ま、そりゃそうと出かけよう オレたちの今日はこれからさ

 早朝起床、入浴、ホテル徒歩3分のところにあるお気に入りのネカフェで書き物(池袋泊の時のみ許される非日常における「日常性の維持」です)。10時開店と同時に入店できるように聖地「ジュンク堂」本店に移動して、籠いっぱいの書籍漁り(趣味と仕事とが7:3の割合で、20冊ほど購入)。レジでは珈琲チケットを2枚渡され、自宅配送をするかどうか聞かれるのもいつも通りで、お断りして全部をホテルの部屋に持ち帰るのもいつも通り(最後には、旅行バッグに詰めてホテルから自宅へ配送するんですけれども)。コーヒーチケット2枚を消費しようと再び入店したらまたまたチケット分くらい本を買う、というお約束のループが目に浮かぶようです。

 ホテルを出てからメトロで神保町へ。先ずは30年前の「激辛」ブームの火付け役・立役者である「ボルツ神田店」へ。辛さを「~倍」という段階表示で示した店の元祖だそうで、「激辛」が流行語大賞を取った時の受賞者なんだとか。入店した左側直ぐに大量のCDが入ったラックが置かれてあり、その中に吉田拓郎(店内BGM)とユーミンとが大きな位置を占めていたので良いお店なのは決定です。
 メニューの中から「ビーフと野菜」を選んで注文したら、出されたのは「ビーフとトマト」でした。ここでも店員さんに気づかれない・聞き届けてもらえない、という属性が炸裂してます(美味しかったから文句はありません)。教員としては大丈夫なんかね、という属性ですけれども、こないだ焼鳥屋で「授業は大丈夫や、ワシが廊下を通っても話は聞こえる」と関西数学先生に言っていただいたので気にしないことにします。因みに、辛さは30倍まである中の5倍を選択したんですがこれは全然辛くなかった。次があったらもう少し上を目指します。

 神保町古書街には年季の入った喫茶店がたくさんあるんですが、約束の相手が未成年なのでチェーンのカフェの禁煙席を選択。教え子の卒業生某くんと落ち合って進路について相談(雑談?)したんですけれども、これはご本人の希望で回生・名前・現在の所属等一切を秘すことに。あんまり有益なお話が出来なかったかも知れず申し訳無い思いが。

 カフェを出てから独りで古書街逍遙、途中、「ブックハウスカフェ」の前を通りかかったら桂文我の独演「親子寄席」が5分後に開演という偶然、その場で飛び込みました。もぎりの店員さんに「親子じゃなくて、独り(者)なんですけれども、良いですか?」と聞いたら快く。何だか滅茶苦茶落語好きみたいな感じですけれども、完全なる気まぐれ、落語を生で聴くのは3度目です。会場内は50人規模満席、大人はほぼ全員マスク(していないのは私を含めて数名だけ。司会進行の店員さん2人もマスク無しでした)、逆に子どもはほぼ全員マスク無しでした。
 このイベントが、初心者の私には大変面白かったんです。先ず最初のコーナーは、落語とは何なのかというのを子どもたち(小学校低学年以下)へのクイズ形式で説明していく。最も長いネタの分数、最も短いネタの秒数、知りませんでした。後は、落語家の身振りの難しさを、例えば蕎麦を食べる様子を実演しつつ、扇子(箸)の右手よりエア丼の左手の方が難しい理由を説明するとか、正に「百聞<一見」とはこのことでね。
 落語2席と紙芝居1席、の中に「権兵衛狸」が。これは昨秋の立川生志(居酒屋寄席)でも聴いて、確かに同じ話でした。が、「親子寄席」では用語や背景の丁寧な解説を交えて、「居酒屋寄席」では政権諷刺をふんだんに織り交ぜて、と同じ噺でも味付けが全く違っていました(比べると面白いですね)。

 神保町から渋谷へ出て、『タワレコ』を覗いてびっくり。ケイト・ブッシュの新作が出ています(発売されたばかり)。「新作」と言ってもニューレコーディングのオリジナルではなく、1979年に行われた(現在のところキャリア唯一のライブツアーである)「The Tour of Life」のステージ全曲収録。これまで、ライブビデオ・CDは出されていたのですが、全26曲の中のベストテイク11曲のみの収録でそれ以外は(本人の希望で)お蔵入りになっていたんです。今回見つけた新作ではお蔵入りの15曲が復活収録、ライブアルバムは移動中に聴くのには適さないのでいずれじっくり。

 渋谷から下北沢へは特急1駅。大学時代は一切用事が無かった(駒場に2年間通った間に下北沢で降りたのは多分1度か2度だけという)街ですが、絵恋ちゃんさんとか高橋徹也とか小規模ライブに足を運び出したら少しだけ縁が生まれました。今回の飲み会は、前に一度訪れた割烹「酒肴 みうら」にて。
 56回生Sくん(金融工学)、Nくん(エンジニア)と3人で入店。本当は塾請Yくんと4人の予約だったのですが、どれだけ連絡しても繋がらずこれは仕事で不測の事態が起こったんだろうと予測(実際、保護者に捕まって往生していたそうです)。今日は入っていませんでしたがここのお店は66回生Sくんがアルバイトをしているお店で、彼の紹介で一度入店(63回生Iくんと)したことがあるのです。その時はカウンターに座って大将と軽くお話ししたのですが、今日はカウンターから離れたテーブル席だったのでお話出来ず。ですが、帰りに大将の方から「Sくんの先生でいらっしゃいますか?」と声をかけられ。半年ぶり2度目なのに顔を覚えて下さっていて恐縮。
 刺し盛り、カブのサラダ、肉・野菜の原始焼き、鯛釜飯、等々贅沢なディナー(30才独身2人という同行者は財布が太い!)。Sくんは4月から転勤でロンドンということで、フェアウェルパーティーも兼ねて。

 店を出る頃にYくんから「今から動ける」というメール。渋谷に移動して、二次会御用達「十徳」に入店。1軒目から比べたらぐっと大衆寄りになった居酒屋テーブルで、種類は1軒目よりずっと豊富な日本酒を次々に注文して三昧境。保護者に捕まって往生していたというYくん、教員と塾講とは立場が違いますが、ちょっとはシンパシーを感じるんですよ。

 終電直前の解散、ホテルに戻って健康睡眠。明日は昼から東大二次試験の会場下見、14時に駒場正門に集合です。