記憶の中の景色も去ってく なのにまたオレは今日も立ってる

 本日より新年度。私は4年目となる教務主任(時間割)続投で学年団には入らずです(年度末までの時間割変更・定期テスト時間割は作成済み)。授業は高3(72回生)現代文と高1(74回生)漢文との担当となり、週に授業16コマ・特講6コマ(文系東大・理系東大・京大)。土曜午後は18時まで東大・京大特講、その答案添削(10時間程度?)で日曜が潰れるので、昼酒禁止の健康生活になりますね。

 さて、上京2日目。ホテルベッドで快眠、起床、入浴、朝活は駅近くのエクセルシオールで。大塚駅前の隊列は正装の親子連れ、入学式なのかも知れませんが4/1に催行する学校があるの? 私の格好は正装からはほど遠いジーンズとジャケット(ジャケットの下は「男く祭」Tシャツ)。今日のランチは代官山でフレンチなんですが、Tシャツがドレスコードに引っかかったりして。

 朝の電車で竹橋駅へ移動(降りるのは初めて)。本日最初の遊びは「東京国立近代美術館」にて特別展『重要文化財の秘密』。重文だけを展示(全68件のうちの51点!)というのを売りにした企画、ひと足お先にご見学のまっぴぃ(展覧会マニアの大学の先輩)から「順番に見るな作戦を立てろ」とのアドバイスを受け、開場と同時9時半のチケットを予約購入しています。
 20分前に到着したら行列の8人目、その10分後には50人超です。開場後、ぴぃ氏から伺っていた通り展示2番目のコーナーにある横山大観『生々流転』に先ずは直行したら、40mを3分間だけ独占鑑賞出来ました(その10分後にはゾンビ映画状態で人が密集していました)。大観の後は、展示最終コーナーに向かってそこから順路逆行。順番に見学している他の鑑賞者とは一切接触せずに、光雲の猿とメンチ切り合ったり、黒木香みたいなの(萬鉄五郎「裸体美人」)に睥睨されたり、青木繁の闇落ちの契機になった作品(「わだつみのいろこの宮」)に再会したり、高橋由一「鮭」の上半身だけ接写したり、と楽しい鑑賞、作戦は大成功です。因みに、展示作品の個人的白眉は鏑木清方が描いた圓朝だったのですがこれは撮影禁止、作品の前で10分凝視しました。
 初訪問の「近代美術館」は常設展も充実。太田聴雨「星をみる女性」という絵が素晴らしかった(和装の美人が「科博」の屈折大望遠鏡を覗いている、昭和11年の作品)。

 代官山に移動して、67回生Aさん(祝・社会人デビュー)とランチ。老舗フレンチ「パッション」にて、名物のカスレを中心にしたコースを。フルコースボリューミー、家庭料理的で緊張せずに過ごせる雰囲気でした。アルコールは無し。
 東大文学部(社会学)の卒業論文が優秀賞に輝いたというその論文の話(テーマはBL作品の受容だというんですから、本当に良い時代になりました)、4月から働くことになるコンサル会社の就活担当が58回生Yくん(私にとっては教え子時々飲み友だち、某さんにとっては先輩)だった話、など色々と愉しく。
 Aさんにお別れの前に就職祝いをと言ったら本がいいと仰るので、腹ごなしに渋谷まで歩いてから山手線に乗り、新宿に移動して「紀伊國屋書店」に行きました。Aさんが選んだとある本と、私が選んだ霜山徳爾『人間の限界』とをセットでプレゼント。因みに、私は渋谷まで歩けば大型書店があると思っていたのですが、今この街には大きな本屋が一軒も無いというのを知って衝撃を受けました。

 新宿から電車で武蔵小金井駅(この駅で降りるのも初めて)。目的地は駅からバスで10分程のところにある「江戸東京たてもの園」、花見家族でいっぱいの公園内に、江戸・明治の建造物を移築保存したテーマパークがあるのです。
 入口ギャラリーで企画展「日本のタイル100年」。今年は、1922年に日本における統一名称としての「タイル」が採用されてから100年なのだそう。先日は北九州でTOTOの博物館を観ましたが、衛生陶器というなら勿論タイルそのものにも注目しなければなりません。古今のタイルを展示するとともに、日本のタイル100年の歴史を概観する。当時の日本で衛生の概念が普及したのは勿論スペイン風邪由来、100年前のマスク推奨広告が印象に残りました。
 その後、園内を散策しながら様々な建造物を見学。明治時代のガラスもそのままの高橋是清邸、内田百閒も常連だった居酒屋の「鍵屋」、タイルに富士山が懐かしい銭湯の「子宝湯」、等々に(靴を脱いで)立ち入って見学。親子連れ、ベテランご夫婦連れ、意外なことに女子旅グループも多く。地方から上京した中には知らない人も多いかと思われますが、半日は優に潰せる穴場でした。

 夜は池袋、63回生我ら文系A組のEくん(大企業)・Mくん(官僚)・Tくん(銀行員)と4人で池袋「知音食堂」へ。しょっちゅう飲んでるイメージだから「知音」も全員経験済みかと思ったら、Mくん・Tくんは初訪問だということ。辛めでお願いした麻婆豆腐を青島ビールで流し込む。その他の料理も真っ赤な物が多く、翌日のトイレでホイットニー・ヒューストンみたいな声が出る粘膜刺激系、ハマると抜け出せません。
 就職当時は「メンターがブラックで……」とか弱気なことを言ってたEくん、いつの間にか「いや~、後輩が頼りなくてさぁ」とか平気で言ってて、悲劇が繰り返すというなら今ここで元担任がそれを断ってやろうかとも思ったのですが、前回年末の飲みを私が全額奢ったお返しをしてくれると言ってたから少なくとも支払いが終わるまでは殴るのを止めとこう……と思ってたら、何だか盛り上がって「カラオケ行こうぜ!」となり(多分、言い出しっぺはEくん)、もうそっからだんだん記憶が薄れてるんですけどガンガン飲みながら順番に歌い狂って、ここから先は明日の日記になるんですけどホテルで目覚めた後に一次会も二次会も全額Eくんに払わせたことに気づいて慌ててごめちゃいメールを送りました。