置いてけ堀をけとばして 駆けだす

 3時頃に目が覚めて、その後は寝付けないというよりか完全に覚醒した状態になったので(お酒も残っていませんでした)、布団の中で暫く本を読んで、暁時分の大浴場で湯浴み。その後、おばんざいの朝食が食べられるお店がホテル近くにあるということで、7時オープン丁度に着くよう6時45分にホテル発。「京味菜 のむら」のおばんざいセットは、湯葉丼・味噌汁・食後のコーヒー、そして20種類ほどのおばんざいから小鉢6種を選ぶ形式。種類が多ければ多いほど嬉しい私にとって嬉しい構成です。海老の和風ドレッシング・細切り高野豆腐・野菜入り春雨・鶏のレモンソース・肉豆腐湯葉あんかけ・彩り野菜サラダ。食後のコーヒーはお代わりせずに場所をスタバに変え、2軒で1時間半ほど読書を。

 ホテルチェックアウトは9時、昨日入ったネカフェで1時間程書き物をした後、電車で大阪へ移動します。今回の京都2泊を思いついたきっかけは京都のイベントではなく、大阪「新歌舞伎座」で五木ひろしのショーがあることでした(それに前乗り京都2泊をくっつけた形です)。坂本冬美がゲストで出ており豪華だったのが決め手でしたが、やっぱり五木ひろしとか森進一とかいう人はいっぺんちゃんと生で観ておきたいというのが基本にありました。

 12時開演、15時50分終演。これは、第一部の舞台演劇に20分の中休みがあり、第二部の歌謡ショー(正に「二人のビックショー」)の前に40分の休みがあるのを含めた時間です。
 最初のお芝居は「沓掛時次郎」、相手役の坂本冬美に加えて、松金よね子(←好き)、笹野高史太川陽介がゲスト。博徒五木ひろしが、義理あって手にかけた太川陽介の妻である坂本冬美と息子の子役を託され、気質となって旅をする(笹野高史松金よね子夫妻の世話になる)というのが話の大枠。五木ひろしは何度もこれを演じているそうですが、今回は95年以来25年ぶりの再演になるそう。何と言っても、前回は45歳、今回は71歳です。大立ち回りも、女性を背負って歩くのも、おぅおぅ辛かろうお爺ちゃん、と客席の私はハラハラしてしまいます。だって、去年の森山良子の時もそうでしたけど、今回の「新歌舞伎座」も全席完全にシルバーシート。世代はともかく集まったのはひろし命の女性ファン、それでもって70歳以下立ち入り禁止みたいな年齢構成ですから、客席はさながら映画『デンデラ』の如く。笑いも涙もベタな人情物ですが却って新鮮、勉強と言えば言い過ぎですが経験と言えば過言ではありません。

 第二部の歌謡ショーは、『紅白』歌手の強みを活かしに活かした構成、二人とも本番で着た衣装を身に纏って昨年大晦日と同じ曲が歌える訳です。お強い。五木ひろしは代表曲「山河」をピアノ弾き語りで歌い、そのまま坂本冬美また君に恋してる」のバックを務める芸達者(知らなかった!)。オープニングの「VIVA LA DIDA!~生きてるっていいね!~」ではノリノリのダンスを披露してましたが、そう言えば五木ひろしって2年連続『紅白』がこの歌でした。この人って、ベテラン勢の中では例外的に(昔のヒット曲ではなく)その年の新曲を歌うことが許された人なんですよね。
 衰えない歌声、種々演出、いやはや枯れないのねと、興味がある歌もそうではない歌も区別なく見惚れてしまいました、ステージには満足満足……なんですが、「枯れない」が昂じたらそうなるもんなのか、10000円じゃきかない木戸銭を取ってるのにひろし、ヒット曲を出さない。「よこはま・たそがれ」も「おまえとふたり」も「そして…めぐり逢い」も「契り」も「夜空」も「待っている女」も「倖せさがして」も「居酒屋」も歌わないという尖りまくった選曲。ベスト盤的ショーを予想(期待なの?)していた私の思いはダビド・ドゥイエ並にすかされてしまいました。坂本冬美は「あばれ太鼓」「祝い酒」「火の国の女」「夜桜お七」「また君に恋してる」……と代表曲を遺漏なく、ゲストだからですかね。

 「新歌舞伎座」終演が15時50分で、新大阪駅を新幹線が出るのが16時25分ですから、立ち止まるだとか歩くだとかいうのが一切許されぬダッシュ&タクシー。辛うじて駅で事務嬢さん他へのお土産を購入でき、飛び乗るように新幹線へ。
 K市着が20時近くですので、そのまま帰宅して入浴、就寝。夕食は自宅徒歩3分の中華料理「H」で麺類。 

 西原理恵子佐藤優『とりあたま元年 最凶コンビよ永遠に!編』読了、★★★★。