ホテルの前の中華料理で 何を食べたかと言うと

 F校は代休の関係で5/8(月)までが黄金週間、世間様は今日で黄金週間が終わりなので、F校関係者が最も旅行しやすいのは今日からの1泊2日ということになります。今夜のディナーは予約が取りやすく、明日の観光はどこに行っても空いているでしょう(美術館等、月曜が休みの施設が多いのは難点ですが)。目的地は岡山にしました。前回訪問は伊部で備前焼というのが目的でしたが、今回はそれ以外の場所をセレクト。具体的には、前回訪問時は改修中で見られなかった岡山城、そしてジーンズストリート等で知られる児島です。
 K駅から岡山駅までは新幹線で2時間、みずほ・さくらなら乗り換えなしで便利です。残念ながら傘が必須の雨。

 11時30分に雨の岡山駅着、から徒歩5分の「中華そば 山冨士」にてネギ中華そば(900円)と替え玉(200円)とを注文。夜は中華のフルコースで奮発ですが、昼も人気の町中華を選びました(と言っても、1100円というのはかなりのお値段です)。味はまぁまぁ。我が家の日本酒セラーと同じものが店内で瓶ビール用に使われていたのには親近感、飲むのは我慢です(夜の料理をちゃんと味わいたいので)。

 昼食後は、駅近くのホテルフロントに荷物を預け、タクシーで岡山県立美術館へ向かいました。ちょっとした雨宿りを兼ねて、前に熊本でも観た『和田誠展』(巡回)を再び。和田氏が高校生の時の時間割(科目名の代わりに教員の似顔絵が描いてあるもの)、何度観ても良いです。ジャンル別、年度別に分類整理された作品群は圧巻の物量でしかも悉くがスペシャルなクオリティ、この全てのアイディアが一人の脳内で渾沌と渦巻いていたというのは何度観ても信じられません(以前観た『筒井康隆展』の混沌も凄かったけれども、書籍絵画デザイン映画作詞作曲という分野の多彩さはこちらの方が上)。岡山の「オハヨー牛乳」に依頼されて作った絵本(一般流無し)の原画だったり、過去に岡山県立美術館で行われた展覧会に寄贈されたオリジナルマッチ箱だったり、ここでしか観られない展示も沢山ありました。ショップではCD『和田誠ソングブック』を購入、森山良子岸洋子由紀さおり木の実ナナ伊集加代子中山千夏清水ミチコ石川セリってそりゃ買いますよ。
 ボランティアさんのガイドトーク付きで岡山県出身者の絵画を鑑賞できた『岡山の美術展』も良。結果、軽い雨宿りのつもりが2時間を大きく超える滞在になりました(雨は全くやまない、どころか強くなっていました)。

 岡山神社を参拝の後、初訪問の岡山市立オリエント美術館へ。この展示と建物とが素晴らしかった。火・衣服・化粧・ワイン・ビール・ガラス・タイル……ありとあらゆるものの人類初を掘り起こす展示群は圧巻です。オリエントの考古美術資料がまとまった形で展示されている美術館は東京と岡山とにしかないそうで、ここに入館料310円で入れるというのはかなりの贅沢なのではないかと。
 因みにこのオリエント美術館、トイレの手洗い場が物凄く美しいんです(展示物は写真不可でしたが、ここは撮影しました)。中世ペルシャ陶器で用いられて今は途絶えたという技法「ラスター彩」を再現した手水鉢が据えられているんですけれども、これだけで入館料のもとはとれるぞ、と。

 雨の後楽園はほとんど無人(中央の池には鯉幟の飾りがまだ残されています)、そこを通り抜けて前回(2021年11月)の訪問時は改修中だった岡山城天守閣へ向かいました。歴史が全て漂白されたような外観には正直拍子抜けしたものの、空襲で焼けた石垣など、先日訪問した広島城同様背負っているものがあることを思わされる痕は幾つも。

 広島城からはチンチン電車で駅前まで戻り、駅前のデパート食品売り場を30分ほど見学(地元色が出ていて面白いんです、これ)。デパートで買い込んだ地ビールを抱えてホテルにチェックイン、大浴場で入浴。その後で歩いて店に向かえば、18時の予約ジャストに到着です。店は西川緑道公園エリア、前回の岡山旅行で訪れて感動した居酒屋「季節料理かたやま」のすぐ近く、中華料理「はすのみ」、カウンターで独酌です。
 少量多種のコース料理(ミシュラン星つき)は中華料理には珍しくお一人様もOK、しかもマスター拘りの日本酒(若しくはワイン)でペアリングをお願いできます。こんなの、私のための店じゃないか、と。コースの流れは以下の通り。
 ・前菜①(烏賊老酒漬・今治の雲丹)
 ・前菜②(蒸鶏の四川風辛味噌ソース)
 ・前菜③(スナップエンドウ生姜和え)
 ・前菜④(スッポン入り胡麻団子)
 ・豆苗の紅ズワイガニあんかけ
 ・自家製チャーシューに蕾菜ピクルス
 ・下津井の大穴子と自家製板春雨に山菜
 ・鶏レバーの蒸しスープ
 ・フカヒレと鮑の煮込み
 ・魚料理(アコウ)
 ・黒酢酢豚
 ・黄ニラのあったか麺
 ・干し貝柱の炒飯(コース外の追加)
 ・デザート①(杏仁豆腐)
 ・デザート②(北京風きな粉餅・苺と豆乳)
 日本酒ペアリングの前にビールを注文。普段なら瓶に直接口をつける青島ビールにグラスがついてくる時点で襟を正す格式、でしたがコース13000円(税込)に炒飯を追加して、更に日本酒7杯(3合半くらい)で19000円、予想より安価でした。
 良いお店は嫌いや苦手や先入観やを矯正してくれる、の法則はここでも健在で、私は今夜生まれて初めて酢豚を美味しいと感じました。但し、どうしてもパクチーは駄目なので予め外してもらっています(前菜の蒸鶏のソースに若干使われていたのは我慢できました……というか、これもお店による「矯正」の第一歩なのかしらん)。
 日本酒は、悦凱陣~旭菊~玉川~悦凱陣~玉川~月の井~秋鹿。お店一推しのお酒が「もりき」にもろ被りの上にK市のお酒(旭菊)まで出てきたのには苦笑いでしたが、中華料理のペアリングだけあって辛口無用のラインナップは好みにピッタリ。「悦凱陣」の熟成(平成15年!)なんて飛び道具まで出てきて楽しかったです。

 ホテルでは、チェックイン前に買って冷蔵庫で冷やしておいた地ビールを(摘まみは中華の余韻で足ります)。念のため、旅行鞄に栓抜きを入れておいたのが役に立ちました。
 健康睡眠。