いまは持ちきれない願い で、帰り路。

 後厄下山完了、本日が43歳の誕生日。夜はK市でいちばんの懐石「G」に事務嬢さんと55回生Tくんと……なんですが流石に43歳でお誕生ぱーちーとかいうのはキショいよなぁ、名目はやっぱりTくん(4年ぶりにニューヨークより帰国)のウェルカムバックだよなぁ……と朝イチにスマホを開いたら、「西田ひかる 感謝の誕生会 22年ぶり”名物”復活 ヒット曲『きっと愛がある』熱唱」というタイトルの芸能ニュースが。若い方はご存じないかも知れませんが、嘗ては西田ひかる和田アキ子や、誕生日会というのが毎年ニュースになってた芸能人が居たんですね。22年ぶり、51歳の誕生パーティーで「あるある・る・る」(by中島みゆき)を歌う西田ひかる。このニュースで、私は夜の懐石を自分のお誕生ぱーちーと呼ぶ勇気を得ました。

 学校からの緊急メールで、明日・明後日は台風接近に伴い生徒の登校(自習や体育祭・体育大会の準備)を禁止とする旨、連絡が。今夜の飲み会が楽しみ過ぎてそれ以降のことを全く考えていなかったのですが、籠城という可能性もあるんですね。という訳で、先ずは近所の(と言っても歩いて15分以上かかりますが)スーパーマーケットで食材・酒・水を買い込んできました。午前中は、台所で作り置きの作業。冷や汁、もずく酢サラダ、豚大根煮付け、それに久しぶりの大根ポン酢漬け。拙い炊事をやっていると、夜の懐石への期待が弥増しになっていきます。

 夜まで水分補給以外の固形物は禁止、午後は書斎で3時間ガッツリと日記を書き続けました。その後、1時間ほど仕事も。読書は無し、入浴後に着替えて自宅にタクシーを呼んだのが17時過ぎ。事務嬢さんのマンションの下を経由して彼女を拾って懐石「G」へ。今夜は、普段は絶対に頼まない最も高いコースを予約しています(食事だけで12000円)。事務嬢さんはともかく年若いTくんが困るかなぁ、と一瞬思ったんですけれども、当たり前ですが8歳年下のこの銀行マンは現在の私よりも遥かに高給取りさんですし、アメリカンな世界はビール1杯1500円、ハンバーガー2500円だとかLINEで言ってたから、まぁいいかな、と。因みに、熊本「産土」を1本持ち込みます(持ち込み料金が必要)。

 というわけで、事務嬢さん、Tくんと、久々の再会(と私の後厄下山完了と)を祝して乾杯。私の担当していない回生なのに何故か就職1年目に滅茶苦茶仲良くなってしまったTくんとは、卒業後(東大→M銀行)に東京でK市で(事務嬢さんも巻き込んで)飲み倒してました。私もそうですがTくんも大概お酒が強いので(事務嬢さんには負けますけど)、お互いの飲み方を「静かなる激飲み」とか言ってましたね(文系文科系「あるある」かも知れません)。コロナよりちょっと前に彼がニューヨークに転勤して以来、Tくんが実家のあるK市に帰省するのは今回が初めてのことで、今夜は4年ぶりの乾杯。因みに、渡米前にご結婚なさったパートナー氏は現在妊娠中でニューヨークに残られ、そちらにはパートナー氏のご実家ご家族が出向いておられるとのこと。
 最初の八寸(長芋羹・蛸早煮山葵和え・合鴨の葡萄酒煮・無花果胡麻クリーム掛け・鰊茄子・晒し鯨酢味噌・鰻燻製・海老と玉蜀黍の掻揚げ・太刀魚の牛蒡巻き・ほおずきとまと)だけで1時間飲めそう。椀物にはたっぷりと松茸。焼き物は鮎と牛フィレ、最後のお強は鱧。ニューヨークの経済・食糧事情などを教えてもらいながら、ビールに日本酒にワインにハイボールにとどちゃんぽん。

 最初の八寸の美と味とに感動しながら、3人で話す。私「大体、3人で飲む時、特に今回みたいに食事が美味しい店を選んだ時に失敗するのが我々で」 T「確か、渋谷の『産直や たか』で飲んだ〆に『光麺』に行ったことありましたよね」 嬢「2軒目だとか3軒目だとかで一次会の味を忘れる、全部無駄やん、みたいな」
 前振り、フラグ。今夜も2軒目は小料理屋「U」で、3軒名はライブバー「A」。チョコレート菓子食いながら喉が避けそうなくらいカラオケを熱唱してる内に、八寸の食材を大体全部忘れてました。

 事務嬢さんからはお誕生日プレゼントに素敵な酒器。泥酔でしたけど忘れずに持って帰ったのは褒められることだと思います。我々3人には珍しく、日付が変わる前に自宅に帰ってましたし(飲み始めは17時半)。