私の裸体を、見るわけなんであります。

 明日は台風で生徒はF校構内に立ち入り禁止だそう(正式なお盆休みなのですが、例年なら高3などは自由に学校に来て自習をしたり出来るんですね)。若しも明日だったら手術が出来たかどうか、ストレッチャー付きの移動が出来たかどうか、何というかこちらにとっては有難い日程です。本日、母君はS醫院を退院し、S病院で胸のポートの手術を受けてから、介護施設「I」にお引っ越し。

 で、そういう大切な日にこういう記述をするってのは本当に申し訳ないんですけれども(全方向的に)、Twitterで何度確認しても8月14日に呟いてるから、多分13日か14日に申し込んだんですよ、やっぱり。どんだけ親不孝なんだ。
 何の話かというと、先日のコミケにて、星井七億氏が『百合えっち文体練習』という同人誌を発売なさったんですね。タイトルからお分かりの通り、これはレーモン・クノー『文体練習』のパロディで、一本の短い百合小説を99通りの様々な文体で書いた本。同じ百合小説が「死語」「すごく偉い人」「ニセ中国語」等々99通りの文題でリフレインする。私は『文体練習』を生涯の100冊に選ぶ程度には愛して止まないので、そのパロディとなれば喉手で欲しい。
 という訳で、某同人誌通販サイト(18禁だらけ!)に恥を忍んで会員登録し、普通なら通販は全部学校事務室に届くようにするんですけれどもこんなん絶対学校に持ち込めるはずもなく、自宅配送の手続きをしました。
 ……もし担任やってたら、学級文庫の本棚に置き忘れてたかも知れんな。

 「昭和のオッサンの随筆なら『それはさておき』みたいなルビが振られていることもありそうな四字熟語は何?」というクイズは既出か、っつかそもそも問題になるのか、閑話休題(それはさておき)、手術とお引っ越しの話。
 手術が昼なので食事を取る暇がないと推察されましたので、朝8時半の西鉄K駅構内のうどん屋で朝食、「ミスド」でコーヒー読書。10時過ぎにタクシーでS醫院に向かい、退院の手続きをしました。その後、母君の荷物をまとめて先ずはタクシーで介護施設「I」へ運び……込もうとして、間違えて関連別施設に到着してしまう。「I」は市内に何ヶ所かの施設を経営展開しており、具体的に言うと母君が入るのは鳥飼という地域にある緩和ケア介護に定評のある「I」で、私が到着したのは津福とう地域の老人ホーム「I」だったんですね。施設の方々のご厚意で、津福まで鳥飼の職員の方が車で迎えに来て下さいました。
 車を運転して下さったのが偶然にも母君のケアマネを務めて下さる(今日から、これまでのKさんから施設「I」付のケアマネさんに交代します)方でしたので、母君の容態や今日のスケジュールを直接お話することが出来ました。新しいケアマネさんもイニシャルで書くとKさんになるので、ちょっと面倒くさいですね。施設では、母君の新しいお部屋(個室)に着替えを中心とした荷物を運び込みました(S醫院に持ち込んだ荷物をそのまま移動させた格好)。部屋にはベッドとカーテン、備え付きのタンスしかありませんので、これから様々な生活用品・家具家電を少しずつ持ち込むことになります。

 タクシーで「I」からS醫院に戻り、12時に予約の介護タクシー(本当は「福祉タクシー」と言うのかな)に母君と一緒に乗りました。「乗りました」っつーと簡単そうですけれども、①先ずはタクシー付属のストレッチャーを病院に運び込み、エレベーターで病室のある2階へ持って上がる。②ベッドの母君を3人掛かりで抱えてストレッチャーに映す、③エレベーターを使って母君をストレッチャーのまま1階におろし、そのまま後部からタクシーに運び込む。と、面倒なステップを経て乗り込むだけで20分の作業です。
 ゆっくりとしたスピードでS病院に向かう道すがら、運転手の方とお話。介護タクシーというのがどのくらい普及しているのかとか、普通のタクシーとの違いは何かとか、こんな時になんですけれども知らない世界の話なので細かいところが結構面白いんですね。私はストレッチャーの隣の席に座って、母君が揺れないように抱きかかえる格好で話に夢中、母君はお休みになっています。

 病院には2時間ちょっと滞在することになるので、その間タクシーのストレッチャーはお借りしたまま、運転手さんは別のお客さんを乗せるためにS病院を離れました(手術が終わった頃に電話をすることになっています)。救急の入口から入り、病室で母君が手術前の点滴を受けている間に、担当医だというB先生(初対面)とご挨拶、及び承諾書にサインを。
 手術の間にタクシーで施設「I」に向かい契約書を、と思っていたのですが、荷物の運び込み・簡単な契約は午前中に終わらせてしまったため不要、結局昨日の「つもり」とは異なり、2時間ほどずっと院内の待合で本を読んだりスマホ弄ったりして(『キャンディ・クラッシュ』は最強の時間潰し)過ごしました。

 さて、手術が終わったらしく呼び出しを受け、担当医のB先生から無事成功を報告して頂きホッと胸をなで下ろした……のですが、B先生、さっき私に「先生、無事に終わりましたよ」って。「先生」って呼びかけました? 「先生」はそちらの方……と、B先生の隣に助手然! として立ってるのがS病院研修医2年目、月一レベルで飯を奢っている58回生Fくんだったと気づきました。てめぇ、恩師の母の裸体を金まで貰って見るとは良い度胸じゃねーか。

 手術後の朦朧夢現で母君がダラリ無抵抗なのをこれ幸いと、介護タクシーを呼びストレッチャーごと乗せ(2度目なので少し手際がよくなりました)。タクシーは一路、鳥飼の施設「I」まで。殆ど眠った状態の母君を個室まで運びベッドに寝かせ、タクシー運転手にストレッチャーをお返しして料金(2度の利用で10000円弱)をお支払いし、そのまま今後の打ち合わせに入ります。
 これまでのケアマネだったKさん、今日からそれを引き継ぐ施設「I」のKさん、S醫院のS先生、これから訪問看護(一日に2~3度)を担当して下さる看護師の方2名、及び施設の責任者の方等々、私と母君とを除いても8名の方がずらり。今後、母君お一人に対して非常に多くの方々がチームを組んで面倒を見て下さることになるのを知ってとても安心しました。
 今後は治療ではなく緩和ケアを行うこと、栄養と薬と水分は全て胸のポートから入れること(痛み止めは貼り薬でしたかね)、2日に1度(月水金)入浴をするなど清潔を保つこと、洗濯物だけは施設ではなく私が担当させてもらうこと(せめて何か一つお手伝いをしたい時に、衣食住に関して私が出来ることがこれしかない)、等々の方針を確認したら、後は事務室で膨大な枚数の書類にサイン、からのペガサス流星拳みたいな捺印(←一度も読んだことがないので想像だけ)。

 施設「I」からタクシーで自宅近くの肉料理「I」へ移動。開始約束時の1分前に店のドアを潜って、数分後に大学生2人が店にやって来ました。我ら63回生文系A組出身、東大4年Eくん・3年Mくんとお話。近況(勉強の話、進路の話、それからEくんの恋愛の話)を話しながら飲み食いしてそれなりに盛り上がったんですけれども、何しろ今日の心身の疲労が甚だしいからあんまり気の利いた台詞が出てこなくて困りました。
 たまらず2次会はタクシーで文化街の小料理屋「S」に。狙い通り、店内Lの字カウンターには人生大ベテランの常連さんがお二人でお出で(出版の方と精神科医の方だったかな)。若い子への絡み説教をお二人にお任せして(Eくんは人たらしだしMくんは受け身だからベテランと上手に絡むんです)、私はマイクはなさ~ず。今度はちゃんと相手するから許してね!(あと、Mくん、お土産有難う!)

 泥寝。