夢のくにンニキニン ゴーゴーウェスト

 朝日新聞スポーツ部『高校野球 名将の流儀』読了、★★★。星3つ(低評価扱い)なのは本のせいではなく、野球を全く知らない私は恐らく醍醐味を味わえていないだろうからという理由です。野球に関する本を読むのは、川原泉の漫画を除けば初めて(勿論、鬼太郎の「お化けナイター」等は別です)。高校野球の監督(部活顧問)が学校の教員である(そうではない場合もあるそうですが、詳しくは知りません)というのは考えてみれば当たり前の話で、生徒の将来を真剣に考えながら指導するベテラン教員の証言集だと知って読めば学ぶことは色々とある(勿論、「これは無いわ~」の変なスパルタもいっぱいありましたが)。複数の監督(先輩先生)が仰っていたのは「生徒から学ぶ」という話、師を超える(というか初めから超えてる)教え子との交流という点では私も同じ、久しぶりに新しい「これって、あれじゃん」の読書でした。
 高1漢文で韓愈「雑説」(伯楽について論じられる文章)を扱うという理由で図書館で選んだ新書、生徒に配布したのは横浜高校渡辺元智監督のインタビュー箇所なのですが、それを高1学年主任化学先生(高校軟式野球部顧問)にお話ししたら……
 化「渡辺さんはいい人、本当に人格者。この人はいい人!」
 私「よくない人、悪い人って、居るんですか?」
 化「おるおる! 高校の野球の顧問とか、悪いのがうじゃうじゃやもん!」
 ……と、回りくどい自己紹介を賜りました。もう20年来の付き合いなのに、今更。

 内田樹釈徹宗『日本宗教のクセ』読了、★★★★★。対談集。釈氏が今日のテーマは「夕日の習合論」だと投げたら、内田氏がすかさずオリエンテーションの語源から人類の「趨西性」(←なる語を内田氏が使った訳ではないですが)という話を打ち返したシーン、これに象徴される内田氏・釈氏双方の知的ブリコラージュが生む創発に心身が踊りました。音楽を聴いている感覚。
 途中、そこまで深掘りはされていないのですが、水木しげる手塚治虫(以降の漫画家)とを比較したシーンが。手塚氏(以降の漫画家)は漫画家と読者が同年代の共犯者という関係である中、水木しげるだけは読者の手を引き異界(との境界)に誘い、身にしみる恐怖を以て「鬼神を敬して遠ざけるという姿勢」を子どもに教える「大人」だというのです(幼き水木翁にとっての「のんのんばあ」のような存在、ということでしょうか)。私も極々幼い頃から水木翁に(日本語やコミュニケーションやを)教わった人間ですので、首肯再三。

 早朝に徒歩通勤で学校入り、始業前は高1漢文の授業、放課後の文系東大特講の板書準備。始業後は、2~5限で高1漢文の授業(韓愈)を行い、放課後(16~18時)に東大現代文特講(12年の河野哲也『意識は実在しない』)。添削は明日の未明に。
 それとは別に、高3担任団からの原稿依頼に応じる仕事が。生徒にお勧めの本を紹介する800字程度の短文を書いて欲しいということ。担任団や生徒有志が定期的に発行しているプリントに載せる原稿なのだそうです。明日の午前中に書く時間を作ろうと思いますが、選書(生徒が購入可能な文庫や新書あたりが良いとのこと)をどうしましょうかねぇ。