きみが悪者になろうなんて思うのが

 2時起床、母君を起こして車椅子でトイレにお連れしてから書斎で仕事。一昨日の漢文特講の添削です。本日は新しい授業の板書準備が2種類あるのでそれも終わらせ、6時にお風呂を沸かし始めてから朝食の準備(味噌汁の野菜を切るなど)。自宅近くのセブンイレブンに往復して母君の昼食を購入(塩おにぎり・サラダ・飲むヨーグルト)。本日は3限・4限ともに授業が入っているので昼食時の自宅往復の時間がありません。帰宅後に入浴、着替えてゴミ出しをしたら7時、母君を起こします。
 さて、布団をお出になった母君、まるで目の前の車椅子が見えないかのようにスルーしようとなさりますが、お布団からの立ち上がりそのものが難しい(車椅子の縁に手をかければ立ち上がり易い)んですね。立ち上がりをお手伝いして、少々強引に車椅子に座らせますが、座ったっきりいっかな動こうとなさいません(車いすは、両手で車輪を回すか、若しくは足で床に踏ん張る力で前に引っ張るように少しずつ進むか、で動きます)。「んとに言うこと聞かないよねぇ、自分じゃ動けないのに」と私が台所に戻って少ししたら、今度は車椅子から立ち上がって歩いて前進なさろうとしてお出来にならない、というか倒れそうで危ない。そりゃ、嫌なのは分からないではないですが、ま、とりあえず。
 スイッチ。
 近づいていって車椅子に座らせて、生徒に対しては絶対に使わない音量で散々文句を言う。生活における(母君への)お手伝いをしますから、多少はそれに対する(私への)お手伝いをして頂きたい。感謝は要らないけれども非協力の形で邪魔されるなら、「僕は全然幸せじゃない。今は全然幸せじゃない」とはっきり申し上げたら、とても悲しそうな顔をなさいます。こういう形で愛情を確認するのは残酷ではありますが。

 朝食をお出しして、昼食は別のお盆に乗せてリビングのテーブルの上に。コンビニサラダは3か所のテープで蓋を固定していますが、母君の握力ではこれを剥がせないので、予め剥がしておく必要があります。おにぎりの袋を破るのはたぶん大丈夫ですが、一応お盆の横に鋏を。
 必ず車椅子をお使いになるよう諄いほどお願いして、7時30分に出勤。授業準備その他の作業をして職員朝礼を迎えます。その後、進路指導室に移動して、PC作業をしながら事務嬢さんと今朝のやり取りについてお話。嬢「『幸せじゃない』っていうのは結構ぶっこみましたね。でも、お昼はちゃんと準備してて」 私「そうなんですよ、サラダのテープは剥がして、おにぎりは大丈夫で……あ」 嬢「どうしました?」 私「一回家に帰ります。ペットボトルの蓋、開けてない」 嬢「お疲れ様で~す」
 昼食用に買った飲むヨーグルトの蓋はペットボトル方式で、母君の握力ではあれを開けられないのを忘れていました。片道8分の自転車往復、自宅では改めて母君にお一人では転倒の危険があるので絶対に絶対に車椅子をお使いになるようにお願いしました。「転倒して骨折でもしたら、もう家では生活できなくなること、元々が福祉のお仕事の人なんだから、分かるでしょう?」と噛んで含めると、母君はふむふむと頷かれます。「そちらのプライドについては、こちらも分かった上でお願いしてるんです」という言葉は、「そちらのプライド」を考慮して飲み込みました。

 2限は高3漢文(文系東大コース)、3・4限は高1内進組で『奥の細道』、昼休みに東大コースの添削を少しだけ(残りは翌未明)、5限は学年会議、6限は高1A組で『徒然草』。
 味噌汁は毎回2食分作るので夕食時の汁物は朝食の使いまわし。入浴、入浴介助、夕食作成の後、母君がお休みになるのを見届けてから家を出発し、肉料理「I」にて読書独酌。帰り道のディスカウントショップでトイレットペーパー他の日用品の買い出し。