子供が大人以上に発達した羞恥心を持っていること

 健康起床、入浴、お気に入りのネカフェ。ネカフェでは書き物をしたりメールチェック(高3に課した「男く祭」の作文をメールで提出する生徒がとても多いのです)をしたり。メールチェックでは、65回生Hくん(「東大むら塾」の副代表)とのやりとりの果て、明日急遽千葉県まで田植え体験に参加させてもらうことになったり(明日の午前・午後は予定がぽか~っと空いていたのです)。

 山手線π/2ラジアン(合ってるのか自信が無い記述です)は、池袋からなら渋谷。開館時刻丁度に松濤美術館、特別展は「チャペック兄弟と子どもの世界」。クイズ屋さんは真っ先に「ロボット」という言葉を思い浮かべるカレル=チャペック……に「ロボット」の名称を提案したのは兄のヨゼフ=チャペックだったそう。ヨゼフの子ども絵の変遷(後期作風に影を落とす戦争の影響)にしばし魅入る。絵本原画や築地小劇場「人造人間」ポスターといったレアものの価値は、何しろ知識ゼロで訪れたのものでよく分かりませんでした。それでも、「機械文明に対する抗言」「怪奇なるメロドラマ」の惹句が躍る「間人造人」のポスター(入場料二円)は1920年の時代を感じさせ、それがチャペック邸から発見された(本人が何らかの伝手で手に入れていた)という話と合わせて面白かったです。あと、特別展とは関係ないんですけれども、松濤美術館白井晟一の作品だったというの、今日初めて知りました。

 渋谷→代々木上原
 大学時代、まっぴぃがTQC例会で出題した時以来20年越しの期待を背負って東京ジャーミイを訪問。アジアで一番だと言われる内装を誇る日本最大のモスク。繊細を極めた幾何学模様が建物中に施され、ブルーを基調(絨毯・ステンドグラス)の礼拝堂に立って天井を見上げるとシャンデリアにドーム天井。礼拝堂に入る女性は、勿論スカーフを被らないといけません。今日は水曜日で観光客(私を含めて日本人数人と、フランス語を話していた老夫婦)だけしか居ませんでしたが、毎週金曜日にはムスリムが集まって大規模な礼拝が行われるそう。

 代々木上原豪徳寺
 63回生TくんはD組代表、本人曰く「進路は理系で心は文系」、昨日の日記に書いた「省庁インターンの経験を持つ63回生」というのは彼のことです。私は文系の酒飲みには「静かなる激飲み」タイプが多いと思っているんですけれども、それで行けば確かにTくんの心(と肝臓と)は文系。昼下がりのさし飲みのお約束、場所は「珍しいもので飲みたい」と仰有ったリクエストに応えられているのかどうかは自信がありませんが、「ビブグルマン」の評価を受けた蕎麦屋「あめこや」。蕎麦屋飲みってのは、心身に優しそうでいいかなぁ、などと。
 カフェスタイルのテーブル席でランチコースは割烹風。珍味、蕎麦掻き、だし巻き、天麩羅盛り合わせ、盛りそばで2800円。蕎麦屋あるあるで分量は少なめだったので、かにミソやお浸し等々一品料理も追加。お料理は素材から味付けまで拘りに拘っていて美味しいしお酒が進むし。
 さて、お酒はビールから日本酒。ビールの銘柄が「GARGERY(ガージェリー)エステラ」……私「何これ?」 T「聞いたことないです」 知る人ぞ知るブランドの飲食店専用商品、らしいんですけれどもなんかもう「おこだわり」感が凄い。でもって検索して見つけた企業blogの文章が意識高い系の独り語りにポエム風味のシーゾニングを施した文体で、要はビールの味と同じ感じ。ディスってる訳ではござんせんが、私「要は……ビールだね」 T「ですね」 違いがわからん!(by絵恋ちゃん)
 日本酒厳選、10種類ほどの銘柄がありましたが、「東一」「五橋」「阿部勘」という飲んだことがあるもの「以外」を注文したら、例によって一つも名前を覚えられませんでした。で、「以外」が6種類だとか7種類だとかあるもんだから、一つ一つ味見みたいに飲んでるうちに私もTくんも酔いが回って来てこれは最早昼酒の分際を超えている。
 色々なお話に花が咲いたんですけれども、このblogでは秘する方の花を咲かせときます。

 で、時間に余裕があるというTくんにお願いして、東京スカイツリー観光に連れて行ってもらうことにしました。電車内座らないのマイルールを破るどころか爆睡かましてTくんに起こされたくらいですから、結構酔っ払ってたんでしょうね。上って下りるだけのスカイツリー体験に関する感想も「うわぁ、つまんない」で終っちゃってTくんに「お前はそう言うと思った」という顔をされました。ツリーよりも、下町川沿い散策の方が楽しかった。商店街でジェラート食べたり。最後は、Tくんに検索をしてもらった銭湯の前でお別れ。ひとっ風呂浴びて完全に酔いを覚ましてから、浅草~渋谷への移動はちゃんと電車内座らないのマイルールを復活させました。うん、飲める。

 64回生Tくんとの待ち合わせは神泉駅前のローソン。メガシャキでペパリーゼ錠剤を流し込んでマッチポンプ準備万端。選んだお店は初訪問の「佐乃家」で、一度行ってみたかったお店に普段お世話になっている(ご家族からお中元お歳暮を戴く)Tくんをお誘いした次第。「完全予約制、カウンター8席。19時00分一斉スタート、6800円のコースのみ」(HPより)というコンセプトで大凡雰囲気お察しの懐石。その日の料理にベストだと選ばれた日本酒のペアリングが名物だということで。

 ここで、ある日のK市「もりき」の夜。
 マ「キムチ食べる? 何となく仕入れたから、キムチ豚バラとか出そうかと思ってる」
 私「豚バラはいいや。キムチ奴にして欲しいな」
 マ「何それ?」
 私「え、冷や奴にキムチ乗せてごま油だよ。2分で出来る」
 マ「聞いたことない、そんなの(豆腐を切りながら)」
 私「そう? 美味しいよ。あぁ、それ、キムチ乗せすぎ。そんなとこで僕を満足させたら、料理でお金取れないよ?」
 マ「だって知らんメニューなんだから仕方ないやろ。これ、幾ら取ればいいの? 冷や奴200円だから……300円?」
 私「もちょっと取れば?(皿を受け取りながら) あ、じゃあ、これに合う日本酒をお願いします」
 マ「無茶苦茶言うなぁ……じゃあ、『嫉み』かな」
 私「めっちゃ甘いやつね。その後は?」
 ……今夜の「佐乃家」、日本酒ペアリングとか超面白そう! と飛びついたんですけど、後で考えたら「もりき」でやってるのって毎回日本酒ペアリングなんだよなぁ、と。1杯ごとに料金を払うか払わないかの違いだけですね(「佐乃家」のペアリングは2800円。8~9銘柄を少しずつ、全部で2合くらいになる量だそうです)。

 神泉に帰って18時30分。大学生の待ち合わせは必ず遅刻するの法則は一斉スタートのお店には通用しないので、絶対に時間厳守をお願いしてたら私より先に到着してくれてました(申し訳ない)。場所は一昨日の「かしわビストロバンバン」の隣なので駅徒歩1分。
 厨房をL字型(それぞれ椅子が4席)に囲むカウンターに着席し、店主の方にご挨拶。私たちが一番乗り(本日満席)だったので、スタート前にビールを注文して飲みながら少しだけお話ができました。福岡K市から来たということで、東京とK市の焼き鳥の違いのお話とか、店の近くにある焼き鳥にご近所さんだという藤井フミヤがよく来るとかいう小ネタとか。

 最初のお浸しに最近お気に入りのホタルイカと大好物のミョウガが入ってたところから嬉しかったコース料理は、「泡」と呼ばれるふわふわの茶碗蒸し、八寸、お造り、出汁、山菜の天麩羅、野菜サラダ、筍煮、土鍋ご飯、最後はジューサーで搾った苺を液体窒素でシャーベットにしたデザート。
 野菜中心の素材と出汁の官能とは「あっさりした料理が好きです!」というTくんに合うんじゃないかと思ってたのが当たったみたいで嬉しい。筍を口にしてこんなにはしゃぐ22歳って珍しいんじゃないかなぁ、とか思いながら。友達の前での姿は知らないんですけど、少なくとも教員と飲んでる席の所作と発言と嗜好とには相変わらずの「育ちの良さ」が出ていて大変好印象でした。「育ちが良い」って言われたら恥ずかしい? と聞いたら「両親が誉められているのだから嬉しい」の返答、山田詠美の感性で清々しい。料理もお酒も美味しくなる所以。
 そうそう、そのお酒のペアリングもとても面白かった。初めての銘柄が続々だったんですけれども、偶然最初に(お浸しに合わせて)出された「亀泉」だけは「もりき」定番なので知ってて、「あ~、CEL酵母、美味しいですもんねぇ」と思わず口にしたら「福岡にも出てるんですか?」と驚かれてしまいました(その後、ペアリング外のお酒を幾つか推して頂いたのを断れず、ちょっと出費があららららって感じに)。

 で、Tくんの最寄りが池袋寄りだということもあって、二軒目は池袋に移動してからにしようということになった訳ですよ。でもって、そこでまた私のいちばん悪い癖が発動してしまって、気づいたら「知音食堂」とかに居るわけですよ。なんで「あっさりした料理が好きです!」って筍に感動してた卒業生にくそ辛い麻婆豆腐食わせたりしてんだ、と。繊麗精妙巧緻の記憶を激辛で上書きしてんだ、と。Tくん、ちょっと泣きそうになってるじゃないか、と。

 ジェットコースターな一日に最後は罪悪感のトッピング。今夜も健康睡眠!