虹を架けます 名門学校

 給料日なのに勤労意欲の低さを見せつけるかのように朝から年休。2週間前に続いて歯医者で歯のメンテナンス、上の歯・下の歯の2回に分けて1時間ずつ行うのですね。今日は先ず、歯の磨き残しをチェックする薬を飲まされました。モンダミンみたいなやつ(青い液体)を飲んでクチュクチュ、それを吐き出したら磨き残しの部分が赤く染まっている。あら、結構磨き残しがあるのね。歯の裏側の、歯と歯との間の部分は特に磨くのが難しいそうで、ブラシの持ち方・力加減や毛先の歯への当て方など丁寧に教えて頂きました。メンテナンスだけでなく、教育にもお金を払っているような感じ。

 10時半に学校入りをした後はずっとデスクワーク。今日は授業が無く、授業・特講準備も一段落ついていたので、集中して「合格体験記」の校正作業を行いました。
 「合格体験期」、最近は執筆者(生徒・卒業生)が優しくて今回も学校批判的な尖りはほぼ皆無。辛うじて現役理三(今年は3人も!)の某くんが校内模試の内容に苦言を呈していましたがそれもせいぜい「東大に似てない」レベルの書き方で多分抑えてくれています。校正は事実上の「検閲」も兼ねているのですが私は友人の悪口と差別用語と以外は何でもOK(今回は伏せ字でしたがとある蔑称表現を一つボツにしました。書いちゃ駄目ですよこんなの)なので、毎年校正は出来るだけ私が引き受けるようにしています(無給なのに)。他の先生の中には、結構細かく内容にダメ出しをされる方もいらっしゃいますので(やれ勉強サボったとか、恋愛もしたとか、塾予備校を使ったとか、まぁ色々)、出来るだけまんまを残した方が面白くない? という考え方で。
 というかね、基本的に「検閲」は無しだと思うんですよ。ちょっと前に進路主任を1年だけ(明らかに別の人と別の人との間の「繋ぎ」で)やった年に、私がこれだけはやって良かったと自負する唯一の仕事が「合格体験記」の卒業生への依頼文の書き直しです。それまでのは、「書かせてやるんだ」と言わんばかりの上から目線と細かい条件(べからず集)が酷かった。こっちは合格を以て既に過分を受け取っているんですし況してやもう教員・生徒の関係を(少なくとも制度上は)解消した卒業生です、礼を以てお願いして届くのは「玉稿」だと思うべきかと(と言った途端に反社会的なことや「合格体験」に無関係なことを書くタイプの人は合格しないか原稿依頼が行かないかなので心配も要りません)。
 だから私がやる「校正」は内容ではなく表現(誤字脱字や非文その他)だけのチェック……なんですけれども、これが結構大変なんです。何故なら、今の「合格体験記」はとんでもなく分厚いから。進学実績が上がっている影響と、卒業生が真面目になって真剣に長文を書いてきてくれる影響とで、年々ページ数が増えてきて、今年は遂に280ページ超(!)です。長編小説の分量ですよ。校正する身にもなってくれってなもんです。
 取り敢えず、理系物理の参考書『名問の森』を「門」とした誤記を「問」に改める修正はここ10年で500回はやったので、今年は今の内に高3全クラスで「ゲートではなくクエスチョン、一発変換出来ないからタイピングの時はくれぐれも気をつけて!」と釘をさしておきました。「夏までに1周、出来なかったところを秋に1周、共通テスト後にもう1周出来たら完璧」とかドヤってる人が『名門の森』とか書いてたら「3周もやっときながら間違えんなやっ!」となります。さっきは「玉稿」とか言っておきながら。

 6/25も自粛御膳をお休み、K市でいちばんの懐石「G」に月一恒例で後輩数学先生と。
 旬・味・活・火・肴・温・粒・汁・水。
 50種超の食材に工夫を凝らしたコース料理、お酒はビール・日本酒・白ワイン。先月は緊急事態宣言中でお酒無しだったので、今回は反動みたいにお酒が進みます(或いは、いつものペースなのかも知れません)。料理のベストは今月も椀物(鱧と蓮餅・蓴菜)で、横長の八寸皿に並んだ刺盛も面白かったです。日本酒は岩手「南部美人」の純米吟醸で美味、蔵自体は初めてではありませんがここのは貴醸酒しか飲んだことがなかったので新しい経験でした。ひとりずつ釜炊きの蛸飯は僅かに余ったものを丁寧に包んで頂きました(たまには仏前に良いものを供えます)。
 数学先生とは別にプライベートで遊ぶ間柄でもないので、話題は仕事のことばかり(これが愉しいんですけど)。お互いの学年(私は高3、数学先生は高1)の話、職員室の噂話、等々。本当は、中3芸術先生もお誘いしたかったのですが、今日と明日とが(中体連の試合で)出張でいらしたのでご遠慮したのです。3人なら話はもっとディープで過激なものになったでしょう。

 20時までの時短で退店、健康睡眠。