肩など抱いて ちょいとおにいさん なれなれしいわ

 新橋で雀荘に入るのは初めて。店の名前は(長かったので)忘れてしまいましたが、ソフトドリンク・カップ麺・お菓子等々が全て食べ放題飲み放題で、値段もいつも使ってる「ZOO」より安くて、我々以外に殆ど客がいなかった(2、3組かな)ので相当居心地が良かったです。
 禁煙の店ではなかったんですけれど、他に客が居ないからそこまで煙が気にならず(我々5人の中には、喫煙者が3人、非喫煙者が私含めて2人)。20代の頃は、飲み会明けの徹マンでもず~っとビールを飲んでたんですけれども、①体力的にきつい、②頭が回らなくてただでさえ強くないのに打ち方が無茶苦茶になる、という2つの理由でここしばらくはソフトドリンクオンリー。特に今日は、亜土ちゃんからの贈り物(カレンダー)を忘れず、折り曲げずに持って帰るという大切なミッションがあるのです。
 0時入店で、途中3時過ぎに「小職はそろそろ」と警察庁が先に帰って(タクシーで家まで帰るのかな、贅沢だなぁ)、5時の始発まで。特別に盛り上がるようなドデカいあがり方をするメンバーもおらず粛々、いつもへこみがちなOくんが完勝だったのですが、これは昨日私のために亜土ちゃんを呼び寄せてくれたことに対するご褒美ということにしとこう。
 さて、そのOくんの結婚披露宴7月半ばに、私は行くことが出来るのでしょうか(詳しくは明かせないけれども、職場の状況を考えると超弾丸日程、突発的な仕事が入ったらごめんなさい! って感じかな)。帰宅後そのまま仕事の住商Kくんは「新橋ならこういう無理が利くから、先生今度から(山手線の)南の方に泊まって新橋で打とうよ」と言われ。例えば黄金週間は既に池袋常宿を押さえてるからあれなんですけれども、どこに泊まろうが徹マンは新橋、ってのはアリかも。今日のお店、凄く良かったし。

 亜土ちゃんからの贈り物(カレンダー)を大事に抱えて新橋→池袋、は山手線半周弱なのでちと辛い、ホテルに戻って昏々……の仮眠からは3時間弱で目覚まし。今日は昼以降も予定があるので長々とは眠れずに。若い頃(20代半ばとか?)なら徹夜バッチ来いでしたが流石に今は。
 シャワーを浴びて目を覚まして、ジーンズとジャケットとにはこれでもかというほどに(部屋に備え付けの)ファブリーズをかけて、ホテルを出発11時。今日のTシャツは、64回生の「男く祭」のもの。

 11時30分のハチ公待ち合わせは、63回生理系東大の俊才T&Kくん。ランチトークのお約束、店は私の希望で松濤「Ti ROLANDE」。ガレットとクレープの専門店で、こう書きながら私はガレットなるものが何なのかを知らず(説明書きは読んだことがあるのですが、食したことがなく)、一人でそんなおされプレイスに足を踏み入れる勇気もなく。昨日の銀座ジャズバーと同じ、卒業生を巻き込んじゃえ訪問です。
 分からない時はいちばん高いやつ(何でも入ってるコース。ラーメンなら「全部乗せ」ね)を注文するの法則。二度目があったら、自分の好みと胃の容量とに合わせた注文に変えればいいので。さて、松濤コース(税別2300円!)とやらは、サラダ、スペシャルガレット、スペシャルクレープ、ドリンク、の4品が全て揃った贅沢なもので。
 例えば私が注文したのは、ガレットは「ブルトン」という名前でソーセージ、オニオンのシードル煮、ジャガイモのグラタン、グリエールチーズ。クレープは「ケベコワーズ」という名前でカナダ産メープルシロップ、マロンアイスクリーム、シャンティクリーム。ドリンクは梨のシードルを最初に。
 飲んで店を出てから未成年2人に指摘されたんですけれども、「先生、シードルってお酒ですよね?」「嘘っ、シードルってサイダーじゃないの?」「お酒だと思ったから、僕注文しなかったんですけど(←確かにコーヒーを頼んでました)」「酒が入ってるなら入ってるってメニューに書いとけっつーの!」と先生逆ギレですけど、その程度の常識も無いやつが足を踏み入れて良い店ではないというのが正解なのでしょう。でも、ガレットもクレープも、確かに美味しかった。
 さて、Kくんは私服、この後バイトがあるTくんは背広、私は「男く祭」Tシャツという最もラフな格好。で、帰り際に代金を払うに際してお店の上品なマダムに……。

 私「会社のお友達か何かですか? と聞かれた」
 K「先生と教え子なのに。先生、若いから」
 私「あのね、大学生レベルに若く見えたと言われて喜ぶ年ではないよ僕は最早。そういうの、20代で終わってるんだから」
 T「というか、それは僕らが上に見られてるってことでも……それはかぁなりショックで」
 K「背広だからでしょ」
 私「ってか、君くらいバチバチに頭良いオーラ出してて年より上に見えたらショックってのに無理があるわけで」
 T「でも、先生と同年代ってのは流石に酷いでしょう」
 私「ネクタイの柄から変えます?」
 F校みたいな所に勤めてると、出来(過ぎ)る由来のプティなお悩みやショックやを突っつくというヤな遊びも出来たり。

 心配なさらずとも35才は35才なんだから、ということで、松濤から徒歩5分で向かう先は駒場東大前。本日は文系諸手続の日で、諸手続終わりの新入生が長い長い「テント列」を歩く訳でして……。
 私「テント列って何? そんなの、僕らのとき(99年入学)にあったかな」
 K「知りません? 諸手続きの1号館を出たところから、サークル勧誘が出口までず~っとテント並べてるんです」
 私「昔はなかったか、僕が知らないだけかだと思う。その『テント列』って言葉に覚えがないもん。それ、面白い?」
 T「知らないなら、見てみる価値はあります」

 Tくんの鶴の一声で松濤から駒場への道。「テント列」とは、要するに初手続きを終えた何も知らない新入生に、サークル(と、宗教)勧誘のテント花道1㎞を歩くことを強要するかつては無かったか有ったのに私が知らない(文字通りの)通過儀礼
 いつもならラーメン「山手」近くの裏門まで歩くのですが、若手2人に教えてもらって別の門から入構。食堂裏にも門があるとは知らなんだ、というか一二郎池ってここにあったのね、と初めての観光にちょっと興奮。

 先ずは、食堂前から聞こえてくるスピーカー演説音。
 私「おおっ、もしやこれがあの有名な!」
 K「時代錯誤社ですね」
 時錯が「逆評定」を300円で叩き売ってます。これは買えて嬉しい。授業で初心な高校生に配ると大学に対する過度の恐れ(過剰な期待)が消えるから良いんですよね。私が持ってるいちばん新しいのの表紙が「ポニョ」だったから、最新号ゲットがとても嬉しい。
 私「小脇に『逆評定』を抱えてたら新入生に」
 K「見えません」

 諸手続会場1号館の裏口(出口)に近づくと、確かにそこを起点とするテント行列と、何としても新入生の連絡先をゲットしてやんぜ(それを使って勧誘爆弾しかけてやんぜ)という各部各サークルの2年生と。な~んにも知らないおぼこい新入生たちが初手続き会場を出てきたら、あっちこっちのチアやスポーツコスプレやのお姉さんたちがさもそれが諸手続きの続きとしての自然な流れであるかのように、彼らを誘き寄せえの椅子に座らせえの個人情報書かせえの、とジェンダー芸を爆発させておられます。原宿も札幌雪まつりもかくや、大量の勧誘2年生が押し寿司状態で。
 私「これ、新入生は前に進めんの?」
 T「捕まらないように進むのは無理ですね」
 私「これ、僕ら、中に入れる?」
 K「入ろうと思えば。入ってみます?」
 私「そのために来たんだから!」

 2年生2人は(勧誘側として)中に居ても自然ですよね。でも、小脇に「逆評定」抱えた35才はどうよ、と。ですが、観光は現地人の中に飛び込んでこそ意義が、と今読んでる水木しげる翁の回想本にも書いてあります。いざ!
 T&Kくんを先導に、私は後ろから2人の肩につかまり、テント列に飛び込みます。右から左から押し寄せてくるバイオハザード状態の2年生! 先ずは同じく2年生であるT&Kくんが顔見知りの同期に挨拶しつつ、ちょっと先に用があるから的なアイコンタクトで掻き分けます。そして、顔見知りではなく2人が追い払えない勧誘ゾンビは私の必殺技「35才で~す!」で光の彼方に消し去ります。もう、完全にモーゼ状態の海割り。
 何人かの63回生(2年生)から「お前何やってんだ!」「暇かっ!」と罵られたり、見る目のない見知らぬ勧誘2年生から「~に興味は?」と聞かれたり、楽しい一泳ぎ。我々3人は海を割って直進したから20分で済みましたが、普通の新入生は無理ですよ。例えば、ゴールの駒場正門前でこれから諸手続の64回生(現役1年生)数人と会ったんですけれども、
 私「いや~、テント列凄いよ!」
 T「興味あるサークル以外はね~。あ、でも、お菓子くれるならテントに寄ってもいいかも」
 とか言ってたTくんは3、4時間コースだったんじゃないでしょうか。

 駒場東大前で63回生2人と別れ、渋谷に。タワレコを覗いて(戸川純・非常階段のニューアルバムを購入)、バスで池袋へ。渋谷から池袋のバスは初めてだったのですが、車内で本を読んだり、途中で早稲田・学習院の建物をチラ見したり、時間的には山手線の倍以上かかりましたが、割と面白かったな。池袋は駅ではなくジュンク堂前の駅で降り、本旅行3回目の聖地巡礼が出来たのも嬉しい。

 ホテルに戻って16時。池袋西口の待ち合わせは18時なので、1時間の仮眠。その後、シャワーを浴びてから西口へ徒歩10分、寄り道は「マツモトキヨシ」で、ウコンドリンクを買って「ハイチオールC」と一緒に飲む。
 待ち合わせは60回生、昨年末の上京時に60回生Nくんと偶然すれ違って、今度機会があったら飲みましょうと言ってたのがあっという間に実現した飲み会。場所は私が押さえていて、池袋「韓二郎」。とにかくコース料理の量が多いから、2月末の高3担任団慰労会の時は大量の「お残し」が出てしまいましたが、若い大学生なら食えるはずという算段(結論から言うと、やっぱり余裕でした。流石)。

 で、私と大学生4人との合計5人が店に入りましたら。カウンターで18時でそれ? ってほど一人で泥酔してる年若いおねえさんがいたんですけれども、先導して入った私の顔を見た瞬間にこっちを指さして、「あ~、あ~た、まだ捕まってないろか~」だって。後ろの4人は意味が分かってなかったみたいなので、再び「よ~く似てる、捕まっておかしくなぁい!」とこっちにわめくおねえさんに「僕、誘拐も監禁もしてませんから~」とお返し。やっと意味が分かった4人は大笑い。
 亜土ちゃんに続いて、二日連続で「似て蝶」を指摘されてしまった。どっちの時も周りにF高(卒業)生がいたのに、私だけが選ばれて。いやぁ、面白いですね(と、次の日のホテルでスマホ検索したカブくんの画像がわりかし以上にイケメンだったんで「似てねぇじゃねぇかっ!」と一人でキレました)。

 60回生については、私は中2で週1(古文)、高3で週2(漢文)を担当しただけで、担任団でもなくそんなに深いコミットはしていません。ですからこの手の集まりは、私を介して学生たちが小さい同窓会を開く、という意味合いがいちばん大きくなるのかな。思い出話や、懐かしいあの人の近況を語り合うお子様たちを見守る35才の図、みたいな感じ。もちろん、60回生担任団の彼らの卒業後のことを教えてあげたりも。
 二次会は池袋西口恒例「知音食堂」。青島麦酒や朝日麦酒を瓶でラッパ飲みしながら、「辛い!」「無理!」「きつい!」と若者が音を上げる様子を楽しく観賞する。

 多分、若手4人は3軒目に行ったのでしょうが、おじさんは明日もあるので2軒で失礼してホテルに戻りました。カブくんの画像を検索して軽くキレてから健康就寝。