二中のファンタジー

 坂本拓弥『体育がきらい』読了、★★★★。内容は、「学校教育における体育は嫌いでも(広義の)運動は嫌いにならないで下さい」の一点。学校教育に関しては、人々が体育嫌いになる理由を多角的に分析・列挙するのみ。そしてラスト、(広義の)運動についてラディカルに定義した上で、学校体育とは無縁であるところの運動(もっと言えば自分の「からだ」)だけは大切にして下さい、というメッセージ。
 学校教育における体育嫌いを減らそうという意図や、学校教育における体育をより良いものにしよう(批判・改善しよう)という意図は、少なくとも本書からは殆ど感じられません(それが悪いと言っている訳ではありません)。本気で体育を批判・改善しようとするなら、本書で教員の体罰を「暴力」と断じたのと同じように、「公開処刑」や「羞恥」等の言葉ではなくはっきり「いじめ」という言葉で体育の授業が持っている問題点を掘り下げたはず(授業中だけではなく、前後の着替えや授業後の人間関係等を含め、体育は他より「いじめ」を生みやすい教科だと思います)。しかし本書では、「こんな教員・生徒は良いね、悪いね」という属人的な性質についての言及はあっても、それを現行の体育の授業の在り方に構造的に絡めることはしない。また、通常のカリキュラムとは違う形で行った筆者自身の授業実践が紹介されてはいますが、それだって「提言」という程のものでなく。つまり、「体育ぎらい」が生み出される理由を次々に分析・列挙しながら、現行の体育を批判するでもなく擁護するでもなく、徹底的に(見事に)距離を取っている書き方でした。
 因みに、私は、歴とした「体育ぎらい」で「(広義の)運動好き」だ(大好き、とまでは行きませんが)と自認しています。中高時代、F校の体育(及び体育大会・体育祭)はユルくて最高でした(プールが無いのも良かった)。就職後は、F校の体育科の先生方の頭の良さ(特に「からだ」の頭の良さ)は最高だということも知りました。

 酒は人類が誇る文化で、日本酒は日本が誇る文化ですなぁ。今日は、久々に購入した福井「黒龍」(純米吟醸)を開栓した……以外に何か書くべき話題があったかなぁ。あ、書斎で(出題先内緒の)模試を1題作ったというのはあります(作ったのは飲み始める前、まだ素面の状態でした)。