おれがあいつであいつがおれで

 雨がやんだので徒歩で学校入り、授業は高2現代文が4コマ。
 現代文は昨日書いた通り梨木香歩の随想「群れの境界から」。戦時下の日本の話に絡めて全体主義について軽く説明したら、後で板書をご覧になった国語科の先輩に「あんな難しいこと書いて、解るの?」と驚かれました。解りますよ、67回生の時には高1で扱いましたもんね。ただ、結構真面目なことを説明する授業だったのに、「日韓共済ワールドカップ」とか「ギガンデス」とか「後方彼氏面」とか「パーマネントはやめませう」とか「戦国大合戦」とか「本田翼」とかいう単語が口から出て来た成り行きはよく思い出せません。

 鮭の切り身があるのでそれを焼く、納豆が余っているのは冷食のオクラと山芋とで和えてぶっかけ素麺の具にする、後は面倒くさいから学校帰りに「もりき」で何か貰って帰る、と決めてから退勤。入浴後に店に出掛けて、タラの芽の天麩羅とマカロニサラダとをテイクアウトしました。

 6/12の「自粛御膳」。
 ネバネバぶっかけ素麺・鮭バター焼き・タラの芽天麩羅・小鉢2種。
 日本酒も「もりき」のテイクアウトで、奈良「金鼓」の「濁酒」。真っ白なお酒にはつぶつぶがびっしり、蓋に小さな穴が開いておりそこからぶくぶくと泡が。飲むヨーグルトの濁り酒は最早飛び道具こういうのは1合量り売りがぴったりです。その後で飲んだ兵庫「赤石」は昨日より甘く円やかになってました。

 林遣都主演の単発ドラマ『世界は3で出来ている』。
 出演者は林遣都1人、但し三つ子を一人三役。打ち合わせはリモート、出演者を一人に絞ることで撮影時の密を徹底して避けた「ソーシャルディスタンス」ドラマなのだそう。あらすじは省略、舞台は三つ子の次男のマンション新居、そこへ長男と三男とが訪ねてくるという流れ。画面の中の3人林遣都は演じ分けの見事さと撮影編集技術の発達とで違和感なく。
 結論だけ書くと、秀作。楽しんで観ながらこの脚本は以前読んだ何かと同じだと(そろそろ日本酒の回った頭で)考えて、山田詠美の小説『学問』に思い至りました。『学問』の登場人物である同級生3人は、それぞれがキャラの立った別人であるのと同時に、一人の人間の中の種々の欲望を分割体現していました。今回のドラマの三つ子もそれぞれが別々の人物(演じ分け見事)でありつつ、ウィズコロナで良きに悪しきに振れる一個人の中の種々の感情を分割体現しているように見えました(私は、長男6:次男3:三男1、ってとこかな)。