夜は不夜城で御座います

 5時前に起床、未明という程ではないですがまだ薄暗いうちから特講の添削を始めました。仕事熱心だから、ではなくて昼から遊びたいからというのが動機で、実は本日から1泊2日の別府旅行を挙行するんですね(明日月曜は校内模試で授業が無く、年休にしています)。昼前には添削を終えたので、旅行鞄と答案とを持って一度学校に行き、月曜朝に返却してもらえるよう添削答案を各クラスの先生方の机上に。

 K駅~小倉駅別府駅。1泊2日の別府旅行ですが、夕方入りなので今日の観光は殆ど出来ないかな、という覚悟。先ずは駅から5分ちょっと歩いて、宿泊予約を取っていた「竹と椿のお宿 花べっぷ」へ。
 別府伝統の竹細工を全面的に取り入れた作りで、テラスの壁は「やたら編み」という身も蓋もない名称の技法だそう。床も柔らかい竹で出来ていて基本は裸足か足袋か。部屋や施設の名称は全て椿の品種、女性デザイナーが全館をプロデュースしたとのこと。10年前にJR社員の保養所を改装したそうで、新しさ・清潔さ・雰囲気の優しさで女性人気が高いというのも頷けます。私以外の客はカップルと女性グループばかりで、部屋まで案内して下さった仲居さんに「男独りって珍しいですよね?」と訊けば曖昧な笑みでした。

 チェックインは夕食(居酒屋予約)まで2時間強という微妙な時間だったので、取り合えず宿の露天風呂に30分程浸かって旅気分を味わい、その後は別府駅周辺を目的無くそぞろ歩き……していたら美術館が見つかったのは運が良かった。
 「別府アートミュージアム」、知らずに普通の美術館だと思って近づいたら「芸能人の作品に出会える美術館」「話題沸騰中! 写真撮影OK! SNSにアップ!」と大書の看板が下世話極まりなくて思わず笑ってしまい、笑ったらもう負けなのでそのまま突入。
 ピカソシャガールから平山郁夫竹久夢二等々本職の(って言い方が無礼ですが)画家の作品が半分、芸能人文化人の作品が半分、総てがごった煮のようにノーコンセプトで並べられていて所謂「美術館」とは全然違います。全所蔵品が撮影OKというのは、例えば高島野十郎の「蝋燭」も坂本繁二郎の諸作も写メることが出来るということで、実は意外な良スポットなのでは、と。歴代総理大臣の揮毫が並んだコーナーとか意外に面白い(クイズ屋の勘所に引っかかりますね)。芸能人の作品も意外性があってみーちゃんはーちゃん垂涎、水森亜土八代亜紀工藤静香片岡鶴太郎等々の「あるある」だけではなく、国広富之の役者絵だったり北大路欣也のぬいぐるみ絵(!)だったり、黒澤明倉本聰やのラフスケッチだったり。

 意外なボリュームを堪能出来て満足の退館(にしても、総ての絵の中でぶっちぎりに可愛かったのが北大路欣也水森亜土との作品だったというのが凄い)。そのまま、予約の居酒屋へ足を運びました(途中、別府商店街名物で火除けの縁起物だという「弥生天狗」と、別府タワーとを見物)。

 10/10も「自粛御膳」をお休み、別府の人気居酒屋「ろばた仁」で独酌(からの二人酒)。
 刺身2点・ヒオウギ貝網焼・だんご汁・牛串・オイスター・冷奴・漬物。
 449蔵目・大分「千羽鶴」(本醸造)。
 450蔵目・大分「鷹来屋」(特別純米酒)。
 451蔵目・高知「美丈夫」(純米吟醸 純麗たまラベル)。
 452蔵目・鳥取「鷹勇」(強力 純米吟醸)。
 事前予約でカウンター(魚介ズラリ壮観)の隅、3階建てが17時半には満席の超人気店で次から次のお客さんが悉く断られていました。刺身もだんご汁もハーフOKのお一人様歓迎スタイルが嬉しく、土地の名物中心の料理は言わずもがなの味。瓶ビールが「秋味」だった時点で大勝利、日本酒のラインナップも素晴らしく、今夜は未踏破4蔵の他、新潟「村祐」・岐阜「射美」を。
 コロナ意識で隣の方(同じく独り客の男性、人生の大ベテラン)に遠慮しつつ……と思っていたのですが「どちらから?」と訊ねられて答えたら同郷と判って意気投合、「えっ、あんなに大きな薬局チェーンの会長?」「えっ、F校の先生?」とお互い珍しいものを見つけた興奮で、掻き捨ての話が盛り上がる盛り上がる。

 ホテル帰還、本当はもう一回露天風呂に入ろうかと思っていたんですが、ま~無理、ベッドに吸い込まれました。