飛んでゆく東の空へ みじめ みじめ

 昨日で1学期は終わりましたが、本日から、高校生は半ドン4限の前期課外授業です(高1A組は6限まで、高3は5・6限に特講)。私は、3クラスで漱石彼岸過迄』のセンター演習を行いました。一昨日の日記に書いた「是が我なり、是が我なり」という伝説の生徒を紹介したら、「頭良い陰キャやべぇ!」と笑い・驚きが半々の反応です。
 そう言えば、昔、63回生だったか67回生だったかの授業で、「是が我なり」を紹介して笑いを取った後に、授業解説中に生徒から「先生、板書の『縁談』が『縁断』になってます」と指摘されて咄嗟に「是が我なり!」と返したことがありました。あの時の反射神経は我ながらなかなかだったと思います。

 先日、自宅マンション前の手芸店「サンカクヤ」駐車場に出張の刃物研ぎ屋が来る、というチラシが郵便受けに入っているのを読み、今日の帰宅後、仕事用の紙切り鋏をお願いしました(時間は30分、料金は1200円)。就職直後に国語科恩師先生から「鋏だけは良い物を」というご助言を賜り、一番街の刃物屋(今はもう失くなってしまったお店)で購入したもの。値段は失念しましたが、初任給すら受け取る前の23歳、買うのに多少以上の勇気を要した記憶があります。鋏ではなく、少し開いた刃と刃との間にあてた紙の方を動かせば、余程の厚紙でない限りスッ、と切れる。普通の鋏にはもう戻れません。その切れ味が今でも変わらないためについつい手入れを怠っていましたが、プロの仕事で刃は20年前の銀色を取り戻しました。
 正直、出張の研ぎ屋さんなんてのにそんなにニーズがあるんかね、と軽く考えていたのですが、人生ベテランの女性たちがご自宅の包丁を抱えて割に繁盛していたみたいです。

 行きつけの美容室「G」(店長ワンオペ、完全予約制)に今後の空き状況を尋ねる電話をしたら、「今からOKです」と言われて直ぐに出掛けました。本日、夜は卒業生とのさし飲みが入っているのですが、髪を切ってもらってから歩いて店に行けば時間ぴったり、というタイミング。
 私がさっき仕事用のものを研いでもらったという話から、美容師にとっても命である鋏のお話を色々。先程、「紙」切り鋏の高値に購入逡巡と書きましたが、「髪」切り鋏の値段はその倍或いは10倍の世界で重みが違う。鋏研ぎも、専属の方が定期的に「G」を訪問しているのだとか。鋏の話は転がって包丁、そして俎の話へ。私も店長さんも俎は銀杏という共通点、銀杏の俎って傷が入りますよね? と私が言ったら、店長さんに「実家に道具があるんで、定期的に削ってます」と返されました。流石。

 さて、夜は小料理屋「A」の夢小鉢。本日のお相手は、70回生(阪大2年生)Iさん。メールでお誘い頂いて即諾の返事をしたんですが、42歳のおっさんが2周り近く下の女子と2人でというのはアレですんで、きちんとした方(ママさん)の見張りがある店を選びました。20歳にして日本酒女子として完成しておられたIさんは、ホテル宴会派遣のバイト経験を積んでオッサンあしらいに関して確りとした手管を習得なさっておいでで、その辺りのお話を中心に近況を色々。
 私「私もですね、オッサンなわけですよ。でね、オッサンと20歳の女性が、他人同士で2人きりというのは色々と『アレ』なんですよ。だから今日も確り監視の目がある店を」
 I「アレ、って何ですか?」
 私「だから、よくニュースとかで教員の不祥事が問題になっていますでしょう? 誘って下さるのは嬉しいですけれど、Iさんももっと慎重にですね」
 I「池ノ都先生は大丈夫でしょう!」
 私「分かんないじゃないですか、急に『アオーーーーーンッ!』とか吠えて」
 Iさん・ママさんから2人同時に鼻で笑われました。是が我なり。

 Iさんからは素敵なブルーボトルの日本酒をお土産に。これが実は「日本酒チャレンジ」未踏破のお酒で万歳。
 あと、こちらは残念なお話ですが、8年に渡ってお世話になった小料理屋「A」は今月末で閉店が決まっています。私はそれまでにとあと1回だけお邪魔するよう、今日予約を入れておきました。