もっと違う関係で 出会える世界線 選べたらよかった

 読んだことのないまま『鉄拳チンミ』を料理漫画だと信じていたのが、少年時代最大の勘違いなんですけれども、それに匹敵する。
 授業無しの学校を2時間の年休で抜け出し、自転車をかっ飛ばして血痰ネーミングショッピングモール『You Meタウン』へ出掛け、「タワレコ」でユーミンBlu-ray及び授業本文朗読用テープとを購入。今、片面10分くらいのテープが流行しているそうですね。ご年配のカラオケ愛好家が、練習したいレパートリーを吹き込んで(片面に2回、両面で4回)流すということ(だから、テープは演歌のコーナーに山積みです)。老人が元気な世の中は大変結構……と、店内BGMで流れていた男声バンドの曲がとっても良い曲で一耳惚れ。でも、名前を知らないので、そこな店員、と若者を呼び止め、
 私「今流れている曲、何ですか?」
 店「ヒゲダンで……あっ、Official髭男dismというグループです」
 私「えっ、それってお笑いじゃなくてバンド?」
 店「……はんっ!(鼻嗤い)」
 というやり取り。名前だけ聞いて、わたしゃてっきり達者なコント師くらいだと思ってましたよ。情けない勘違い、そりゃ若者も接客業の皮を脱ぐわ(あの侮蔑顔!)。これ、もう完全に老いだ。「老人が元気な世の中は」とか言ってる場合じゃねぇよてめぇのことだよと、顔、真っ赤になりました(CDは勿論買いました)。

 進路指導室に戻って事務嬢さんに「……ヒゲダンって、知ってます?」と聞いたら「大好き!」と即答されました(CD、貸しました)。数日前の「三ねんや」で58回生Fくんが歌ったそう。私が先に帰った後のこと、あの時帰らずに最後まで残ってたら恥もかかずに済んだのか。やっぱり飲み会の欠席遅刻早退は駄目ですね。

 さて、気を取り直してユーミンだ、観るぞ観るぞと校門を出て、帰路を急ぐ途中に携帯が鳴る。掛けて来た同僚開口一番「先生、今どこに居ます?」
 会議忘れてた。マジで老いてるじゃねーか。