秋本治こちら葛飾区亀有公園前派出所(185)』読了、★★★。
 山田詠美『明日死ぬかもしれない自分、そしてあななたち』読了、★★★★★。購入時にタイトルがイマイチ……とちょっとでも疑ってしまった自分を恥じた相変わらずの素晴らしさ美しさ。ラスト数ページの展開、前作『ジェントルマン』のラストにも通じるミステリ的(この語が相応しいかはちょっと疑問)な香りがしますね。

 7時45分市民会館。続々集まってくる中学生、高校生。休日であることと今年の講演(公演)ゲスト東儀秀樹氏のネームバリューとを考慮して整理券必須となった今回の一般客(生徒関係者のみに限定されています)、その行列の長さも凄まじい。正直「そこまで?」とは思いますが、高3の保護者が子供たちの「集大成」をご覧になりたい気持ちは分からないでもない(10年ほど前から、この「男く祭」2日目が高3学校生活の「全て」と言っても過言ではないほどの一大イベントになっています)。

 高2A組も(警備の仕事がある生徒以外は)続々集合、指揮・伴奏・コーラス委員の6人の主導で早速コーラス練習を始めます。朝の声出しが大切。元気一点買いの高2Aの目下のライバルは、男女混声の美しさ・ベテラン担任の下で生徒の統率と行儀良さはピカ一のB組ってところ? 「女子には負けん!」を合言葉にしてる時点でどっか負けてる気もしますが、古き良き男子校時代の雰囲気を残す、多少のダルさと綻びを感じさせつつそれを勢いで隠すよ! みたいなノリの「全員」野球が、さてどこまで通用しますことやら。
 会館入場前のクラス別整列。たらたらアヘアヘお喋りがやまないA組の、中心人物生徒を立たせてB組の方を見せる。「あれ見て、一糸乱れぬってあーゆーのを言うんですね。あれ、勝つクラス」との私の言に生徒、「俺たちはメリハリで勝負しよう! メリハリ! 会館に入ったら途端に静かになる!」
 なるかっつーの(あはははははは)。入った瞬間に今回のうちの曲目と全く関係ない「ジェリコ」(←音楽の授業で習ったのかな?)をいくらなんでも下手すぎるだろう発音で急に歌い始めた某生徒にA組全員笑いが止まらん(担任の私もちょっとやられました)。

 オープニングの和太鼓演奏、恒例の演目なんですが今年のクオリティは最高だった。隣で観てた高2体育先生と2人で、「今年、凄まじいですね」「あぁ、これだけでもう今日の成功は決まりやな」
 高2生徒も2人だけ参加していたこの太鼓、舞台裏では参加の生徒が悔し泣きに咽んでいたそう。彼らにしか分からないミスや心残りはあるのでしょうね。唯一笑顔だったとネタにされてた高2氏や来年も絶対にやる! と決意に燃えてた高2は、来年の太鼓でこれを超えるものを作ってくれるでしょうか?

 体育先生に「今日の成功は決まり」と言わせたならもう大丈夫の午前中演目を、しかし私はこれ以降観ることがほとんど出来ませんでした(東儀さんの演奏も観ていないし、高2も大挙の演劇部公演も、会場外モニターで辛うじて演者の顔が判別できるかどうかのレベルでちらちらと観ただけ)。
 理由は詳しく書けないのですが、卒業生某氏から緊急事態発生の連絡を受け、卒業生や学校警備室(卒業生の住所録が保管されている)との電話連絡に長い時間を費やしたからです。今年に入って一番焦ったし心配したしの事態は、その後胸を撫で下ろしてよい方向に収束したそうなので良かったですが。

 昼食休憩の後、細切れの時間でコーラス練習。近くのコンビニで買ってきたのど飴ちゃんを44人に配りながら、高1時とは次元の違う緊張感に包まれつつ。気づけばあっという間に本番舞台袖です。私も、高2某氏から借りた学ランを着込んでスタンバイ。すれ違った他クラや他学年生徒、保護者の方に笑われましたが、本番前の高2A生徒は緊張でそれどころではありません。
 直前のクラス(高1最後のクラス)が終わり生徒退場、舞台照明が消えた暗がりの中、高2トップバッターであるA組44人(+担任1人)が入場です。こういう所でいきなりやらかすのがAがAたる所以なのですが、コーラス委員が準備して舞台案内ナレーションに言わせた台詞「流石に無理のある池ノ都先生の学ラン姿も合わせて……」で場内に笑いの輪、全員整列後に舞台照明が点いた瞬間、客席の笑いがやまなくなり。うわ、しゃべぇ。コーラス委員なにやらかしてんだよどーすんだ粛然たるべきコーラス大会高2ど頭やぞってかこの笑いの時間は高2Aの持ち時間に含まれてんのかな時間オーバーしたら減点必至あ~B組に勝ちたいのに~! と担任がど焦りしてたら、指揮台の生徒が急に後ろの客席の方を振り返って人差し指を唇で「し~~~~~~~っ!」って。一瞬で静まる客席。
 何だ、このクラス、大丈夫なんじゃないか。
 身長の高い私はいちばん後ろの列に立つことになります。高い位置から指揮者も心配になるし伴奏者も心配になるし前で歌っている生徒も心配になるし、落ち着いて指揮を見ながら歌う、ってのがとても出来なくて高音1のみんなの邪魔をしたかも知れない。でも、演奏のミスもあっただろうけれど、「Train-Train」は何ぼほど制限速度オーバだよってくらい走りまくったけれど、拍手で退場の時のお生徒さんたちの安堵感と解放感とは暗がりの中でも肌で分かって、貴方も私もお疲れ様で良かったと思うよ……という声をクラス生徒にかける間もなくダッシュで借りてた学ランを返しに行きました(貸してくれた某氏の出番がもうすぐだったので)。

 年若い保健の先生が「A組のコーラスはうるっときました」と声をかけて下さいました。高2数学の先生(進路指導部長)や高数学の先生(男子校時代を知る私の同窓同僚先生)は、「歌声という点だけで考えたらA組がいちばん良かった」と言って下さいました。審査員の一人である地理の先生も「歌はA組がいちばん良かったと俺も思う」との言でした。
 だから、進路指導部長の仰った「音楽として考えたらB組だったのかも知れませんが」の言が来年の課題になるのかな。高2の学年優勝はB組でした。高2以降クラス替えのないF校です、来年はこの44人(プラス1人?)で、リベンジが出来たらいいなぁ、そしたら多分私も号泣するんだろうなぁ、と、会館外で行われたクラス別ショートホームルームで涙にくれるコーラス委員や生徒たちを見ながら。

 中心学年の高3は勿論、高2の生徒もそれぞれの理由で涙を流していた市民会館を後にして、学校に戻った後は黄金週間の後の授業準備。日常に戻るところまでが非日常です。

 20時前に、国語科唯一の後輩先生から誘われた(おしゃれイタリアンの)お店にへこへこと出かけていきました。3人目のMくんは私のF校時代の同級生で、後輩先生の大学時代の同級生。私もMくんも先日の後輩先生結婚式・披露宴に参加しています。
 パスタとワインで、Mくんの話にニコニコ耳を傾ける私と後輩先生。Mくんは記憶力が良いから、私の高校時代の話や後輩先生の大学時代の話をよく覚えていて、面白く語るのです。で、イケメンハイセンスで現在のF校でも名を馳せておいでのその後輩先生が、大学時代いかにモテてモテて大変だったかというお話がいよいよ佳境に入る直前に、私だけ先にお暇させてもらいました。一応、気を遣ったつもりではあります。

 明日も、普通通りのお仕事ですしね。
 楽しい一日でした。健康就寝。