スカプラチンキ

 映画『ポセイドン・アドベンチャー』の登場人物、元娼婦のリンダ・ロゴが警官の夫を怒鳴りつける台詞「You son of a bitch, go help him!」を、声をあてる小原乃梨子さんが「このおったんこなす、黙って手伝ったらどうなのよぅ」と言っているのを観て(聞いて)、これは元の台本がそうだったんだろうか否「すかぽんたん」を生み出した小原さん一流の上品さがなした反射なのではないか、等々考えながら、気づけば本棚の奥の奥から小学館文庫を引っ張り出していました。

 小原乃梨子『声に恋して 声優』読了、★★★★★。戸田恵子さんと並んで最も好きな声優である小原さんの単著、大学時代に読んで以来20年ぶりの再読です。20年前はとにかくアニメの吹き替えの話が読みたいだけ、他にはせいぜい洋画吹き替え黎明期のベテラン声優の名前を見てときめく程度だったのですが、時を経て読み方が全く変わっていたのに驚きました。というか、私、20年前は何を読んでいたんだろう。
 声優としての来歴が片方の車輪、そして家庭を持つ一人の女性が(妻として、義理の娘として、母として)家族とどう向き合って生きてきたのかというのがもう一方の車輪。後者の方は記憶から落ちていたというよりも大学時代は自分に無縁だと読み飛ばしていたんですね。母君をお見送りした経験を経て、最も印象に残ったのはやはり義母介護の箇所でした。
 小原さんは現在86歳、もう一度どこかでお声を聴きたいなぁ。

 中3の現代文で、漱石現代日本の開化」を4回かけて読むことにしました。高校生を対象とするなら3回で終わらせますが、中3なので念を入れて。漱石は明治時代と(即ち「現代日本の開化」と)ほぼ「タメ年」であること、和漢洋全ての知に通じていたこと、特にイギリス留学の経験があること、等々を割に詳しく説明することにしました。漱石を紹介するのに、小説のタイトルを一つも言わないというのはどうだと思いましたけど、まぁ。本日、初回の授業4コマ。

 5/27は「自粛御膳」をお休み、居酒屋「もりき」で独酌……からの自宅二次会。
 小鉢2種~納豆ぶっかけ蕎麦~牛サイコロステーキ~味噌汁(自宅)。
 565蔵目・福島「超」(辛口純米)。
 福島「超」は「一歩己」の蔵なんですが、まさかコロナ禍2年間の「日本酒チャレンジ」でノーマークだったとは思いませんでした。まだまだ新しい蔵との出会い、ありそうですねぇ。