散る 散る 満ちる

 今日もアホの時間割担当者(ワシ)のせいで地獄。1~4限が高1漢文(「知音」を扱いました)、5・6限が高3理系東大現代文特講(07年の浅沼圭司『読書について』)、7・8限が高3京大現代文特講(03年の中勘助「こまの歌」)。固形物を取らず水分(めちゃめちゃ飲む)オンリーで9時~17時半を走り抜けました。
 高校の現代文で何度も何度も生徒に強調するのは「●●」と「●●学(論)」とは違うという話。前者は現実のモノ・ヒト・コト、後者は観念のコトバ。例えば「●●=芸術」ならば、前者は芸術家の仕事で後者は学者・評論家の仕事です。前者・後者の両方を仕事とする個人は存在しえますが、両者が次元を異にする営みであることは変わりません。だから、今回の東大特講、07年の問一の傍線部に「芸術」と「芸術学」との両方が入っていること、その関係(次元の差異)を考えないといけないこと、が分らないとお話にならないのですね。
 そして、京大の中勘助は難問。物語を読書するだけならば、これ以上幸せな体験は無いというくらいの名文。しかし、これを、本文として読解するというのは少なくとも令和の高校生には至難(序に言えば、彼らへの指南も至難)です。問四の「伯母さん」の気持ちは、例年特講参加者が全員屠られることも珍しくない鬼問でしょうねぇ。

 帰宅、入浴、自炊。キムチ納豆素麺~味噌汁~コールスローサラダ。卒業生からもらった「田酒」を開けました。
 稲空穂『特別じゃない日 猫とご近所さん』読了、★★★★。

 今日の日記のタイトルを「流れる汗もそのままに」にしようと思って、直前に気になって何となく検索をかけてみたら、2016年8月1日のタイトルで既に使っていました。あぶね~。
 というか、私は勿論「Runner」の歌詞から取ったんですけれども、奇妙礼太郎feat.菅田将暉の2023年の新曲「散る 散る 満ちる」という曲の中に「流れる汗もそのままに 散る 散る 満ちる」というフレーズが使われてるんですね。勇気あるな。多分、実際に聴いたら私の耳は「散る 散る」を「走る 走る」と受け取ると思います。