消えそうな温もり 誰か来てよ

 63回生高3を担当した7年前、私は当然高3現代文の授業を受け持ちました。
 ①現代文センター対策授業(週2コマ・4クラス=週8コマ)
 ②現代文文系二次対策授業(週1コマ・2コース=週2コマ)
 ③東大現代文特講(週2コマ・文理2コース=週4コマ)
 ④京大現代文特講(週2コマ・文理合同=週2コマ)
 ⑤一橋大現代文特講(週2コマ)
 普通に考えたら、この授業10コマと特講8コマ(実は或る理由で更に授業が2コマ多かったんですが、話がややこしくなるのでそこは「なかったこと」にします)で終わるはずなんです。今でも思い返しますが、土曜なんて1~4限がセンター対策、5・6限が東大理系現代文特講、7・8限が京大現代文特講でしたから。で、特講2つの添削を日曜にやって(10時間超)、月曜朝のSHRで返す、と。地獄か。
 ところが、今でも腹が立ちますけれどもこの年に高3漢文の授業を担当出来る戦力が国語科の中に無かった……というと語弊があるので最初に言っておきますが出来る出来ないは能力の問題ではなくて、常勤の先生方がそれぞれフル(お一人週16コマ前後)でご担当の学年を受け持ったら物理的に(時間数の問題で)行ける人が居ないという状態になったのです。そこで、こうなりました。センター対策(週1コマ・4クラス=週4コマ)は強引にやりくりしてとある先生に伏してお願いする。そして、文系対策授業・東大理系特講は高3担当の私が責任を持つ。結果、前述①~⑤の授業に加えて私は、
 ⑥漢文文系二次対策授業(週1コマ・2コース=2コマ)
 ⑦東大漢文特講(週1コマ)
 これで、①~⑦を合わせて授業12コマ・特講9コマ(②③④⑤⑥⑦は毎回添削答案つき)。地獄の二番底です。いやあれは苦しかった、良かったことと言えば63回生がそこそこ良い結果を出してくれたことと、忙しすぎて母君の肺癌告白(とその後のお付き合い)における悲壮感がゼロだったこととだけでしょうか。あ、あと、あれ以降は「あの時と比べたら」という免罪符で大概の仕事を引き受けられるようになったことですね(これは良かったことなの?)。

 63回生の高3漢文は、ですので前述の通り、センター対策授業と二次対策授業(及び特講)とで別々の教員が担当することになりました。これは初めてのことで、基本的には避けた方が良い状態です(生徒に対する目も行き届きませんし、担当教員2名の情報共有の労も増えますし)。ところが、それ以降これが国語科で常態化するようになった。7年前と違い現在は1学年が5クラスになったために授業時間数が増えていますし、国語科のメンバーの労は増える一方です。というか、高3の授業こそ重点的に考えないといけないのにそこに何かのしわ寄せが行くなんてあり得ない話なんでして。
 で、あの時の私の授業の持ち方を「前例」にしてはいけないので私は折に触れて「あれは国語科の黒歴史、愚策」と言っているのですが、国語科からしたら「だって手が足りないんだから仕方なかったじゃん」って話です。

 私国語科「要するに、人員が足りないんですよウチ(国語科)は」
 職員室で半分冗談、半分本気で愚痴る。相手は英語・数学科の先輩。
 国「いいですねぇ、英数はメイン扱いだからなんでしょうか、常勤の数が多くてらして。持ちコマに余裕がある。国語なんて、そちらから比べたら2人も人員が少ない」
 英「別に私らが決めてる訳じゃない」
 国「ですよ。だから国語科も『権力』に常勤あと1人、って愁訴してるのに、もういっかな」
 数「なんでかねぇ」
 私「え、お解りでない?」
 英「先生は解るの?」
 国「そんなの、誰も倒れないからに決まってるじゃないですか。国語科は朝型の下戸も多い健康志向、生真面目な方が多いから致命的な倒れ方をしない。他の科はちょいちょい倒れてるでしょ?」
 数「まぁ、確かに」
 国「英数なんて非常勤の数まで多いから、常勤1人が倒れても何とかなるし。国語科は倒れてなんてらんないの」
 英「先生は大酒飲みですけど、まぁ確かに倒れてはいませんねぇ」
 国「国語科に足りないのは既往歴なんです。『歴』さえあれば『権力』も渋々重い腰をあげるはず!」
 数「無茶苦茶言うねぇ。じゃあ、誰が倒れるの」
 国「そこは私が買って出ましてですね」
 英「無理無理無理無理」
 数「アル中じゃあ『権力』も動かないんじゃないです?」
 国「むぅ」

 以下、本日の日記。

 6時学校入りで板書準備・時間割業務。授業は3コマ、センター小説の異色作は夏目漱石「変な音」。空いている時間に④校内模試の浪人生答案採点。放課後は2時間(16~18時)の会議。そこそこ忙しい一日を走り抜けました。
 と言うわけで、ご褒美は月イチの懐石料理。

 12/6は「自粛御膳」をお休み、K市一の懐石「G」にて、後輩数学先生とサシ飲み。
 旬・肴・活・温・揚・味・粒・水。
 最初のフォアグラ茶碗蒸しや、河豚・海老の揚げ物など、今回は常に無い趣向(酒肴)の幾つかが面白く、またまたお酒が進んでしまいました。年末の話題は来年行われるF校の入試のことや来年度の人事(学年配属)の予想などデリケートの話がわんさかありまして、「G」の個室一組限定の安心感は他で得難く。
 今年の「G」はこれが最後、12/31に受け取るお節は来年の1/1に開けます。