それで 救われる気持 今頃は 終りの季節

 昨日のランチにて、明日から新社会人になる67回生Aさんの「自分が老害になるのが今から怖い」の言に何を仰るはっはっはっはっつったんですけど、その夜に16年下の教え子っつか何なら私が高3担任だった3人と一晩中遊んで翌朝の財布が1円も減ってなかった(大企業Eくんに全額払わせた)事実、我ながら老害が堂に入っとんな、と青ざめながらごめちゃいメールを送る朝。

 でもって私の声、飲み過ぎ歌い過ぎだろというガラガラ、早朝出発の道すがら、ドラッグストアで「響声破笛丸」を購入しました。何だか、東京に行くたびに買ってるような気がします。
 本日最初の目的地は東京駅。丸の内南口を出て5分歩けば赤煉瓦造りの洋風建築、東京「三菱一号館美術館」の特別展『芳幾と芳年 国芳門下の2大ライバル』へ。藤原保昌と袴垂を描いた月岡芳年藤原保昌月下弄笛図」(初めて観ました)がいちばんの目的だったのですが、これは実は「北九州市立美術館」が所蔵でこういうのは旅先の一興。落合芳幾の『太平記英雄伝』ずらりは圧巻、最後の浮世絵師と呼ばれる芳年が最晩年に手がけた『月百姿』の美しさも。本当はここを観終わった後は原宿「太田記念美術館」に梯子しようかとも思っていたのですが、浮世絵に関しては完全にお腹いっぱいになったので取りやめました。因みに、この特別展の後、「三菱一号館美術館」は約1年半の休館になるそう(メンテナンスのため)。

 原宿を取りやめにして向かった先は神保町。神保町訪問を日曜日にするのは悪手なのですが今回はここで行かなかったらもう暇がありません。店休日の店舗が多かったですが、それでも「ワンダー」や「澤口」やのメジャーどころで新書・文庫の収穫が幾冊か。お昼の「サンマルクカフェ」に入って、コーヒーと軽食とを摂りつつ、今買い込んだ全ての本の目次を頭に叩き込みました(目次だけ覚えた状態で国語科に置いておくと、資料として使えそうな教材があった時に直ぐに取り出してコピーできるのです)。

 神保町から押上へ(地下鉄一本で便利)。待ち合わせは14時45分でお相手は61回生Hくん。日本酒好きの彼を誘って、今日は15時開店と同時に日本酒の聖地とも言うべきバー「酔香」へ初訪問です。店内写真はNGでしたが(日本酒の瓶に関しては記録用はOKで公開は不可)、未踏破の蔵が2蔵あったというだけで深みが分かります。壁中ずらり100じゃきかない銘柄のどれを選んでも良いというのですから相当に悩みました。肴も絶品(先ず、突き出しの6種盛りで気分が爆上がりします)。Lの字カウンター8席の小箱は私達2人と常連らしきご夫婦2組の6人で開店15時から既に満席。店主さんとの会話は常連さんが独占なので、構ってほしいタイプの一見さんはやや不満を残すかも知れませんが、我々は無問題。話題は直前に発表された山下達郎(Hくんは熱狂的ファン)の今年のツアーのこと(私も昨年に続いてチャンスがあれば是非観たいところ)、高橋幸宏追悼のこと、等々。Hくんに「山下達郎高橋幸宏追悼のラジオ番組で流した矢野顕子のアルバム、分かります?」と挑まれましたが「そりゃ『東京は夜の7時』でしょ」と秒殺。山下達郎がコーラス、高橋幸宏がドラム、選曲はその中から「WALK ON THE WAY OF LIFE」だったそうです(全員のソロパートがあるからですかね)。因みに土岐麻子も大好きなHくん、店内BGMがずっと彼女のアルバムだったのにメチャクチャ食いついてました。
 670蔵目・富山「帆波」(純米吟醸 無濾過原酒 雄山錦)。
 671蔵目・滋賀「竹生島」(長期常温熟成 大吟醸原酒 黄蘗 1995年)。

 数十分頑張れば徒歩でもたどり着けないこともない場所にもう一つの日本酒聖地「はせがわ酒店」があるということで、腹ごなし酔い覚ましも兼ねて夕方の散歩。たどり着いた実店舗は、まぁ確かに揃いが良いと言えば良いんですけど、という感想。少なくとも、店に陳列されているもの(表面だけ?)の中には未踏破の蔵は1つもありませんでした。

 ここから先は何にも計画がないのですが、どうせなら最後まで遊ぼう、ということで要町のクイズバー「スアール」を提案したところ、クイズ未経験のHくんがノリ良くOKしてくれたので(店も電話予約出来たので)、先ずは池袋に移動。先の「酔香」ではお摘まみ程度の食事で、「スアール」では食事が出来ないので、間に夕食を挟むことにしました。どうせなら日本酒が飲めるそば屋にしようということで、東口の蕎麦「ならや」へ。冷たい蕎麦、温かい蕎麦、だし巻き卵。ビールは赤星で良、その後日本酒を2~3合。

 要町まで歩いて雑居ビル2回のクイズバー「スアール」。客席全てに早押しボタン、バーテンさんがクイズマスター(イベント進行、問読み)も兼ねるというシステムです。閉店23時まで、2時間以上クイズを楽しみました(飲みながら)。常連さんにはここで出題されるクイズをほぼほぼ覚えているという方も居るようで、学生時代から別に強かった訳ではなくその上ブランクで色々忘れている(反射で押しておきながら「武者小路千家」すら出てこなかった)ポンコツの私など殆ど立ち入る隙もありません。それでも、ボタンがついたら嬉しいし、1問でも答えられたらなお嬉しい。日本史勢のHくんも『鎌倉殿~』で観たばかりの知識で初正解を出したときは嬉しそうでした。因みに、今夜のクイズマスターの方はTQCの41期でいらっしゃいました(私は18期です)。
 クイズ中の話。問題文の「コピ・ルアク/」から「ジャコウネコ」を答え、Hくんから「どこで知るのよそんな知識」と言われたのに「だって『先生のおとりよせ』に出てたじゃん」と返したら、隣席の若者(常連、多分TQC)が「ナチュラル知識羨ましい……」とポツリ。そういう感覚って持ってるんだ、でもって実際に飲んだ訳でもない知識でもナチュラルって言うんだ、となりました。クイズで覚えたのではない知識は全て「ナチュラル」っていうのは、ちょっと「ナチュラル」観が広大過ぎやしませんかね(自分の知識をその基準で捉えたら、それは傲慢かも)。

 23時の閉店に合わせてビルを出てHくんとはお別れ、最後の話題が坂本龍一の訃報になってしまったのが悲しく。