乱れ飛ぶ交通網を縫って やがておれたちは

 福岡空港行きの飛行機が羽田を発つのが10時10分、ですので品川駅に9時10分、だから新橋を出るのが9時前、なら風呂と荷造りとを合わせて1時間で算段すれば起床は7時半……なのに起きたら7時45分、悲鳴。超特急で荷造りと洗顔・髭剃り・歯磨きを済ませ、その間にお湯を溜めてまだ浴槽の半分にもお湯が満ちていないのに無理矢理滑り込んで、大荷物の宅急便手続きとチェックアウトを済ませてホテルを出たのが9時過ぎという帳尻合わせ。手荷物検査の待ちが予想と異なり0分だったので、何だかんだで9時45分には搭乗口に到着していました。ファーストクラスの搭乗が始まっているのを横目に、搭乗口近くの立ち食い寿司でお鮨を6貫。
 飛行機の中では、校内模試の出典とあたりをつけて読み始めた(果たして、文理共通第一問の問題が作成出来た)とある人文学系の本を読了(タイトルその他秘す)、★★★★。

 羽田着12時、地下鉄移動で博多着12時半。みどりの窓口は滅茶苦茶混んでましたが、博多駅は窓口の数も駅員さんの客さばきも流石、ニュートン算の列が進む進む、ここで本日(博多~山口)と明日(山口~K市)との往復チケットを購入。博多発の新幹線まで1時間程時間があったのはチェーン系のカフェで潰しました(ホットコーヒーとミルクレープ、スマホを充電しながらpixivで最近はまった書き手の小説)。
 新山口から山口の2両編成、土着感が凄かった。そして山口駅前の何もなさたるや。炎熱の目抜き通りを宿泊ホテルに向かって北上。中心街のホテルに着くまでコンビニすら1、2軒しかないとはどういうことぞ……と歩いていたら先ず通り西側に突然「無印良品」と店頭硝子に大書した店舗、これがまぁパチモンかと思うくらいの田舎商店感だったんですが硝子向こうに目を凝らしたらどうやら本物らしくてやや安心(これで、シャツの替えが必要になった時に購入が出来ます)。少し歩いたら東西にアーケード街がありましてこれが街の中心地(アーケードの中に「井筒屋」があっておぉ小倉の友だち! という親近感が一気に)。更に少し北上したら大きな交差点の一画に今夜のお宿。「国際ホテル山口」という昭和ネーミングの施設の、どうせならと予約したのはカプセルルームです(普通のベッドルームもあるホテルですが、男性専用のカプセルフロアがあります)。チェックインまでとフロントに荷物を預け、本日の山口観光へ。

 「山口県立美術館」にて、巡回展『ジブリパークとジブリ展』。偶然にホテル眼の前の(交差点を挟んだ道向こうの)美術館で「当日券あり」だったので。
 写真は基本的にNGで、サツキとメイの家、湯婆婆のオフィス、そしてカオナシと並んでスタッフさんに撮ってもらえる電車再現シーンだけは撮影OK。自分が写真に写るのは(生理的に)嫌なのですが、流石に『千と千尋』最高の名場面を再現と言われたらお願いしないわけにいかず、カオナシと並んでパシャリ。
 展示内容に関しては、基本的に、「ジブリパーク」と「ジブリ美術館」、そして『君たちはどう生きるか』の宣伝のための企画だな、と。『アーニャと魔女』を大々的にフューチャーしたコーナーも、映画自体を観ていないのでそこまでは乗り切れず。というわけで、60分でサクッと。

 美術館を更に10分北上したら県庁があり(今夜のライブはこの県庁構内の施設が会場になっています)、その付近を散策します。
 「瑠璃光寺」国宝の五重塔が最大の見所なのでしょうが、現在は令和の大改修の最中で足場に覆われており残念(熱い中で立ち働く方々、お疲れ様です)。「同春寺」観音堂は重文、毛利敬親の茶室「露山堂」や西郷大久保木戸らが倒幕の密議をした「枕流亭」など、維新スポットも色々。
 しかし歩いている間に汗まみれになったので、県庁近くのセブンイレブンでミネラルウォーターを購入するついでにタクシーを呼んでもらい、先程の「無印良品」まで戻ってシャツ(800円程度)を2枚購入しました。歩いてホテルに入ってチェックイン。カプセルフロアなのでお風呂は無く無料のシャワールームがあります。汗を流してから買ったばかりのシャツに着替えました。

 ホテルから県庁までは10数分、先程歩いた道なので、というか果てしない1本道なので間違えようがありません。やや日が傾いていく中、先程は潜らなかった県庁の門を潜り、今夜のライブ会場となる「山口県旧県会議事堂」へ。大正時代以来100年超の歴史を持つ遺産、日本における近代建築の先駆だとのこと。1階・2階の議会席が客席となり(自由席で、私は2階2列目中央に陣取りました)、半周ぐるりの客席の視線が歌い手である折坂悠太に注がれる形。時代がかった建築・内装は、確かに演者の雰囲気に合っていますね。

 2023/08/04の山口泊の目的、折坂悠太『らいど』@旧県会議事堂。
 「議事堂と言えば野次」というMCに客席から「10周年おめでとう!」の野次(?)が飛ぶやり取りでライブがスタート。ギター1本で90分の熱唱、アンコールの「芍薬」まで声を張り上げてました。2階席最前ど真ん中、歌いながら上を向きがちなアーティストなので、たびたび目が合ったんじゃないかという勘違いをしながら。昨日のカラオケで歌ってから無性に「本物」が聴きたくなった「トーチ」を歌って下さったのは嬉しく。セットリスト(一部不明)、以下。
 1.爆発 2.トランポリン 3.のびやか 4.あけぼの 5.朝顔 6.正気 7.馬市 8.ざわめき 9.針の穴 10.トーチ 11.夜学 12.光 13.さびしさ EC.芍薬

 夕方もお世話になった県庁近くのセブンイレブンでタクシーを呼んでもらい、市内で人気の海鮮「味わいどころ あかぎ」のカウンターへ(随分前に予約しました)。
 遅い時間(20時半)の入店でしたが運良くラスト1人前の刺し盛りにありつけ、その後の「骨蒸し」の食べ方が綺麗だと大将に褒められた(意地汚いだけなんですけど)のに気を良くして、日本酒をいつもより1合多く飲むなど。お勧めの焼き物で出されたイトヨリも美味しかったです。

 ホテルに戻って、カプセル睡眠。