それが男だぜ それが男だぜ

 本日は午前中に東大現代文の解答解説プリント作成、午後に高1漢文の定期テスト(明後日出題)作成、分かりやすい2部構成です。

 東大第一問(文理共通現代文)は小川さやか「時間を与えあう」(2023年)。この点についてはセンターより遥かに頑なだった東大が、とうとう、ついに、やっと、ようやく、女性筆者の出典で第一問を作りました。第四問(文系専用現代文)のエッセイでは幸田文・蜂飼耳・河野裕子・馬場あき子・小池昌代、そして後述の菅原百合恵と、私が就職して以降の20年で6人の文章が出題されています(割合として多いとは言えませんが)。しかし、第一問の出典の筆者は、共通一次が始まった79年(漱石『文学論』)以降、これまで男性しかいなかったと記憶しています(間違っているかもしれませんが)。
 こないだ佐世保の書店で買った本の中に、東大のジェンダー・ギャップ史を精緻に研究したらしい矢口祐人『東大はなぜ男だらけなのか』という新書がありました(まだ読んでいません)。帯レベルの情報では女子学生2割(全学部の平均)の衝撃だけが書かれていましたが、勿論教員・研究者の側でも同じことが起こっている訳で、入試国語に関してもそうだった、ということですね。今回の出題が何らかの変化の兆しなのかどうかは分かりませんし、女性が書いた文章なら女性の受験生に有利になるのかどうかも勿論分かりはしませんが。
 因みに、今回の小川氏の文章はエッセイ調の軟らかい文章(これまでにも第一問がエッセイ調だったことは何度もあります)。読んでいて面白い本文だと解き甲斐もありますね(文章・設問は東大のHPで公開されます)。今回は設問(一)の解答作成にだいぶ悩みました。

 東大第四問(文系現代文)は菅原百合恵「クレリエール」(2023年)。仏文学者・歌人のエッセイで、こちらも良い文章だなぁと思いながら読んでいたら、57回生現代文をご担当の先輩先生から、回生を代表する才人Iくんが菅原氏のご友人で、だいぶ前に職員室を訪問したIくんから氏の歌集を贈られたことがある、というエピソードを伺いました。本文冒頭に筆者の年齢が伺える記述がありますが、私(1980年生まれ)よりも後に生まれた方の文章が東大国語の出典になるのも、若しかしたら初めてなのかもしれません(蜂飼耳も出題当時の年齢は若かったですが、私より早い生まれです)。
 予備校のサイトを覗いてみれば、4つ見てみた内、26日のうちに現代文の解答を公開したのは2校だけでした(残りの2校は27日以降)。文章は読みやすいけれども、設問に答えるのは難しいという(個人的な)印象。

 高1漢文の定期テスト作成。こちらは頭の中に初めから出来上がっているものをアウトプットするだけなので、午前中の仕事ほど頭を酷使することはありません(どちらかと言えば、手と目との方を使う仕事です)。今回は出題範囲が狭く(何せ、授業が4回しかなかった)、解説・知識の細かい部分や、応用的な思考が必要な問いが増えることになるので、受験生はちょっと苦戦するのではないかと予想しています。

 終業後の夜は、英語パイセンに誘われて小料理屋「U」のカウンターに並びます。
 関係性としては要するに女子同士(貴様いつまで女子でいるつもりだ問題)ですので、とにかくトークが長い長い。2人で飲みに飲んで喋りに喋って(その割にはあんまりものは食わずに)たっぷり5時間! 話題の半分は口が裂けても他言できない職場関連の噂批判悪口愚痴、もう半分は口が裂けたら言っちゃうかも知れませんけれども周囲にドン引きされることは間違いのないOL(おっさんずラブ)民の感想合戦。
 7連チャンの1日目から飛ばしすぎた気がしますけれども、タクシーを降りて部屋に入って着替えてベッドに倒れてという一連の流れは全て覚えているので、そこまで酷い状態ではなかったのではないかと。

 おまけ。返す刀、F中・F高入試をチェックしてみよう!
 伊藤亜紗中村桂子・暉峻淑子・志村ふくみ・牟田都子。
 中学・高校各20年間の過去問を調べてみたら、合計40題の評論の筆者に女性は5人でした。流石元男子校、皆無ではなかったものの少ない少ない。東大のことをあ~だこ~だ言う資格はなかったみたいです。