京極のざわめきも 五条大橋三条も どこも似合うよ

 大学での専修課程で同期だったNさんが「主体性について作文しろと言われて唯々諾々と書くのは主体的なのだろうか…」と呟き。
 思い出すのは56回生。随分前に国家一種試験の小論文(過去問)の添削を依頼された時の問題が「『上意下達は愚、個々人の創意をこそ尊重すべき(大意)』という課題文を読み、それについて意見を述べよ」というもので、某塾の解答例を要約したら「仰有る通り」。私が「馬鹿らしいと思わない?」と訊ねたら片付かない顔をしていた彼(若しくは彼女)も今では官僚第一線です。

 さて、新幹線快適。7時53分K駅発なのにホーム到着1分前というのはいい加減学習しろ、ではありますが何とか乗り込めました。授業無しの本日(金)・明日(土)を1.5日の年休にしたら金~火の5連休。前半3日をお休みということにして今日から京都2泊です。命の洗濯じゃぶじゃぶ。
 新幹線では、駅弁を食べて、本を1冊読んで、CDウォークマンで米津玄師を聴いて、車窓を眺めながら昼の観光訪問先を考えました。米津玄師『STRAY SHEEP』、何度も何度も聴いて漸く気づいたんですけれども、収録の15曲全てが5分未満で終わるというのは相当珍しいことなんじゃないでしょうか(という感覚が古いのでしょうか)。

 新大阪駅で新幹線を乗り継ぎ京都駅へ。降水確率80%の空はギリギリのところで泣き出すのを我慢という状態で、降り出したら傘を買おうというチキンレースは今のところ私の勝ち。いずれ降り出すだろうからという逡巡はありましたが、山で濡れたら服を買えば良いと開き直って、昼の観光は伏見稲荷大社を選択することに。
 去年の紅葉のシーズン、ふと思い立って67回生我らB組Yくん(今夜も会って飲みます)・Sくんの2人と宇治を観光した時の奈良線は凄まじかったのを覚えています。立錐の余地無く人間(国籍多様)が鮨詰め伏見稲荷大社・宇治という観光地2箇所へ客を運ぶ車両内で3人ともバッテラの米粒状態になったものです。
 が、本日。発車10分前の奈良線鈍行に乗り込んだら、1つの車両内に人は5人程度。外国人観光客は居ない上に私が1日前倒しで連休を始めたので(日本人観光客が増えるとしたら明日からなので)人が少ないだろう、とは思っていましたがまさかここまでとは。本来は、こういう生活者の(しかも利用する人の少ない)路線だったんでしょうか。2駅10分弱で伏見に到着。

 改札を出て直ぐの駅構内に10室ほどの小さなコインロッカー、期待していなかったのですが半分以上が使われて居なかったのでバッグを入れて財布・スマホ以外手ぶらに。普段、財布は二つ折りの札入れとがま口との両方を使っているのですが、旅行中や大型の飲み会に出掛ける時には札入れの方に小銭も入れて1つにまとめています(ジーンズの右左のポケットで事足りるように)。
 「今なら穏やかに過ごせるよ、絶対」と教務部長地理先生が仰っていた通りでした。初訪問の伏見稲荷神社、表参道から閑散で右も左もシャッター通りみたいになっています(「コメダ」とかコンビニとかが開いてるくらいです)。大社の敷地内に入ってもガランガラン、現在推奨されているソーシャルディスタンスなんて気に病む必要がない。「伏見稲荷大社」の碑と大鳥居とをスマホで写真に撮る私の、最低でも半径5m以内に人は誰も居なかった、と言えば状況が判りましょうか。この後、敷地内で誰かと1m以内に近づいたのは、1時間歩いた参道で10人程度の人とすれ違ったり追い抜いたりした時と、社務所で同窓数学・若手体育ご夫妻へのお守りを購入した時とだけです。
 有名な千本鳥居なんて、ばしゃばしゃ写真を撮っても誰一人映り込むことがありません。余りに調子に乗って撮りまくってたら、途中足下への注意がお留守になって滑って転んでしまい、丁度石畳に正座する格好で両膝をしたたかに打ち付けてしまった程です(お稲荷様に「普段はもっと多いんじゃ調子のんな!」と言われたのかしら)。5分蹲る程度には痛かったのですが、折れた割れたは無さそうでした。その後の山歩きも大丈夫だったので良かったですが、年は年ですね。
 山歩きはず~っと鳥居が続いているのが面白く退屈せず。千本鳥居を潜るのは、小学校時代にTVアニメ『魔神英雄伝ワタル』で主人公たちがやっているのを観て以来の希望、30年経て叶いました。その頃親友だったAくん(あっくん)のお父様が働かれていた福岡「安川電機」の鳥居を見つけたり。

 頂上まではあと15分というところまで登ってから、疲れというより空が愈々泣き出しそうという理由で引き返しました。急ぎ足の下山途中は左右を見渡す余裕はなく、途中ふと目に入った足腰にきくという社だけはお詣り。大社入口鳥居に戻った辺りから雨がパラつき始めたので、表参道シャッター通りの中で開けていた茶屋に飛び込みました。ここも、30席ほどの店内は私以外無人です。ひやしあめと冷やし抹茶とを悩んで後者を注文したら、想像とは(嬉しい方向に)やや異なったものが来て(クリームソーダ状態でアイスクリームの代わりにかき氷が乗っていました)、こぢんまりとしたお庭を眺めながらサクサクとつつけば山歩きの汗も引っ込みます。

 傘を差すほどでもない降ったりやんだり(降っても小雨です)の中を駅まで移動して、行きと同じく車両10人程度の奈良線で京都駅へ。ホテルチェックインの前に、先ずはタクシーで次なる目的地に向かいます。降りがけに運転手さんが「ここは凄いですよ」と言われて入店し、果たして「あっ!」と声が出ました。
 「名酒館タキモト」。事務嬢さんへのお土産に京都の焼酎を買おうと適当にネット検索した店だったのですが、日本酒の揃えが凄まじい。「もりき」で飲んだもの、東京の「酒菜家」「希紡庵」「みや穂」「串駒」「ぽつらぽつら」「うつらうつら」(くそ、行きてぇなぁ!)……等々で飲んで美味しかったあの酒この酒の様々なアイテムが暴力的なくらいにずらずら並んでいます。壮観圧巻、店員さんの許可を得てここでも写真をばしゃばしゃ撮りまくりました。私の「日本酒チャレンジ」は現在200蔵程度ですが、半分以上はあったんじゃないかと思います。そして同時に「これも飲んでない! これも忘れてた!」というお酒が何種類も見つかって残らず配送手続きを。「日本酒チャレンジ」は210蔵(7回目のリストアップ)で打ち止めの予定だったのですが、ここのお陰でもうちょっと続きそうです。
 店からホテルまでは歩いて20分というところだったのですが、途中で本降りになったのでタクシー移動に。その前に雨宿りと軒を借りたのが東本願寺だったというのがいかにも京都ですね。此方も参拝・観光客はほぼ皆無でしたが。

 四条佛光寺で、ダブルベッド、大きなソファ、風呂とトイレとはユニットでは無くて別々、という設えの部屋。これが1泊4000円まで値崩れを起こしている状態。正規の値段から4000円を引いたら、今夜67回生に奢る食事代の大部分は賄えそうです。損得相殺……っつっても、卒業生飲みは楽しいばかりの趣味ごとなんで「損」ではありませんね。
 入浴後にホテルを出たら雨はすっかり上がっており、四条から待ち合わせの三条駅へ。流石京都、の共産党街頭演説を通り過ぎ、錦市場新京極を見て回り(買い食いは我慢)、待ち合わせの三条駅へは20分前に到着しました。時間潰しは、駅から徒歩7分の目的地(居酒屋)の場所を確認して駅に戻り、近くのファミマで「ペパリーゼ」を買って飲むという流れ。

 9/18からは旅行につき「自粛御膳」をお休み。
 京都三条「よこちょう」にて、67回生Yくん(京大法)・Kくん(京大工)・Fくん(岡大医)と飲み会です。一度行きたかった海鮮系の居酒屋。
 予約段階で刺し盛りと八寸とを人数分注文していたのですが、それだけでお腹いっぱいになりそうなボリュームでした。他に注文したのは、てっぱい・鰻蒲焼き・帆立バター・松茸土瓶蒸し・鯖寿司、等々。日本酒は京都「富翁」、滋賀「喜楽長」。
 Yくん(2年生)とはこの1年半で既に4回とか会ってるのかな。居酒屋(二次会で行きます)バイトも板についてお酒の(というか業界の)知識が多いし飲むのも上手・上戸なので楽しいんですね。それに比べたら、未成年だからカルピスのKくん(1年生)や、自分で割るタイプの梅酒サワーの塩梅がよく判ってなさそうなFくん(1年生)はまだ慣れてない感じ(これはこれで好感度高い)。一浪組は入学即オンライン・部活禁止等々未だまともな(というか、いかにもな)大学生活を満喫できていないでしょうから、集まって食事(飲み会)する店、みたいなのに慣れていないんでしょうね。その彼らの、オンライン講義と(コロナ禍の中での公認非公認入り交じった)部活動とを中心とした大学生の近況を訊きながらの食事。

 2回戦は同じく京都三条「おざぶ」、Yくんのバイト先であるところの、日本酒飲み放題とおばんざいとが売りの居酒屋。海外からの観光客に人気の店は今まさに苦境だそうで、広い店内を3人(調理1人・ホール2人)で回して余裕、Yくんもシフトからは長く離れているとのこと。ですが、おばんざいは当然で揚げ物も焼き物も美味、日本酒も面白いものが多かった(上に飲み放題を選んだ私は特別に「十四代」グラスがプラス500円で飲めた!)し、何度目かの訪問ですがやはり魅力的なお店でした。そして、和らぎ水の手配からテーブルの片付けまでYくんの所作は宛ら4人目の店員でお見事。
 愛媛「寿喜心」(山田錦 純米 生原酒)、北海道「二世古」(特別純米 原酒 秋あがり)、岐阜「はなざかり」(特別純米 絞りたて生原酒 ふなくち なかどり)。

 5時過ぎから集まったので、2軒終了時はまだ21時半とか。2軒目の途中でYくんに着信があり、別の場所で飲んでる66回生・67回生京大組からお呼びがかかったそう。Yくんは気を遣って「先生も来ます?」と訊いてくれましたが、店を訊くに私が入る場所じゃないな、という感じだったのでご遠慮。飲み会初心者のKくん・Fくんも2軒で終わることにして、解散。
 めちゃめちゃ余裕だったので独りで「キャラメル・ママ」(ユーミンバー)にでも行こうかなとも思ったのですが、ご時世を考えて真っ直ぐホテルに帰還。健康睡眠。

 そうそう、Kくんからは「自粛御膳」を彩ってくれそうなお土産を頂きました。多謝。