まわりは炎上 今度こそ決闘 ザッツ オーサカの太陽

 高1Aで漢文の授業。その前の休み時間に教室に入って板書の準備をしていましたら、某氏にPCマウスサイズの鬼のお面を頭に付けて授業をするよう要請され、サービス業なので諾、付けて授業を始め。ましたら、授業中、突然某氏がそれと対になる福のお面を付けて教壇に上がって来て、「くらえっ!」と叫んで私に豆を投げつける。教室爆笑。「や~ら~れ~た~」と私、その後普段は5人で分担する書き下し板書を某氏1人にやってもらいました。某氏「長すぎません?」 私「鬼ですんで」
 って話を職員室でしたら、教員力の強いとある先生が「え~っ、それは流石にありえんくない? 俺なら絶対にキレるわ」と。これしきでキレてたら、10年間の内に何回かは梗塞だか溢血だかを起こしてると思う、そんな教員人生です。

 でもって、ホームルームで私のクラス(高2A)。K市を特集している月刊雑誌の中の「ハイスクールヒーロー」(K市のイケメンコンテスト)グランプリになったどっかの高校生のグラビアを見せてきた某生徒が、「ほら、俺のコート見て、この人(ヒーロー)と同じ!」というアピール。あらほんとだ。でもってそれに何と返したらいいのか分からなかったのでとりあえず「そう言われれば顔もどことなく似ているような」と言ったら、横から「先生酷い!」と言った別の生徒の発言の、酷さ。
 こういう時は、思い切って顔も同じくらいだとかいう図々しいことを言う根性が欲しいわけでして。新任2年目だったか、56回生が私の授業を全く聞きやしねぇ、という状況を面白おかしく学年通信の副担任近況報告に載せた時、当時流行ってたドラマ「タイガー&ドラゴン」で全く落語を聞いてもらえない駆け出しの噺家を演じてた長瀬智也に自分をなぞらえて、「そう言えば顔も似てるような気がします」って書いたことを懐かしく思い出します。

 明後日から高2スキー研修の引率3泊4日なんですけれども、まだ着替えその他何一つ準備をしていません。生徒や教員(の中の希望者)は既に荷物(キャリーケースやらトランクやら)をマウントレースイに送っています。って言っても数日分の着替えくらいだから、巨大なスーツケースがどれもスッカスカで軽いのなんの。って訳でご期待通りの暴言、「お前らの頭蓋骨かっつーの!」
 いや、だって、帰りの飛行場でお土産を買って詰めるため……とかじゃないんですよ、行く前にホテルに送った荷物なんだから、ホテルのチェックアウト前に家に送るに決まってますでしょ。ほんと、何のためなんだろ、割と真剣に分かりません。

 葉室麟の新作短編集『山桜記』は武将の妻の献身を描いた平成版『日本婦道記』、途中までは完全に★★★★★の勢いだった、のに。
 焼き鳥屋で焼酎を飲みながら読みつつ、それぞれの話で描かれた妻たちの想いに打たれていたのですが、店内の有線放送からオバチャーン「オバチャーンのテーマ」が流れてきた瞬間に作中の全妻が大阪のオバチャンに化けて何もかもがおじゃん。★★★★。

 読んでた本とその時偶然かかってたBGMとが完全にセットで記憶に残るっていうのはあるんですよ。例えば私の場合だといちばん鮮明なのは、有栖川有栖『双頭の悪魔』。ハードカバーと文庫とで2度読んだ唯一のミステリーなんですけど、最初に読んだときに事件解決シーンでサイモン&ガーファンクル「旧友~ブックエンドのテーマ」がかかってて。今でも有栖川有栖の名前を聞くと、「旧友」の美しいストリングスが聞こえてくるくらい。

 だったのにインパクトでオバチャーンが塗り替えたこの悲しさ。