それを見て渋い顔 それでもしまいにゃチャ・チャ・チャ

 朝風呂、ネカフェ、神保町。「今度福岡に帰省するのでお話ししませんか?」と連絡が来た65回生Iくんに「今、東京に居るよ?」と返したら即決で決まった今日のランチは駒場「ルヴェソンヴェール」、昨夜Sくんと散歩して通ったお店です。TQCの30パ以来、6年ぶりの来訪。聞いていた通り、ママ友のランチ会場として大盛況でした。
 ランチコースは、前菜・メイン(肉魚選択)・デザート・コーヒーで2000円、割と高いですね。前回お会いした時は謎解きサークル「Another Vision」のメンバーとして頭の体操話で盛り上がったのですが、今日は「リナマ(理学部生物)」への進学に関するお話を聞かせてもらい。高3の末頃に仰っていた心理学・脳科学への興味関心を保ちつつ道を貫いてお見事です。Iくんはソフトドリンク、私はビール・ワイン。

 昼食後は、Iくんとブラブラ散歩して、行こうと思っていたBunkamura『みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術』を見学。Iくんも、何となくついてきました。月曜ながら人は多く、Iくんが先に会場を出てしまったために(LINEで「もう外ですか?」と外から連絡が)、滞在は1時間程度でした。図録は購入してA組の学級文庫へ。あと、展示されていた水野英子の作品を観たのが契機で、迷っていた『ポーの一族展』への欲求がムラムラと。
 昨夜の衝撃をもう一度、とIくんと「メガドンキ」の地下生鮮コーナーへ。Iくんの友人である理Ⅲ生が何かの菌の培養実験で生肉を使った時、「どうせ食べないんだから『ドンキ』で安い奴を」と買ってきたらそれだけ異常に沢山の菌が繁殖した、という逸話を聞きました。

 Iくんとお別れの後、地下鉄で移動し、銀座松屋ポーの一族展』へ。こちら、広くない会場を上手に使って、とにかく原画の充実具合が素晴らしく。会場にはおモー様に敬意を表したお洒落具合の小母様方がわんさ(男性率は5%といったところ)。宝塚舞台版の衣装だけは撮影可能でしたが、ポスターや映像を観て、(原作と同じだとか原作から飛び出してきただとかまでは言えないながら)よくここまで作り込めたなぁ、と感心頻り。実際に劇場で観たら、これは持って行かれるかも知れません(宝塚未体験)。こちらも図録を購入、装幀は美しいの一言です。A組の学級文庫に入れますが、ミュシャ萩尾望都も高1には(若しかしたらお母様世代にも?)通じないかも知れません。

 外、暑い、っつーかもう熱い。人殺しの酷暑から逃れるためのカフェが追い剥ぎの高額、銀座万事休す……という場合の生活の知恵、酒と本と以外には金を使いたくないという私のようなタイプのあなたに一押しなのは道府県のアンテナショップです。例えば私が本日入店した「銀座NAGANO」では、「信州南アルプスの深層天然水のかき氷」が僅か500円で食べられます。ふわっふわの氷に信州産の葡萄シロップ。容器は使い捨てですけれども中身はクラッシー、至福です。

 銀座地下鉄駅広場「Ginza Sony Park」にて、WALKMAN40周年企画。歴代のWALKMANがずらり展示され、著名人のコメントが多数寄せられています。カセットを聴いていた人、CDを聴いていた人、MDを、と世代は様々。私は高校時代、アニソンのサビを(45秒くらいずつ)集めたMDを何枚も何枚も(1000曲くらいかな)作って、寮や週末帰宅の高速バスで無限にランダム再生してメドレーを楽しんでいました。まだネットがない時代ですから、1000曲はカセットやCDを買ったりショップでレンタルしたり友達から借りたり、という「足」で稼いだものばかりです。カセットじゃないとWALKMANとは言わぬと仰る職場の先輩、CD WALKMANを見て「何これでけぇ!」と驚いた64回生。40年ですね。

 池袋ホテルに戻って入浴、夜の約束は池袋駅西口の待ち合わせで、やって来たのは東大1年生、67回生理系C組のKくん。同じく東大1年生の彼女(高1Aで私が担任を務めた文系Yさん)とは5月にランチをしましたが、彼氏の方とご一緒するのは初めて……
 私「っつか、僕、在学中Kくんとは殆ど話したことないよね? いっそ今日がはじめましてだよね? よく一人で来る気になったよね」
 K「気まずくて熱いっす」
 ……在学中のKくんの印象といえば、現代文でかなり(そうですね、理系特講で上から2、3番目に)質の高い解答を書いてきたことと、我らB組の学級文庫に私が「置き忘れて」いた永青文庫春画展』の図録を熟読ガン見していたのをC組担任数学先生に見つかって叱られた(本を没収された)というエピソードを仄聞したこと、くらいしかありません。っつか後者のエピソードは書いて良いのか解りませんけれども、ほぼ初対面の担任団メンバーとサシで晩飯食おうという(きっかけは「合格体験記」依頼メールのやりとり)くらいの根性ですから、見てくれが醸すサッカー部無口硬派なイメージとはちょっと違う人なんだろうなぁ、とは思っていたんですよ。で、
 私「……Kくん、今なんて言った?」
 K「え、和牛おろしポン酢、ですけど」
 私「……ここ、『酒菜家』って屋号だよね? Kくん、何食べたい? ってメールで『魚が食べたい』って答えたよね?」
 結構な変わり者でした。

 例えば「あーね」は福岡方言。言葉のギャップ違和感は上京あるあるですけれども、現在Kくんが釈然としないと仰るのは同世代の「渋い」の語の多用だそうでして。聞けば、どうやら意味は「微妙以上最悪未満」くらいのもので、釈然としないと仰りながらKくんも滅茶滅茶使っててもはや木乃伊木乃伊獲りを語る状態、やっぱり変わり者だわ。
 私「ねぇねぇ、2軒目、目黒の『中本』にしようよ」
 K「いやぁ、渋いっす」
 私「いいじゃん、そこでバイトしてんでしょ? 気安いでしょ?」
 K「いやぁ、マジ渋いっす」
 私「じゃあさ、『中本』じゃなくていいからさ、ちょっと辛いものでも大丈夫?」
 と、訪れたのは今回の上京では2度目となる「知音食堂」、の麻婆豆腐を一口食べたら。
 私「どう?」
 K「マ・ジ・で! 渋いっす!」
 私「辛くないの?」

 健康睡眠。