それでも売れ残ってる 僕のような高野豆腐

 本について普段は読了後に書くんですけど、今回はフライングで。姫野カオルコ『ケーキ嫌い』、食にまつわるエッセイ集が文庫落ちで、解説は平松洋子
 冒頭に掲載されている「ケーキ嫌い」というエッセイ(表題作)は、大概の甘味(筆者は「ケーキ」と総称)を苦手とする(雑じりけ無しの板チョコ等、多少の例外あり)筆者が「手土産・御礼=ケーキ類」という風潮に異を唱え、「相手はケーキが嫌いかもしれないとは考えない人」が蔓延る「イマジンロス」な世の中を斬るというもの。ケーキは重いし日持ちもしないし、断れずに受け取ったとして処分のしようがないんですよね(日持ちのするものなら誰かにお裾分け出来ます)。
 お土産選びの難しさは、例えば担任クラス40人に旅行土産を買っていく時に嫌いな人が居る「チョコレート・抹茶・あんこ」は回避する(と、途端に難しくなる)、とかいうのを度々経験して少しは知ってるつもり。筆者の意見には頷かされますし、「イマジンロス」への自戒が必要と改めて教えられました。
 ただ一点、どうしても微妙に気になったのが、「ケーキ嫌い」の2つ後に収録された「好きな食べ物・嫌いな食べ物」というエッセイの中で、ケーキの対案として最適と挙げられた「『嫌い』と言った人に会ったことがない」贈り物ベスト3が、「板チョコレート・焼海苔・高野豆腐」だったこと。ラインナップに異議はないんですけど、ただ……友人として解説を依頼した平松洋子がトラウマ付きの高野豆腐嫌いだってこと、知らなかったんですねぇ(「『嫌い』と言った人に会ったことがない」って断言してますから知らなかったんでしょう)。まぁ確かに高野豆腐は日持ちするからお裾分け可能ではあるんですけど、それでも、解説を引き受けた後で初めて当該の箇所を読んだ時の平松さんは手土産にケーキを貰った時の筆者と似たような気分を味わったんじゃないかしら、とか考えてしまう(それとも、読んでた上で引き受けたんでしょうか)。
 先回りして解説を読んだら、平松さんは高野豆腐には触れず「ケーキ嫌い」を本書の白眉と絶賛してました……別の場所ではサラッと「自身の『イマジンロス』をも戒めるのが、姫野カオルコという人物である」とか書いてたりしますけど。
 既に当人同士で話はついてたりするのかな、とか気になってしまう。取り敢えず、まだ40頁の進捗ながら間違いなく面白い本なので、かなりワクワクちょっとモヤッと、という気分で続きを読みます。

 7時半出勤、中3「現代日本の開化」の板書準備、定期テストの成績入力や講評執筆等の業務。授業は4コマで、合間には時間割他の机仕事。浪人中の生徒からの答案添削もぼちぼち。そして、そろそろ本格化しなければならないのが「合格体験記」の文章校生のボランティア……これは本当にボランティアで、新書1冊分は優に超える分量の文章を2回(初校・二校)全て読むというのはなかなかな業務。

 5/30は自粛御膳をお休み、自宅徒歩2分の焼鳥「T」で読書独酌。
 ゴマカンパチ・ポテトサラダ~串5本。
 自宅を出る前に2日分の作り置き野菜を仕込みました。明々後日からは旅行(伊万里1泊)なので、明日・明後日の夜は自炊にして冷蔵庫を片付けます。