かっこよすぎるカラヤン

 台風が近づいているということで、明日は休校になるかも知れないという話。F校は、以前はその辺がいい加減(極力休校にはしたくないという立場)だったのですが、中学生女子が帰宅難民になってしまった昨年度のミスを反省(?)して、今は休校規定が厳密に運用されるようになっています。具体的には、K市や福岡市に警報が出たら休校。男子校時代に学生だった私からしたら「ぬるい」という印象は免れませんが、今はそういう時代でもありません。というか、明らかに四半世紀前とは気象条件が違っていて、そう言えば無双の「日常性の維持」を誇る西鉄電車・バスですら最近は運休が散見。

 本日は通常営業。未明起床の書斎で東大特講、及び文系二次対策授業(一橋大学)の添削。6時半に出勤して高1古文、明日の高3漢文の板書計画(これは、休校で延期になる可能性が大です)。授業は3限に高1B組のみ。課外授業の時間割は各学年が独自に作成しますが、5クラスの学校なのに一日に4限しか行わないので時間割がぐちゃぐちゃになります。明日の休校が決まったら、明後日以降の時間割調整も割と大変でしょうね。
 67回生我らB組のAくんがとある用件で来校。某大医学部に向けて浪人中の彼、正直な人で、4月~5月の模試の成績が大変良かったので徐々に伸びかけてた鼻を、先日の校内模試でポキンと折られた、との話。人品に間違いはなく、真面目に勉強しているだろうことも疑いはないのですが、それでも無意識裡に忍び込んでくるのが傲慢倦怠弛緩、意地悪ではなく「今はまだ合格率は5割以下ってとこだね」と言ったら若干不服そうな顔をしていました(こういうところも正直ですね)。でも、そのくらいの謙虚さと客観性とを持って勉強を続けるのが大事なんだと思います(私自身に浪人の経験がないので説得力が無いかも知れませんが)。模試のA判定はこれまでの学習の成果を保証してはくれますが、今後のこと(当人の伸びという「ウチ」の要素と、現役生の伸びという「ソト」の要素と)を何か保証してくれるものではありません。因みに、Aくんからは別れて暫くしてから「やっぱり勉強ですよね。頑張ります(大意)」というメールが来て誠実。志望校は中国地方、進学してくれたら、いつか観光案内をお願いしたいなぁ。

 前述の東大特講添削。「畏(おそ)れて之を悪(にく)む」の現代語訳に、2つの動詞にルビがついているにも関わらず「おそれて」「にくんだ」と平仮名で書いてきた答案がありました。この解答を採点者が見た時に頭を使っているとか何かを知っているとかいう風には金輪際見なされないだろう、と客観できるか否か。これは誰が涵養すべき力?

 第3回校内模試(この日記をアップした時点で既に終了しています)の問題、文系現代文を担当するのですが、今回は橋本治の文章を出題することにしています。追悼。
 橋本治氏自身が彼の著作で国語の試験に使える文章は『浮上せよと活字は言う』しかないと述べている(実際にこの本で京大が入試を作成した)のですが、15年に発売になった『負けない力』の一部を根性で作問したのですね。これはもう、解いて欲しいというよりかは読んで欲しいというレベル。設問の中にややメタ的なものがあり、どちらかというと東大よりも京都大学に近い出題になりました。

 曇天ながら雨は降らず、夕方に介護施設「I」まで自転車で往復。看護師さん曰く、言葉はどんどん出にくくなっていますが、特に入浴時(全介助)はご機嫌が良く、入浴後にはジュースやヨーグルトやを良く召し上がっておられるそうです。部屋には、往診のS先生が差し入れて下さった花束が飾られていました。BGMはカラヤンのベスト。