だまって俺について来い

 自分が高3受験生を担任として持っている時なら、多少以上に長い日記にしますが、そうではない部外者ですので(授業は漢文を担当しましたけれども)、本日「F校のいちばん長い日」の日記も淡泊に。っつか、「いちばん長い」には夜の長い長い長~い宴席(50人規模)も含まれているのに、今年はそれを取り上げられていますからねぇ、書きようもないというか何というか。

 さて、本日は東大・京大・一橋大の合格発表。8時前に出勤して、先ずは事務嬢さんと、昨日までの各大学(国立・私立)の合格者の名札を作成・掲示します。事務室の横に合格者名簿の貼り出し掲示板があり、そこに名札を並べるんですね。国立・私立それぞれ横50人分が縦に4列、昨年度は国立最上段の東大が現浪合わせてぴったり50人、1列全部を埋めて壮観でした。
 今日ばかりは高3担任団以外の先生方もお出でだったり、人数が判ったらメールで教えてと私に託ける先生方もおられたり、そりゃ注目度も高いわけでして。

 午前中の早い時刻に一橋大学の発表があって、その後、事務嬢さんの車で市内の花屋に往復してプリザーブドフラワーで飾った時計を購入。これは、今年度で御退任の(今年度高3文系をご担当なさった)超々ベテラン数学先生へのお祝いのお品です(今夜の担任団有志の宴席にお招きしています)。
 買い物から戻った後は、PCの前に張り付いて待機。東大の合格発表(ネット)は12時予告の15分程前に前のめりな形で解禁されるのが例年の恒例なので、20分程前から発表のページの「再読み込み」を繰り返すというのも例年の恒例……今年は12時ぴったりで20分間がだいぶもどかしかったです。

 受験生の受験番号は進路指導室に届けられていますので、ネット掲示板に並んだ合格者の番号と照会しつつ、文一から順番に「●●くん、マル!(合格)」、「▲▲くん、バツ!(不合格)」、と私(進路指導主任)が読み上げるたびに、担任団を始めとする諸先生方から歓声慨嘆が。これも毎年の恒例。私は照会を間違えたり「マルバツ」を言い間違えたりしないよう、務めて冷静になろうと心がけていましたが、密かに1浪組(私が担任を務めた67回生)の名前と合否を読み上げる時にはちょっと心がざわつきました。

 今年の東大は現役生22人、浪人生9人、合計31人。不合格者も居るから派手に喜んだりはしませんが、立派な結果だと思います。去年が50人(現役36人・浪人14人)という「異常値」だったので、外部(と、それに釣られる内部と)が激減だとかどこそこの高校に負けたとか、少しばかり騒ぐかも知れませんね。増えようが減ろうが勝とうが負けようが、こっち(教員)のやるこた変わんないんですけど。
 京都大学は現役生9人、浪人生5人、合計14人。この浪人生の中には我らB組のKくん(工学部合格)も含まれていて、彼は後で職員室に挨拶に来てくれました……ら、住む場所は決まったらしいんですけど、大学がどこにあるとか交通手段はどうだとか手続きや入学式がいつだとか(コロナの影響はどうなってるのかだとか)、まぁ真っさらな~んにも知らなくて驚いちゃいました。コロナの影響云々についてはこの時点でも大学が混乱の最中にあって未公表って部分も多かったですけど、入学式の中止くらいは知っといてもいんじゃない? 取り敢えず、いつか京都で遊びましょうとお約束。駅近くから電話したら5分で来てくれるそうですが、その為にはまず交通手段を覚えましょうね。

 3月10日の職員有志「集う会」はコロナの影響で自粛(諄いくらい言いますからねこの恨み節)、10人以下の祝宴ならえんじゃろがという逆ギレエネルギーに突き動かされる幹事は、高3担任団有志・進路指導室有志・超々ベテラン数学先生、計10人で居酒屋個室を押さえました。
 コース5000円の飲み放題でしたが、流石に盛り上がって、担任数学先生が「獺祭」の二割三分の一升瓶を自腹購入(勿論、1万円じゃとてもききません)なさって全員に振る舞ったりなんていう暫く見たことがなかったようなお大尽も。超々ベテラン数学先生の御退任挨拶は50年(!)を振り返って素敵でした。何より、6年間学年主任をお勤めだった国語科先輩先生に有難う御座いましたとお疲れ様でしたとを。

 さて、非担任団の私は二次会には行かず、生徒たちの思い出中心のでぃ~ぷな話は担任団二次会にお任せして離脱。で、真っ直ぐ帰るかと言えばそうではなく。
 「集う会」に来る気満々だった先生方の中には、10人以下の祝宴ならええんじゃろがという逆ギレエネルギーに突き動かされて独自に飲み会をやろう(3月10日の夜に飲まないとかあり得ない!)とお考えの方々も居られる訳です……まぁ、体育科とベテラン(昭和時代に就職した先生方)とを中心とした「輩」たちですね。私、そちら様方とは大変気が合いますので、まちょっと合流なんぞ、と思いましてですね。
 会場は最近オープンした居酒屋「T」だと聞いておりまして私は未訪問のお店、私が店に到着する時刻は「輩」たちの飲み会が始まって丁度120分弱が経った頃だというのも判っていましたので、要は私がそこでの会計を手伝ってから二次会の幹事をすれば良いわけです。
 入店した瞬間にドデカい笑い声(誰のかは武士の情けで内緒)が聞こえてきましたからテーブルがどこかは直ぐ判る、遠くに見れば10人テーブルを8人で使ってるから空いてるところに滑り込めます(滑り込んでも10人は超えません)。「いらっしゃいませ!」と近づいてこられた店員さんに「あそこのテーブルの連れなんですが、そろそろお時間だと思うんで迎えに来ました」とお話。1000円札1枚をお渡しして「取り敢えず、僕の分のお通しとビールをお願いします」
 「高3と一緒じゃないのか!」「何しに来た!」とメートルの上がったご挨拶は軽やかに流しつつビールと小鉢とを受け取って乾杯、「何しに来たって、お会計しに来たに決まってるでしょ、5000円通しですよ!」 コースだったら事前に会計を済ませておくことも出来ますが今日は単品注文だったので(当日急遽集めたメンバーなので)会計は最後にテーブルで、伝票の数字を8で割ったら1000円単位に切り上げて計算終了です(余った分は二次会に廻します)。
 回収した40000円を持ってレジに行ったら、入店した時の店員さんが「あの、いつもこういうこと、なさってるんですか?」って。まぁ、不審者ですよね、御免なさい。貰えなくてもいいやと思っていたんですが私の分のお釣りもちゃんと別に準備して下さっていたので「T」は良い店。いつか本格的に行ってみよう。

 「T」を出てからは8人をハーメルン、一軒で帰りますみたいなことは誰一人として言わないメンバーですので、駅近くの安い居酒屋(2時間弱で2000円通し)にスルッと入りました。高2担任の先生がいらっしゃいましたから、最初のご挨拶は来年度の抱負、乾杯が決起の合図です。
 その後は、もう夢現ってことで。