好きなんだよ

 90年代(92年~98年)の中学・高校時代に懐メロ(洋楽・邦楽問わず)にハマっていた私にとって、「CD選書(Q盤)」というのは忘れられないシリーズでした(というか、アラフォー日本人は殆どが覚えてるんじゃないかしら、と)。90年代というCD普及期に、レコードでしか発売されていない懐かしの名作(90年代から見た「懐メロ」ですから、70〜80年代の作品になります)を安価・高音質でCD発売しようという、レコードレーベルの枠を超えた企画。「Q盤」というのは「クオリティ」のことを指すわけですが、勿論「旧盤」との掛詞です。
 生産が途絶えて20年は経過した今でも私が散逸させずに持っているのは、もう矢野顕子『JAPANESE GIRL』~『東京は夜の7時』と、最近運良く中古購入がかなった郷ひろみ『HIROMIC WORLD』くらいしかありませんが、寮生時代にはお小遣い(っちゅーか食費)の中からやりくりして何枚も手に入れたものです。
 そんな中の1枚に、内容については大分記憶が朧気ですが金井克子『他人の関係』がありました。大ヒット曲をメインに据えた73年のアルバム(シングル「他人の関係」が73年だから、多分アルバムもそう)は、半分がオリジナル曲、半分が洋楽の日本語カバーから成っていたと記憶しています。勿論、「他人の関係」という楽曲が余りに好きすぎてアルバムにまで手を出すという流れで手に入れたもので、その最後に収録されていたのが野沢那智とのデュエットによる「あまい囁き Parole Parole」でした。プレイボーイの囁きと断ろうとして弱々しい女性とのかけあいですから、多分色っぽい歌だったと思うんですけれども、なぜかあれを中学時代の私はゲラゲラ笑いながら聴いていました。「他人の関係」にはちゃんとドキドキしていたのに、なぜなんだろう。アルバムの1曲目が「他人の関係」だったから、最後の曲でゲラゲラ笑って、最初に戻ってまたドキドキする、というループ。私の感情よ。

 話変わって、2021年、冬。
 折坂悠太『心理』と一緒に購入したために2ヶ月以上も放置されることになってしまったアルバム、CRAZY KEN BAND『好きなんだよ』を初めて聴いたら予想以上に良かった、というのが本題だったんですけれども枕が長かった。
 横山剣は私にとっては「タイガー&ドラゴン」と「かっこいいブーガルー」の2曲だけで、強いて加えるならユーミンの「コバルト・アワー」をカバーしたオジさんというだけの人だったんですね。ユーミンが好きだという段階で間違いのない人だということは分かっても、オリジナルの作品については声も世界観もそんなに好きというわけでは。ところが、バンドキャリア初というカバーアルバムの収録曲を見たら、カバーが18曲ある中で気にならない曲が1曲もなくてびっくりしました。私も全曲「好きなんだよ」、で即決購入。でもだからこそ、中にはこの曲を横山剣の声で~? と疑うものもあり……と思ったら、バンドには女性ボーカルも居らしたのね、そしてその方がこんなに良い感じに歌って下さるのね、となりまして。★★★★★。全曲「好きなんだよ」なので収録曲を全部書く。
 モンロー・ウォーク~ルビーの指環~プラスティック・ラブ~DOWN TOWN~冬のリヴィエラ~スカイレストラン~やさしさに包まれたなら~接吻-Kiss-~時間よ止まれ~夏のクラクション~最後の雨~雨に泣いてる~横須賀ストーリーよこはま・たそがれ~空港~難破船~アフリカ象インド象~あまい囁き
 要は、こっちの「あまい囁き」はちゃんと色っぽかったよ、と言いたかっただけなんです。あ、あと、ジャケット写真が女性ヒップのアップだったのは本当に邪魔で、それが無ければほぼ完璧だったと思います(世界観がそんなに好きというわけでは、となる所以)。

 というか、これまでのだらだらとした記述が日記の枕で枕の方が長かった。

 午前中は年休を取って書斎で仕事や書き物、クリーニング店に行ったりお風呂の掃除をしたりも。半ドン終業時刻を過ぎた14時に天邪鬼出勤をして、机仕事、16時からは理系東大現代文特講(内田樹)を2時間。

 12/11も「自粛御膳」をお休み、特講終わりに居酒屋「もりき」にて独酌。これだけ通ってまだ出て来るか新しい蔵が、と驚き。
 マグロ酒盗・太刀魚塩焼き~肉じゃが(自宅)。
 491蔵目・島根「月山」(芳醇辛口純米 しぼりたて無濾過生酒)。