天下無敵のゴーヤーマン☆

 宝田明・のむみち『銀幕に愛をこめて ぼくはゴジラの同期生』読了、★★★★★。素晴らしい聞き書きでした。
 前に書いたように、引き揚げまでの子ども時代は涙なしではという壮絶(対談した石原慎太郎も圧倒されたというの、よく分かります)、あらゆる文化に興味があるけれどもロシアだけは生理的に身体が受けつけないという言葉の説得力が哀しい。銀幕デビュー後も、『ゴジラ』裏話、名匠の素顔、先輩綺羅星からの薫陶、と読みどころだ(ら)けでした。しかし宝田明という人、ダサい感想ですけど、凄い人だったんだなぁ、と。日本語英語中国語を使いこなす俳優としてアジア中で活躍したのみならず、『ゴジラ』等の作品で世界中にマニア的ファンが大勢いる。撮影中の大怪我を乗り越え、和製ミュージカル黎明期に先駆けとして歌い踊る。あらゆる出演作について文化的背景(国際関係、そして戦争)まで押さえて語り尽くせるだけの勉強量と記憶力とを持っている。
 【政界で「おタカさん」と呼ばれたのは土井たか子ですが、芸能界で「おタカさん」と呼ばれた往年の名俳優は誰?(宝田明)】というのは、限定一切なしだからクイズにはならないですね。

 4時起床、書斎で昨日の特講の添削と答案整理と。授業3コマは高3現代文で、教材は11年センターの加藤幸子「海辺暮らし」。今ならSNSで「ゴ・メ・ン・ナ・サ・イ・ネ」がトレンド入りすること間違いなし(当時は「2ちゃんねる」でした)、主人公のお治婆さんのキャラはなかなかに濃い。
 それにしても、母親の顔した石膏像とキスしてアヘるだ、僕っ娘だ、「ゴ・メ・ン・ナ・サ・イ・ネ」だ、「ヘーヤーヘブン」だ、「おほほほほほほほほほほ」だ、緊張状態の受験生に何を読ませたいんだって話ですね。そう言えば、99年に私が解いたセンター小説は山田詠美「眠れる分度器」でしたけど、あれだって教頭先生が小学生に命じて血が出るまで自分の腕を噛ませる、というちょっとショッキングな場面がありましたもんね。

 脱線。センター試験の思い出。
 私、本番のセンター試験、88%だったんですけど、最も得点率が低かった教科が国語だったんですね。山田詠美の小説で10点台しか取れなかった。高3の夏に『僕は勉強ができない』を読んでた私、リード文を見た瞬間に「勝った!」と思いました。あらすじ、覚えてましたしね。だからこそ、自己採点の時の衝撃は大きかった(とまぁ、あんまり覚えては居ないんですけど、多分)。思い返せば私は多分、試験中に、夏の自分の読書を反芻するという、国語の試験において絶対に絶対にやってはいけないことをやっていたのでしょう。試験中にやるべきことは「読書」ではなく「読解」、それは「出題者の読書の追体験」ということです。今は、あの試験中の自分をひっぱたいてやりたいです(「目を醒ませ!」って怒鳴りながら)。後に、山田詠美がエッセイで「正解が無い!」「誤読だ!」と憤っていて、作者としてのお怒りは至極御尤もだと思いはするものの(私、AMYの信者ですし)、作者のいうその「誤読」を「追体験」するのが試験中の作法であるという事実は動かないんです。
 因みに因みに、最も得点率が高かった教科は理科(当時の文系は1科目で「生物」でした)、次が英語、次が数学、次が社会、最後が国語。何がF校国語科が唯一(not第一)志望だ、って話ですね。黒歴史。過去恥部。

 美術先輩先生から、お庭で朝どれのゴーヤー2本を賜り(多謝)、帰宅後に早速1本を塩もみに。いつもは茹でるのですが今日は初めて生にチャレンジ。茗荷千切り・ツナ缶と和えてタッパーに保存しておけば、万能の薬味・総菜です。今夜は早速、ぶっかけ素麺の薬味に(大葉・白ごまと一緒に)加えて、別にマヨネーズ・柚子ポン酢で和えて酒肴としても使いました。
 そして、もう一つの頂き物、麦焼酎「兼八」を(70回生Yくんに多謝)。ベテラン数学先生にお勧めの飲み方を伺ったら「それはもう、たっぷりの氷でキンキンのロックですよ!」と言われ、全くその通りにして一口飲んでみて「ほう!」となりました。焙煎したみたいな香ばしさ、国語科恩師先生の炒り玄米を思い出します。麦焼酎全般がそうなのかこの銘柄が特殊なのかは知りませんが(直感だと後者)、私はこれ、積極的に好きです。というか、麦焼酎がこんなに美味しいものだったならもっと早くから吞んどけば良かったんですよ、勿体ない。仕方ないから、予定よりもう少し長生きすることにします。

 その後、Twitterにゴーヤーの話題を投稿した際、「ゴーヤ」と書いていたことを在沖縄のJTCY氏にぴしゃりとやられました。今後は必ず「ゴーヤー」と書きます。