韻で膨満感 吐き出す言葉はバリ硬です

 東大現代文、03年の小松和彦には、漢字の書き取りに「託宣(タクセン)」という難問があります。語彙として持たない生徒が殆どで、彼らは文脈から「拓・卓・択……」「戦・選・銭……」という風な所謂「音読みルーレット」を行う必要があり。これまで担当した学年の高3は殆どの生徒が(優秀だった70回生文系でさえ)誤答若しくは白紙、で正解率は2割に届かないくらい……だったのですが、今年の高3(72回生)は正答率が異常に高い。7割の生徒が正解です。
 例えば東大二次数学で解く問題、手をつけない問題を先ずは「分別」することが求められるように、入試本番では有限の試験時間をどのように配分するかが勝負を分けます。試験慣れしてる生徒は、漢字の書き取り1題1点のための「音読みルーレット」に時間をかけたりしないでしょう。72回生の異様な正解率、語彙力の高さなんだったらお見事ですが、ルーレットみたいな「遊び」についつい時間をかけちゃったんだったら……個人的には好感で、受験科目担当者としては心配。

 4時起床、6時に学校入りして机仕事(授業の板書準備など)。1限に高3東大文系の二次対策授業(02年の文系、永井均)をやって、2限以降に添削(4限終了後のSHRで返却)。明日は午前中に高1の夏休み確認テスト(漢文30点分)があり、午後に高3校内模試(漢文40点分)があります。後者の校内模試、欧陽脩『帰田録』から出題して、平均得点率は50%弱だろうという国語科の予想だったのですが、校外生(浪人中の71回生)の答案を採点するとそれよりやや厳しめの結果になりました。「誣いる」という日本語の語彙は知らないでしょうから(嘗て、センター試験幸田文『おとうと』が出題された時には語注が付きました)それが文脈から推測できなかったのはまぁ仕方ないとして、傍線部の句形を5択から選ばせるという超サービス問題で「累加形」が答えられないっていうのは流石にどうよ、と思う。現役高3生はどうなるでしょうか。

 帰宅路のディスカウントストアで買い物をしていたら、棚にKIRIN「秋味」がずらり。今年も(2年連続で)瓶の販売が無いらしく残念至極ですが、ここは缶で我慢して取り敢えず500mlを6缶購入しました。今年は何本飲むことになりますやら(一昨年、瓶が発売されていた今のところ最後の年、私はシーズン中に4ケース80本を注文しています)。今夜は外食なので缶はセラーで冷やしておくだけ、明日の自粛御膳が今から楽しみです。

 69回生Yくん、今年から東大理学部の3年生。帰福のたびにお声がけをして下さるので、既に色々なお店に行きましたが、今夜は「海鮮」のご希望を「海鮮もある小料理屋」と読みかえて「U」のカウンター。話題の中心は、Yくんの学部生活の近況、及びYくんによる和製HIP HOPに関する講義。先日のMさん(70回生)のラルクもそうでしたが、誰かが「推し」について滔々と語っている姿を見るのは心地よいものです。彼は今月10日から帰省しているそうなのですが、もっと早い時期の帰福だったら8/5のRHYMESTERは絶対彼にプレゼントしていました。
 〆はF校生の魂食「麺志」へ。Yくん曰く、68回生までは「大砲ラーメン」で69回生からは「麺志」という風に魂食が別れるそうです。因みに、酔っぱらったノリで、替え玉のお裾分けをいただき「バリ硬」初体験、やっぱり無理でした。
 Yくんからは「とどろき酒店」の袋に入った宮城「伯楽星」のお土産、多謝です。

 鷲田清一『岐路の前にいる君たちに 鷲田清一式辞集』読了、★★★★。大阪大学総長、京都市立芸術大学理事長・学長。2つの大学での入学式・卒業式での式辞を集めた本。二分すると阪大に失礼かも知れませんが、大阪大学は「遊園地」、京都市立芸術大学は「原っぱ」。後者での式辞から伝わってくる理事長・学長としての生き生きした日々は、しかし前者総長(阪大で理系以外の総長って他に居るんですかね)時代の修業があってこそなのかも知れません。阪大総長最後の年、2011年の3月に東北大震災が起こっています。