30年を2時間半で…

 昨夜の「もりき」で会社員60代氏(何度かお話をしたことがあるくらいの関係)に「先生も早く結婚せんと出世が遠かろうもん」と言われて「?」となる。うちのガッコ、管理職(学年主任・部長職)に独身の先生がつかれたことは何度かあって、多分そんなの関係ないと思うんですけど、あれでしょうか、そんな価値観が罷り通るような世界がある(嘗てあった)んでしょうか。それで出世しないっつーならもう喜んで独身貫くんですけど。

 ……というような私の感覚を全否定するような内容の進路講座、今日のは少し衝撃的でした。先週に続いて2度目の進路講座の、私の担当は58回生Yさんだったのですが、彼女は生後10ヶ月のお子さまを育てるために休職中の九大病院眼科医。今日の語りは、子育てでキャリアを一度ストップした女医の復職の困難さを実体験で語るというかなり生々しいものでした(界隈では、男性の育休率は皆無だそう)。生徒はどう受け取ったのか、感想文が楽しみ(女性の復職の困難さというのは、どの業界でもそうなのでしょうが)。

 進路講座終了後、高1Aの某くんに授業で流す本文朗読音源を朗読してもらってから帰宅。入浴後に西鉄電車で二日市まで。本日は15時半開演の森山良子@筑紫文化会館。

 800席の会場は当日券無しの満員御礼、30分前に到着して、グッズ売り場でCD(ベスト盤・Classicカバー)を2枚購入したら、オマケで眼鏡ふきがついてきました。買いませんでしたが、一番人気のグッズは「この広い野原いっパイ」という名前のお菓子で、森山氏、想像通りふざ……もといお茶目な方です。
 会場は着席も憚られる全席シルバーシート状態ですが、「ヒゲダン」も知らんオッサンは銀席にだって座るわい、と躊躇は無し。開演前の影アナは森山さんご自身によるもの(録音)で、くすぐりがタップリの話術で客席はクスクスクスクスと段々あったまっていきます。お達者。
 オープニングから「この広い野原いっぱい」「愛する人に歌わせないで」「禁じられた恋」等オリジナルのヒット曲、「恋は水色」「思い出のグリーングラス」等のカバー、と代表曲の連打。「この広い~」ではシングアウトを促して客席の一体感を煽ります。1月の武道館(清水みっちゃんと)の映像等で知ってはいましたけれども、これは古希の声じゃねぇ、という超絶は中盤の「子犬のワルツ」「乾杯の歌」のオペラ歌唱で絶頂。客席もどよめきます(MC中のアンケートによれば、初森山良子の人が半分くらい。私は「やもり」のライブを随分前に2回観ています)。「さとうきび畑」「涙そうそう」では、二つ隣の小母様がハンカチを取り出してお出ででした。アンコールは「聖者の行進」で、これはもう実際にYouTubeで映像を観てとしか言い様がない(若かりし時の「MUSIC FAIR」でも良いし、最近の母子競演で息子直太朗氏を完全に食ってるやつでも良いし)。50年超のキャリアを一気に(途中休憩無しで!)総まくりする2時間は文字通り「あっ」という間。どんなに盛り上がったライブでも途中で一度は腕時計をチラ見するんですけど今日はそれが無かったことに終わってから気づきました。

 会場から15分程歩けば焼鳥屋「月空」に到着、18時に予約済みのカウンターで読書独酌の後、西鉄の特急で帰宅。

 塙宣之『言い訳 関西芸人はなぜM-1で勝てないのか』読了、★★★。ナイツのネタを面白いと思ったことはそんなに多くないんですが(多分、そんなにしっかり観たこともないから)、人が好きな物を語っている姿はそれだけで面白い(大意)という本書の中の文言は然りで、漫才好き(っつかプロ)が漫才について愛情たっぷりに語っている姿はそれだけで面白いものであります。