陽気な音をたてる 闇へと続く

 3時に起床して寝室を出たら、廊下で車椅子の母君と目が合いました。車椅子移動でお手洗いに間に合った様子。「ね、便利でしょう? やれば直ぐにお出来になるんですから」と、帰りは私が車椅子を押しながら、洗面所(手洗い)経由でお布団へ。その後、書斎で漢文の添削を。

 入浴後に朝食準備をして母君にお出しし、雨だったのでタクシーで学校まで往復して添削答案を高3の先生方に託しました(朝のSHRで返却して頂きます)。本日は朝から年休、高1が受験する外部模試の監督は午後からのみに回して頂いて、母君の月一のS病院通院の介添えをします。

 病院へのタクシーを呼ぶ段階では雨が上がっていたので助かりました。本日は初の車椅子通院にチャレンジです。歩くと部屋の玄関からマンションのエントランスの10数メートルですら10分じゃきかない訳ですが、車椅子なら押して1分ですから。部屋の中を動かす時には外しているフットサポート(足を乗せる左右の台)を取り付け、靴はそれに足を乗せた状態で履いていただきます。部屋から玄関の土間に降りる部分に段差、土間入口から共用廊下に出る部分に段差、車椅子を使わなければ一切考慮することのない段差が、母君の身体に響くのが分かります。うん、これぞ介添えって感じ。マンション入り口に横付けしてもらったタクシーの、先ずは後部座席入口ギリギリまで車椅子を押していき、駆動輪のブレーキをかけ、フットサポートを縦に折り畳んで母君の足を地面につけます。そして、母君に立ち上がりを促してから椅子を引き、後部座席の方へ腰を回転させて座っていただき、両足を車の中に入れていただく……という一連の流れ、巧く説明できているかどうかは分りませんがこの「立ち上がりを促して」から「車の中に入れていただく」という短い間に、タクシーの運転手さんが車椅子を畳んで横倒しにトランクに収めるというその手際の見事さに「ほう!」となりました。私は、母君が乗られたのとは反対側のドアから後部座席(運転席真後ろ)に乗り込みますが、要は車道の方から乗り込む形になるので後ろから来る車両に気を配らなくてはなりません。もう全部が初体験。乗り込んだり降りたりするだけでこれだけやっていただいてもタクシーの運賃が変わらないんだなぁと、これまた手際よくトランクから車椅子を取り出す運転手さんの動きを見ながら、これからは目的地到着のブレーキを踏んだ直後に何故かメーターが1つ上がるというあの謎の「あるある」に対しても目くじらを立てないようにしようと軽い決心をしてみたり。
 一般道を押していたらやたら目立つ車椅子ですが病院では全く。主治医のY先生も、突然の車椅子に驚かれた様子はありませんでした(これは、大学病院のF先生も同じ)。検査自体も滞りなく、検査の結果も異状なく……

 ……だったのですが、今日は病院の待ち時間が「異状」でした。間拍子の悪さが原因なのか、とにかく検査も診察も待たされる待たされる。とりあえず検査後に母君の昼食を買う時間は無いというのが途中で分かったので、待っている間に往復5分、西鉄K駅構内のスーパーでお弁当を買っておきました。そして、会計後に薬が処方されるのを待っている時間は無かったので、とりあえずタクシーを呼んで(行きと同じように車椅子の出し入れをして)自宅まで戻り、タクシーを待たせたまま母君を自宅に上げ、昼食とお茶とをお出しした後で車椅子の車輪を濡れタオル(市販のものを玄関に置いてあります)で拭き上げました。その後でタクシーに飛び乗って学校に走ってもらったのですが、痛恨のミスで私が自分の試験監督の時刻を勘違いしており、結局私が配布するはずの問題は学年主任体育先生に配っていただいたということで大変申し訳なく。
 図々しくも監督を体育先生に代行していただき、再びタクシーを呼んでS病院に舞い戻って薬を受け取り、自宅に戻って薬を保管場所に置いた後で母君のお弁当箱・湯呑みの片づけをし、家の横の「さかえ屋」で体育先生へのお礼を購入して学校へ。今日はタクシーにお金を払い倒してます(でも、目くじらを立てないという決心をしたのは前述の通り)。

 外部模試終了でSHRを終えた後は、学年会議その他の仕事をしてから帰宅。以降の流れはいつもと同じで、夜はマスターへ話す車椅子タクシーのネタを引っ提げて「もりき」へ。